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第二話 これからの目的を考えましょう

 リアライズマスターたる主人公を襲うこと。

 それが魔王が実施する最終目標。

 それを聞いて俺は――成る程、確かに納得した。


「しかし、そうなると魔王もおそらくこの世界にやってきているはずなのよ」

「……魔王も現実世界にやってきて、リアライズマスターになっている人間を殺すということか」

「ザッツライト、その通りよ」


 なぜ英語で言った。

 英語を話せたり布団にもぐっていたりみかんを食べていたり、はっきり言ってこの剣士はどこかおかしい。あまりにもこの世界になじみ過ぎている。別に問題ないといえば問題ないけれど、少し何か引っかかる。


「そうだとすれば、魔王を探さないといけないんじゃないか? 倒すことはできなくても、場所さえ見つければ監視は出来るだろ」

「……あんた、ほんとうに解ってないわね。そういう問題じゃないのよ。今から出向いてそう簡単に倒すことが出来ると思っているの? はっきり言ってわたしは無理だと思うわよ」

「無理だと思う? なぜだ」

「リアライズ世界での戦い方を、もう一度思い返してみればわかる話よ。リアライズ世界では、戦闘はどうしていた? 一対一だったかしら?」

「リアライズ世界では……いや、違う。一対一じゃない。確か、五人までパーティを組むことが出来たはず」

「そう。そして私は剣士。どちらかというと攻撃職だけれど、それに対する補助が必要ね。昔のロールプレイングゲームじゃあるまいし、勇者は一人じゃ足りないのよ」

「勇者は一人じゃ足りない……確かにそうだ。だが、ほかにもリアライズガチャを回した人間を探すのか? この広い世界で? 日本だけじゃないぞ、仮にゲーム運営が日本だとしても世界中でゲームはプレイできる。もしかしたら海外に居る可能性だって……」

「きっと彼らも、私と同じようにリアライズ世界と現実世界の危機については話しているはずだよ。リアライズマスターの死イコール私たちは二度と復活することが出来ないからね。それに、そもそもの話、リアライズマスターが居なければ私たちはリアライズすることが出来なかった。こうやってもう一度剣を持つことが出来なかった。それを考えればリアライズマスターのために命を落とすことだって簡単だよ。言葉で話す以上にね」


 命を落とす――だと?

 俺はそれを聞いて耳を疑った。きっと彼女は彼女なりに俺に忠誠を誓っているのだろう。実際、ゲームでもそういう描写は出てくる。だが、あの時はただのデータとしか思っていなかったからその言葉の重みをよく理解していなかった。

 だが、今目の前に居る彼女は紛れもなく実体と化している。俺たちと同じ、人間の身体だ。

 もしそのまま殺されてしまえば、データとして復活することはない。そのまま見ず知らずの土地で死ぬことになる。一生を終えることになる。

 それは――彼女にとって、正しいことなのか。

 いいや、そんなわけはない。そんなことは有り得ない。そんなことは認められない。

 俺は即座に、そう思った。


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