誓いの道場
インターハイが行われる岐阜県に到着し、宿にチェックインした日の夜。
明日の本番を控え、インターハイ女子団体戦のメンバー5人は、宿泊施設に併設された小さな道場に集まっていた。
外は静まり返り、道場にはわずかな明かりが灯っているだけだ。竹刀の音はなく、ただ静かに、五人の呼吸だけが響く。
それぞれが防具を身につけ、面を外した状態。今日の移動の疲れと、明日への緊張が入り混じったような空気が漂う。東清美は、稽古着の紐をきつく締め直し、床を見つめていた。
最初に口を開いたのは、主将の田中だった。
田中(主将・大将):
「みんな、今日まで本当にお疲れ様。そして、ありがとう。ここまで来れたのは、私たち五人だけじゃなく、監督や先生方、応援してくれたみんな、家族…たくさんの人たちの支えがあったからだね。」
田中は一度、全員の顔を見渡す。
「明日は、いよいよ本番。全国の舞台。正直、緊張してる。怖い気持ちもある。でも、それ以上に、みんなとなら絶対やれるって信じてる。」
そして、東清美に視線を向けた。
田中:
「清美、個人戦のことは、もういい。あの悔しさは、ここにいる私たち全員で背負う。そして、明日は、あの悔しさを全てぶつけて、誰よりも強い清美の剣道を見せてほしい。私たちは、清美を信じてるから。」
田中の言葉に、東清美はゆっくりと顔を上げた。その目には、まだ少し不安が混じっているが、同時に強い光も宿っていた。
東清美(副将):
「…部長、みんな。ありがとう。正直、まだ怖い気持ちもある。個人戦のことが、頭の片隅から離れない時もある。でも、もう逃げない。このインターハイは、私にとって、もう後がない戦いだから。」
清美は深く息を吸い込んだ。
「みんなが私を信じてくれるから、私は絶対に諦めない。個人戦の分まで、いや、それ以上に、チームのために全身全霊で戦います。明日は、絶対に勝ちます。 みんなで、日本一になります!」
清美の決意に、他のメンバーも頷く。
佐藤(副将):
「清美、辛かったのはわかる。でも、清美がいたから、私たちここまで来れたんだよ。清美の強さは、私たちが一番よく知ってる。だから、明日は清美らしく、思いっきり暴れてきてほしい。後ろは私たちが守るから!」
小林(中堅):
「そうだよ、清美! 私も、正直ドキドキが止まらないけど、清美がいてくれるから心強いよ。みんなで力を合わせれば、どんな相手だって乗り越えられるはず。明日は、全員で最高の剣道を見せようね!」
山本(先鋒):
「東先輩! 私、先輩たちのために、絶対先鋒で流れを作ります! 緊張するけど、みんながいるから頑張れます! 優勝目指して、頑張りましょう!」
五人の視線が交錯し、確かな絆がそこにあることを感じさせた。静かな道場に、熱い決意が満ちていく。
田中:
「よし! みんな、もう一度、心を一つにしよう。明日は、私たちの全てを出し切る。そして、この五人で、必ず日本一の栄冠を掴む! 絶対に勝つぞ!」
「おっしゃー!!」
力強い声が、岐阜の夜の道場に響き渡った。明日の激戦を前に、五人の心は完全に一つになった。




