夢
――わたしは、一体 どうしてしまったの?――
<ローズ>は、何かに漂う感覚に陥りながら 考えていた。
辺りを見回してみる限り 色が全くない。
なぜ そう思ったのかは、全然わからずにいる。
見渡す限り 目の前には、霞んだものしか広がっていなかった。
ただ 自分の姿だけは、わかる。
服装は、清楚なワンピースで その色は、綺麗な淡い海の色。
手首には、薔薇の宝石のあるシルバーリングが………。
――何だろう………懐かしい気がする――
なぜかは、わからないが そんな気がしてきた。
頭に触れてみると 髪の毛は、綺麗に纏め上げられている。
確証はないが 見事なまでに1つ1つ三つ編みを施され 上げられているらしい。
ふと 手の甲にある薔薇の紋章を見つめて ハッと目を見開く。
「何だか わたしが、わたしじゃないようね?」
溜息をつきながら <ローズ>は、溜息をついた。
「けれど ここは、どこなの?
わたし………………中庭で………斬られた筈。
それに 何でこんな姿をしているのかしら………」
状況が、掴めず <ローズ>は、ワンピースに触れ クルリと回ってみる。
――それは ここが 君の夢の中だからだよ――
どこからともなく 声が聞こえてきた。
急いで 振り返ってみたものの 先ほど確認した通り 誰もいない。
――今の姿は、記憶を失う前 君が普段着飾っていた姿――
その言葉に <ローズ>は、息を呑んだ。
「着飾る………って、それ相応の身分だったって事?!
ルチアさんが言うには わたしは、それなりの上流貴族に適応する礼儀作法が身に付いていると言っていたわ?
わたしは、記憶を失ってしまっているから どういう事なのかは、全然わからないのだけど………。
あなたは、知っているという事なのよね?」
その問いかけに 声は、微かに苦笑しているようだった。
――そんなにせっかちにならないで?
君は、まず 時間を置くべきなんだ――
「どういう事なの?
わたしは、突然 刺客に背後から斬りつけられたようだったけれど………それと関係があるの?」
――あるよ。
連中は、君の中に別の人格を仕込んだ。
君は、まず それを追い出してもらわないといけない。
そうでなければ その人格は、彼らを害する存在だから………君は、殺されるだろう――
物騒な話を聞いて <ローズ>は、顔を真っ青にさせてしまう。
「じゃあ………あの斬りつけてきた誰かが、わたしの中に変なのを入れたって事なの?
っていうより………なぜ、そんな事に?!
その刺客は、捕まったの?」
――捕まっていない。
それ以前に 誰が、刺客なのかもわかっていない状況なんだからね?
まぁ………厳戒態勢は、強化されたみたいだけど――
どこか 呑気な言い草に <ローズ>は、思わず叫びそうになった。
けれど どこにいるのかもわからない相手に どう叫べというのだろう?
――王達は、君が考えている程 甘くないから 心配はいらない。
君は、この国に来た目的を 1つ果たしたんだから――
その声に <ローズ>は、”どういう事?!”と 叫んだ。
「わたしが、この国に来た目的?!
どうして………ただ 侍女をしていただけで 目的を果たしたという事になるの?」