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椅子

作者: 離羅

私は只の椅子です。

いつから貴方といるでしょう?

嬉しい時も悲しい時も背中からそっと貴方の事を見守ってきました。

貴方は私をひどく気に入ってくださり、子供達に話をする時、少しつかれた時、うたた寝する時。ずっと側にいてくださいました。

私はゴミに捨てられる運命だったのに…。

助けてくれた貴方に、感謝の気持ちでいっぱいです。

恋人をつれてきた時。心からうれしかった。

綺麗な花嫁姿の貴方を見た時は涙がとまらなかった

。子供が生まれてからは貴方の愚痴の相手、悩みの相談いろいろ聴かせてもらいました。

子供の手が離れてからは貴方と過ごす時間が多くなりいつも一緒にいた気がします。

ボロボロになった私を綺麗な、布で治していただいて…。とても嬉しかった。

でもいつからでしょう?貴方がベットの中で過ごすようになったのは…

たまに起きてきて

「やっぱり貴方が一番座りやすいわ…とても安心する。」

と言ってまたベットに戻る。そんな生活をしていましたね…

私は心から心配していました。

そんなある日、とうとうこの時が来てしまったんですね。

貴方はもう、動かない、喋らない、座らない。そんな時が…

貴方の笑顔が見れない。そんな時間は私はいりません。

貴方の声が聞こえない。なんて悲しいんでしょう。

その時貴方の娘がいいました。

「お母さんが気に入っていたアノ椅子…。全部棺に入れる事は無理だけど布を少しだけ切って棺に入れてあげましょう。お母さんもアノ椅子もきっと喜ぶはずよ」




だから今私は貴方の隣にいるのですよ?

大切にしてくれてありがとう。只の椅子をここまで大事にしていただいて…

貴方と過ごした時間は最高の幸せな時間でした。

天国に行っても座って下さい。私は背中からずっと見守り続けます…

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― 新着の感想 ―
[一言] 素敵なストーリーでした。家具を何十年も使い続ける、日本らしくていいですよね。
[一言] 初めまして。椅子が語る独白、大切にしてくれた人への想いが良かったです。  最後の“天国へ行っても使って下さい”が、心に一番残りました。素敵なお話しですね。それでは失礼致します。
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