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「許されない」  作者: 十九春


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『栄光への一本』・・・

『インターハイ女子団体戦当日。岐阜県総合体育館の熱気は、選手たちの緊張と観客の期待で最高潮に達していた。


群馬彩華高等学校剣道部は、並み居る強豪を次々と破り、ついに決勝の舞台に立つ。相手は、地元の絶対的エース、県立岐阜商業高等学校。会場は岐阜商業への大声援で揺れていた。


決勝戦、いよいよ火蓋が切られる。


先鋒・山本。緊張からか、いつもの積極的な攻めが出し切れず、残念ながら一本負け。岐阜商業に先取点を許す。


次鋒・小林も、相手の気迫に押され、惜敗。これで、群馬彩華は0勝2敗と追い込まれた。会場の岐阜商業応援席からは、早くも優勝を確信するような歓声が上がる。


しかし、群馬彩華の選手たちは、まだ諦めていなかった。


中堅・佐藤。ここで負ければ、優勝の望みは潰える。絶体絶命のピンチ。佐藤は、相手の猛攻をしのぎ、粘り強く戦い続ける。何度も危ない場面があったが、持ち前の粘り強さで耐え抜き、執念の引き分けに持ち込んだ。辛くも優勝への望みを繋ぐ。


そして、副将・東清美。


個人戦の敗退、監督からの叱責、仲間たちの慰め、そして前夜の誓い。全てが清美の脳裏を駆け巡る。「ここで負けるわけにはいかない。」その強い決意が、清美の瞳に宿る。


試合開始の合図と共に、清美はまるで別人のように攻め立てた。個人戦での臆病さは微塵もなく、真っ直ぐに、そして力強く相手に打ち込んでいく。会場のどよめきの中、清美は豪快なメンを決め、一本。さらに続く攻めの中で、相手の隙を見逃さず、電光石火のコテ!


見事、二本勝ちを収めた。群馬彩華、1勝2敗1分け。望みを大将・田中へと繋ぐ。


大将・田中。

清美の猛攻と勝利を見て、田中の胸にも熱いものが込み上げる。「清美の気持ちを、絶対に無駄にはしない!」

田中は、持ち前の冷静さと、ここ一番での勝負強さを遺憾なく発揮する。岐阜商業の大将もまた、地元の期待を背負う強者。一進一退の攻防が続き、試合は延長戦に突入する。しかし、田中は集中力を切らさない。相手のわずかな動きを捉え、鋭いドウ!


会場が静まり返る中、審判の旗が群馬彩華に上がる。田中、一本勝ち!


これで、2勝2敗1分け。勝敗数は並んだ。

勝者数、取得本数も全くの同数。


優勝の行方は、一本勝負の代表戦に委ねられることになった。

群馬彩華から選ばれた代表は、他ならぬ東清美だった。


再び道場の中央に立つ清美。個人戦の決勝と同じ舞台、同じ緊張感。

だが、清美の表情は、あの時とは全く違っていた。不安も迷いもない、研ぎ澄まされた剣士の顔だ。


対する岐阜商業の代表は、先鋒で山本を破った選手。


試合開始。「はじめ!」の合図と共に、清美は力強く相手に打ち込んでいく。

全てを出し切る覚悟が、清美の剣には宿っていた。


長い、長い攻防。

一瞬の静寂の後、清美が渾身のメンを放つ!


「メーン!!」


審判の旗が、三本、真っすぐに清美に上がった!


その瞬間、会場は割れるような大歓声に包まれた。


群馬彩華高等学校、悲願のインターハイ女子団体戦優勝!


清美は面を外し、込み上げる涙を抑えきれずに、天を仰いだ。個人戦での屈辱、監督からの叱責、仲間たちの支え、そしてこの一本。全てが報われた瞬間だった。田中たちが駆け寄り、清美を抱きしめる。道場の床に、また一つ、熱い涙の跡が刻まれた。だが、今度は、歓喜の涙だった。』


・・・

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