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生まれつき女ですが、なにか?  作者: 周
中学校 編
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第二回・合同勉強会

期末は、まあまあいい線いきました。

菜穂ちゃんと見せ合いっこしたら、「はあ?!これが『まあまあ』?『まあまあいい線』ですって?!」とキレられましたけど……「俺が教えたから」と調子に乗りそうな誠志郎には『まあまあ』で通します。

一緒に勉強して分かったのですが、誠志郎は天才肌でした。

ざーっと読むだけで何となく理解して、問題文をよく見ず直感で回答する。

だから国語と社会が苦手なようで、その点を指摘すると「分かった。最後まで問題を読む」と言っていました。


「これだから秀才は……」


勉強のコツを聞かれたので同じように菜穂ちゃんに説明したら、はーやれやれ、のポーズで呆れられてしまいましたが。問題文をよく読むの、大事ですよ?


テストが終われば夏休みです。

十一月の新人戦に向けて僕を含めた菜穂ちゃん以下新スタメンは、バドミントン漬けの毎日になりそうです。部活仲間とは、部活の後に軽く一緒に勉強するくらいで、つるんで遊ぶということはあまりなく、バドミントン一色です。

先輩は受験に向けて天王山の夏だそうで、図書館通いの毎日だとか。冷房効いてて、勉強がはかどりますよね。エールを送っておきました。

変たi……雅臣さんは運動部の顧問を押し付けられたとかで、僕と似たり寄ったりの状況らしいです。おざなりに『ガンバッテクダサイ』と送っておきました。返信?見てないです。

洸は夏休みの課題をこなしながら補習(?!)も受けつつ、美術部で学校祭に向けて共同制作に打ち込むそうです。

で、やはり来ました。国語と社会が底上げされたと喜んでいた誠志郎から、勉強のお誘いが。


『お盆は部活あるか?』


彼も部活を掛け持ちしているようで、ピンポイントで攻めてきましたね。


『ない……けど』


断ろうにも言い訳が思いつかず、かといって熟考して間を空け過ぎても嘘だとばれそうなので、語尾を濁して返しました。

が、奴には通用しませんでした。


『じゃあ十七日に、前回と同じ時間と場所で。楽しみにしてる』


 決 定 で す か !


あっ、そうです。強引さに愕然としていないで、一応これは伝えないと。


『弟も一緒に行くけど、構わないか?』

『弟?いつできたんだ?』

『誠志郎と一緒で、小学校に上がってから』

『知らなかったぞ!キリコは全然話してくれない』


いやいやいや。君みたいに七年分のレポートを赤裸々に綴れる人の方が稀ですよ!

ちなみに誠志郎には七歳年下の妹さんが居ます。暴れん坊が落ち着いたので、ご夫婦がよりいっそう親密になり……とのことでした。これがまた兄に似ず可愛らしい子で、ベッタリお兄ちゃんっ子らしいです。


『悪かったよ。弟と言っても、縁あって里子として、ね。それで、いいよね?』


重ねて確認を取ると、珍しく返事がなかなか来ませんでした。

しばらくして、


『静かにできるのなら。仕方ない』


えー?うちの子はツンツンしているけど、


『大人しいから、大丈夫』


なんせ、もう中学生ですよ?君の妹さんに五時間も静かにしろって言うのは酷でしょうけど。

さて、当日のお弁当はどうしましょうかねぇ。

ぼんやり考えながら、洸の部屋をノックします。


「行く。絶対に行く」


「勉強会」の「べ」しか口にしていないのに、座った目をしたCutieかわいこちゃんが言い切りました。

その気迫にタジタジになりながらも、やる気になってくれたのなら一安心です。なにせ彼、補習組ですから……


「そ、そう?じゃ十七日、九時半くらいに出発で」

「その日もお弁当持ってくの?」

「ん?そのつもりだけれど?」

「ボクも一緒に作るからねっ」

「あ、ああ。うん、助かる。じゃあ、七時起きで」

「起こしてね?」

「はは。分かったよ。洸もお休みだからって、あんまり夜更かししないように」

「分かってるもん!キィちゃん、養母かあさんより小うるさいよっ!」


地味に傷つきました……小うるさい……小うるさい、かなぁ……まあ、洸も難しいお年頃ですし、自立心も旺盛ですし、反抗期ですし……そういえば、姪にも言われたなぁ……

表面上は気にしていない風を取り繕って自室に戻ったはいいけれど、なにもする気になれず、そのまま不貞寝を決行しました。


当日。

食べ盛り三人前+αのお弁当を持って図書館へ。

誠志郎の開口一番は「弟?!でかいぞっ!!」でした。

どうやら小さい子を引き取ったと思っていたらしいです。

お陰で雰囲気は険悪、一触即発です。

勉強になるのやらと危惧していたら、そこへ救世主が!


「キリ?」


先輩です!受験生の赤原先輩です!!

思わず、燃えるような赤髪を短く刈り込んだ長身へ駆け寄り、懐いてしまいました。

で、四人に増えまして。

問題は席でした。

僕の理想としては、教えやすいように隣は洸、訊きやすいよう向いに先輩、斜向かいに誠志郎ですが、正面に体格の良い二人が揃うと並々ならぬ圧迫感が……

次点として、隣が先輩、向いが洸、斜向かいに誠志郎。

しかし僕以外の三人にも思う所があるようで、数分の討論の結果、午前中は誠志郎と僕と洸の三人が並び僕の向かいに先輩が、午後は先輩と僕と洸が並び向いに誠志郎が来ることになりました。

確かに六人掛けの机ですが……なに、この布陣。しかも席替え有りって……

まあ、ほぼ黙々と課題をこなすだけですから、集中、集中。


とそこへ、僕の肩に手を置いて緊張感を削ぐ声が……


2014.12.24 文化祭→学校祭(表記統一)

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