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ルナ姫の受難  作者: 東吉
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謎の王子視点→ライ視点になります。

 「王子、ちょっと本気ですか?」

 「お前に嘘をついてどうする? それに、ここまで来ておいて、本気も何もないだろう!」


 ルナは、俺の花嫁だ! 何故、了承の返事が来ないのか………?

 国同士の婚姻としては、決して悪い話ではないはず。特に、ルナの国にとっては……。

 なのに……何故、無視される?


 ルナとの政略結婚ではなく、他の貢物で済ませようと小賢しい真似をするのは、誰の考えなのか?

 ルナ自身が嫌がっているのか? だから、父王が結婚を認めないのか?


 それならそれで、構わない。

 例え、ルナに幼いころの約束事と一笑に伏されたとしても……。


 思わず、ニヤリと片方の口角が上がる。


 強引に奪うのも一興か……。


 調査報告によると、幼い頃のまま、お転婆に育っているらしいが……?


 女だてらに、魔法だけでなく、馬も剣も弓も扱えるらしい。

 魔法ばかりに頼るのは、頂けないからな。




 今日は、双子の王子と王女の誕生日祝いのための舞踏会。

 その混雑に紛れ、王女を攫う。


 それにしても、この警備の甘さは……?

 思わず、罠か? と思うほどなのだが……。



 後方から話し声が聞こえてきたため、柱の影に隠れる。


 『おい、聞いたか? 姫様に婚姻の話があるって!』

 『いや、知らない。だが、姫様も16歳になられるのだから、おかしくはないだろう?』


 『いや、今まで、婚約話すらなかったのがおかしいだろう? それが、突然、結婚だぜ? しかも、一か月後!』

 『急だな? で、どなたと結婚されるんだ?』


 『それが、ヴァンデル国のレオンハート王子らしい』

 『……!?』


 思わず、舌打ちしそうになるのを堪え、場所を移す。

 騎士たちが遠くへ行ったのを確認してから、従者へ合図する。


 「急ぐぞ! どうやら、猶予はないようだ。……は、今夜だ!」

 俺の低い声は、勿論、相手に届いている。

 目を合わせ、頷いて確認する。


 **********


 時は、舞踏会の真盛り。

 一部の衛兵たちが、慌ただしく城内を駆け回っていた。

 そして、その嵐は城下町にまで飛び火していた。

 城下町へ派遣された兵は、世継ぎの王子の近衛騎士たち。

 その指揮をとっていたのは、勿論、主であるライオネル・ソール・ラインストーン王子。


 「絶対に僕の妹、ルナ・ミラージュ・ラインストーン王女を連れもどせ! 彼女の髪の毛一筋でも傷がついていたら……」

 王子はわざと、言葉を濁す。


 『御意はっ!』

 騎士たちが敬礼し、それぞれの持ち場へと散っていく。


 暗闇の中、王子は呟く。

 「……ルナ……絶対に連れ戻すからね……」




 **********


 

 ライへ

 私のことは、探さないで下さい。

 ライのことは大好きだけど、このお城は大嫌いだったの。

 だから、家出することにしました。


 王女として、政略結婚は仕方ないと思っていたけど、国王様の選んだ国はないと思うの。

 私は、人様の家庭をぶち壊すなんて嫌なの。


 今までお父様に気に入って貰えるように努力してきたけれど、どうやら、無駄に終わったみたいなので、素に戻ることにします。

 今まで、いっぱい猫被ってました。ごめんなさい。

 ライは、気が付いていたかもしれないけどね。


 追撃魔法対策はしているから、無駄なので、あしからず!

 勿論、辺境候に戻るなんて……すぐにアシがつきそうなところになんて行かないわ!

 だから、辺境候に対して、変なことしないでね?


 下手な手出ししたら、この国の方が手痛いしっぺ返しされるからね?


 それでは、元気で。

 立派な王様になって下さい。


 ルナより


 追伸

 私の初恋が実るように祈っていて下さい。

 初恋の王子様と結ばれて(きゃっ)、子どもが無事に生まれた時には、連絡できるかも?



 **********



 手紙の宛名主であるライは、ワナワナと震えていた。

 「……お兄ちゃんは、絶対に許しません! ……子ども? そんな既成事実作ってしまう前に、絶対に握り潰してやる――」

 


 

謎の王子、誰だかわかりました?

謎でも何でもなかったですね。

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