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第二十三話 嗅いでみましょう(前編)

「スタンプ帳……うーん、あんまり埋まってない感じかもね。実際、あんまりガチャ回してないしさ。好きなやつが出なかったら、いったん放置しちゃうのよね。なんというか、運を天に任せる? 的な?」


 まあ、そういう考えも間違いではない。現に俺も課金する前はそういう考えだった。

 けれど、それがダメだと気付いたのはそのあとのことだけれど。


「時間が有り余っている。例えば、仕事の空き時間とかに根気強く出来る人は、たぶんそれでもいいと思いますよ。俺の知り合いにも『絶対に課金しない!』って言ってる人もいますし。けれど、俺はあんまりそれが耐えきれないもんで……普通に課金している、ってわけですよ」

「成る程……。まあ、確かにそれもあるよね。うんうん、一つの考えよね。まあ、私はあまり……その考えには同調出来ないけれど」


 うーん、やんわりと受け流されてしまった。

 いや、別に僕は間庭さんに『課金』について認めてもらうとか、認識してもらうとか、そんな高尚な理由をもって話しているわけじゃない。ただ、ゲームの面白さについて語っているだけ。それだけなのだから。



 ◇◇◇



 結局、そのままバイトは終わってしまった。


「……あーあ、結局フルで入っちゃったよ。この代わりって、どこか休み入るのかなあ?」

「そんなこと私に言っても知るわけないじゃない。もしかしたら別の日に入るのかもしれないけれど……。それにしても、この世界の人間って働き者なのね。早死するんじゃないの?」

「それはずいぶんと昔から言われているし、私なんて普通なほうよ。ひどいところなんかもっとひどい。下には下が居る、ってね」

「それ、絶対に褒め言葉ではないわよね……」


 マリアがそう言って小さく溜息を吐く。もしかして、私のこと、心配してくれているのかな? 朝の食事の件といい、今回といい、これはもう、確信犯だよね? 誤用のほうの確信犯だよね?

 まあ、取り敢えずいいや。

 結局彼とはあんまり話が合わないなあ。課金するということも解るのだけれど、どうも相容れないよねえ。私は無課金でのんびりとやっていきたいのですよ。マリアはそのちまちま貯めたクリスタルでリアライズガチャを回した結果出てきたというのに。私としてはどういうことか理解できないけれど、マリアが忠誠を誓っているのは魔王のほうらしいので、魔王を探しているのだという。

 しかしまあ、そんな簡単に見つかるのかしらね?


「……匂う」


 その時。

 その時だった。

 マリアは私にそう言ったのだった。

 匂う……って汗の香り? いやだなあ、確かにフルでバイト入ってきたけどさ。それでも年頃……うん、もう二十代だね……取り敢えず、二十代の女性に『匂う』なんてフレーズ使っちゃだめだよ。うん。ひどく傷つくから。やめたほうがいい。絶対に。


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