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「俺のルナに何してくれてんのっ!」
ガッキーン! と剣がぶつかる音がする。
私は、フィリップス王子の後ろへ隠されて、ライの剣を受けたのは、勿論、王子だった。
私は、フィリップスの影から、剣を振り回すライを見つめ、驚愕する。
ライは、馬鹿王子のフリをしていたが、実は、相当な手練れではないかと疑っていた。
しかし、実際に、フィリップスと互角に戦っているところを見ると、予想以上の実力だった。
だが、フィリップスも体格からは予想しがたい、相当な剣豪だった。
この二人をこのままにしておくと、部屋の仲が滅茶苦茶にされそうだ!
いや、もう遅いかもしれないが……。
「ライ、止めてちょうだい! 止めないと、お兄ちゃんって、二度と呼ばないわよ!」
最後の言葉が効いたらしく、ライの動きが止まった。
「お兄ちゃん、剣はしまってちょうだい? ねっ?」
ライ好みの理想の妹を演じる。
「だって、だってね、僕の大切な、大切な妹に不埒なマネをする男は、死刑って決まっているんだよ? だから……!」
未だに剣を鞘に戻そうとしないライに焦れて、目つきを鋭くする。
「ライ?」
「ふぅっ! わかったよ、ルナ! いいか? 貴様のためじゃないからな! ルナのためだからな!」
ライは、これ見よがしに大きな溜息を吐いたあと、剣を鞘へ戻した。
それを見ていたフィリップスの方も、剣を戻してくれた。
「ルナ、こっちへおいで? そんなヤツの側にいたら、妊娠させられてしまう!」
「もう、ライったら、何言っているの? バカみたいなこと言っていないで、真面目にしてよね、もうっ! 大体、邪魔なのは、ライの方ですからね! 私とフィリップスはやっと、想いが通じ合ったのよ? それを邪魔と言わず何て言うのよ? これまで、ずーーっと、私の片思いだったんだから! とにかく、邪魔しないでよねっ!」
あー、すっきしりした!
言うことだけ言うと、スタスタと歩いてフィリップスの横に立つ。
ライの方を見ると、うるうると瞳を潤ませている。
ふんっ! その手に乗るものですか!
私が冷めた目で見つめていると、ライの方も子供騙しが通用しないと悟ったようで、その仮面をあっさりと脱ぎ捨てた。
急に眼光を鋭くして、フィリップスへ詰め寄る。
私が間に入ろうとしたが、それは、フィリップスに止められた。
大丈夫だから……。
そう、耳元に囁かれた。
その様子が、イチャイチャしているようにライの目には写ったのか、さらに目つきが鋭く、殺気を帯びる。
「覚悟はできているの?」
ライがフィリップスに向かって言い放つ。
「ああ! 何時でも!」
「そう、なら、その覚悟、俺の方にも見せてもらうよ? ここから先、貴様が妹を……ルナを守るんだ! もし、ルナの髪の毛一筋でも傷つけたら、即刻取り戻すから!」
「させない! 絶対に傷つけない! 俺が守ってみせる!」
二人は暫く睨みあっていたが、ライの方が先に、私へ視線を向けた。
「ルナも、いいんだね?」
「ええ。私は、もう既に選んでいたんですもの。国を出た時に!」
「わかった……。ルナ、君を捕まえようとしているのは、王だけではないよ? だから、気を付けて! 僕に言えるのはそれだけだよ。教えてあげたいけど、僕も一応世継ぎの王子だからね。こればかりは、言えないよ。ルナはもう、そこに突っ立っているヤツを選んだんだから。あっ! でも、心変わりしたんだったら、何時でも大歓迎だよ? その時にはすぐに、お兄ちゃんに知らせてね? 周りを蹴散らしてでも、駆けつけるから。必要なら、皆殺ししてもいいし!」
最後の方は、物騒なことを言うライに対し、
「心変わりなんてしないわよ! 何、物騒な事言っているの!」
と、噛みつくように言い返していた。




