日常
侍女としての1日は、主よりも先に起床し すぐにその支度を整えられるように準備万端にすることからだった。
どんな要望に応えられるよう 衣服も宝石もアクセサリーも………。
全てを用意しなければならない。
といっても 今仕えているお方は、ご自分をあまり着飾ろうとしないが。
けれど 何も身に付けなくとも その美しさは、誰もが溜息をつくと思う。
それは、他の侍女仲間も同意見。
当の本人にそれを言えば 大笑いしてしまわれるだろうけれどね?
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「ミリアム様………朝ですよ?
起きてください」
主であるミリアムを起こす役割は、いつの間にか この侍女の仕事になっていた。
「ミリアム様 早く起きてください」
その言葉に ベットの中に蹲っている影は、少しずつ起き上がってくる。
「………………<ローズ>……もう少し寝かせて頂戴?
陛下は………もう、起きてしまったのかしら?」
童顔なお顔を布団から少し出して ミリアムは、伸びをした。
「陛下でしたら 30分ほど前に部屋を後になさいました。
仲が良ろしいことは、国にとっても素晴らしいですが もう少し体力をつけましょうね?」
<ローズ>は、ニッコリと微笑んで 主の首元を指差す。
扉の前には、顔を真っ赤にさせている侍女2人が。
ミリアムは、首を傾げ フラフラと壁にある鏡に姿を晒すと 思わず悲鳴を上げてしまう。
「陛下………前に止めて欲しいと申し上げたのにッ!
普段は、弱気なくせに………!!
パニックになっている主に <ローズ>は、微笑ましそうに見つめている。
これが、いつもの1日の日常の第一歩。
<ローズ>とは、誰でしょうね?