清美の決意
壮行会で監督は叱責を含めた激励の言葉をメンバーに投げかけた。
監督の激励の言葉を受け、出場メンバーの大将で剣道部部長の田中が一歩前に進み出て、力強く、はっきりとした声で応える。
「はいっ! 監督、お言葉ありがとうございます!」
「私たちインターハイ女子団体戦出場メンバー一同、監督のお言葉、胸に刻みました。個人戦での悔しさは、私たちも決して忘れておりません。特に、清美の悔しさは、部員全員の悔しさです。」
「しかし、監督がおっしゃる通り、団体戦は個人戦とは違います。私たちは、この群馬彩華の誇りを胸に、五人の心を一つにして戦い抜くことを誓います!」
「確かに、全国の舞台は甘くはありません。しかし、私たちには、これまで積み重ねてきた稽古の量と質があります。共に汗を流し、時には涙を流してきた仲間がいます。そして、何よりも、監督をはじめ、支えてくださる全ての方々の期待を裏切るわけにはいきません。」
「もう、弱気になる時間はありません。怯むことなく、逃げることなく、最後まで攻め続ける剣道で、必ずや全国の頂点に立ちます!」
「群馬に、日本一の旗を持ち帰ります! !」
(田中は深々と頭を下げる。その目には、強い決意の光が宿っていた。)
東清美も悔しさを踏まえ、田中部長に続いて、一歩前に進み出る。
まだ少し声は震えているが、その目には強い意志が宿っていた。
「…はい、監督。」
「私は、個人戦で、この群馬彩華の、そして応援してくださった皆さんの期待を裏切ってしまいました。あの日の悔しさ、情けなさは、一生忘れることはありません。」
「反省文に書いた通り、私の弱さ、甘さの結果です。全国への切符を掴み損ねた私の責任は、計り知れないと痛感しております。」
「しかし、監督がおっしゃる通り、私はここで立ち止まっているわけにはいきません。団体戦は、私の高校剣道生活、最後のチャンスです。」
「個人戦で負った傷は、団体戦の勝利でしか癒せないと信じております。私が、再びこの剣道着に『群馬彩華』の文字を背負わせていただけることに感謝し、今度こそ、その重みを全身で受け止めます。」
「田中部長が言った通り、私たちは五人で一つです。私が弱気になれば、チームに迷惑がかかることは重々承知しております。」
「…もう、二度と、逃げません・・・ 個人の悔しさを、団体戦の勝利へと昇華させられるよう、全身全霊を懸けて戦い抜きます。私の全てを懸けて、このチームの勝利に貢献します!」
「必ず、全国の頂点に立ちます!」
(清美は深々と頭を下げる。その声には、まだ悔しさが滲んでいるものの、そこには確かな決意が感じられた。)




