激励
数日後、道場で、東清美はじめ、5人のインターハイ女子団体戦に出場するメンバーの壮行会が開催された。
道場の前、整列した選手たちと集まった部員達。
女子個人戦では群馬県代表を逃したが、女子団体戦では代表を逃すわけにはいかない。壮行会で監督は叱責を含めた激励の言葉をメンバーに投げかける。
「えー、これより、女子剣道部インターハイ団体戦に出場する5名の壮行会を執り行う。…だが、祝いの席だなどと浮かれている暇はない。」
(監督は、まず女子団体メンバー、特に東清美に厳しい視線を向ける)
「団体戦メンバー。聞け。お前たちには、二度と失敗は許されない。特に、東。」
(!)
「お前は個人戦で、この群馬彩華の看板を背負う重みを理解できず、結果として全国への切符をみすみす逃した。あの敗戦は、お前個人の敗北ではない。我々剣道部全体の、名誉の傷だ。あの日の悔しさを、お前はもう忘れたか?」
(清美は顔を上げ、強く首を横に振る。)
「良いか。我々は、全国に名だたる強豪校だ。『負けても仕方がない』という言い訳は、この群馬彩華高には存在しない。お前たちがこれから挑むのは、並大抵の戦いではない。全国の頂点を争う、正真正銘の激戦だ。」
「だが、お前たちには力がある。この数ヶ月、いや、この数年間、流した汗と涙は、誰にも負けていない。お前たちは、この群馬県を勝ち抜いた精鋭だ。」
「団体戦は、個人の集合体ではない。五人の心が一つになった時、初めて真の強さが生まれる。誰か一人が弱気になれば、チーム全体が崩れる。誰か一人が逃げれば、他の四人がその穴を埋めるために倍の苦労を強いられる。」
「田中主将! お前がその五人の心を束ねろ。東! お前は、個人戦で背負えなかった重荷を、今度は五人で分かち合い、そして倍の力を出して背負い直せ! お前の悔しさは、チームの勝利でしか晴らせない。」
「インターハイは、お前たちにとって最後のチャンスだ。高校剣道生活の全てを懸けろ。自分のため、仲間のため、そしてこの学校の誇りのために、竹刀を振れ!」
「逃げるな。怯むな。 泥臭くても構わない。みっともなくても構わない。勝って、群馬に帰ってこい!」
「勝利あるのみ! 以上だ!」




