勝利の義務と遂行
魁星旗剣道大会の決勝戦。群馬彩華の選手たちは、疲労と恐怖を燃料に変え、圧倒的な規律と集中力で試合を進めた。
中堅、そして副将の新しいメンバーも、小林が味わった屈辱と排除を背後で感じながら、一瞬たりとも緩むことなく勝利を収めた。この時点で、勝者数で既に群馬彩華の優勝が確定した。
しかし、彼女たちが求めるのは「優勝」という称号ではない。「不完全な勝利」を「完全な勝利」で塗り替えること、すなわち全勝優勝という絶対的な結果だった。
全ては、組織への忠誠と、小林を排除した監督の判断の正しさを証明するためだ。
そして、大将戦。東清美がコートに立つ。彼女の剣道には、感情的な迷いも、個人のトラウマもない。あるのは、勝利という名の使命だけだった。
試合開始。東は冷徹に攻め続けるが、相手大将もまた強豪。一瞬の隙を突かれ、先に一本を奪われた。
「メーン!」
会場に響く審判の声。東は一本を先取された。もう後がない。完全優勝の夢が、一瞬で砕かれかねない状況。
しかし、東清美はそこで崩れなかった。彼女の脳裏に浮かんだのは、「高校と剣道部への命懸けの忠誠」を誓った、涙の会議室の光景だ。「もし負けたら」という恐怖は、「勝つしかない」という絶対的な使命感に昇華されていた。
東は、本当に死ぬ気で攻めに転じた。一歩も引かず、全身全霊を懸けた猛攻。
その剣は、もはや人間の剣というよりも、勝利のみを追求する鬼神のようだった。東は、相手の動きを凌駕し、二本を立て続けに奪い返した。
「コテ!」「ドウ!」
その瞬間、完全優勝が決定した。
群馬彩華高等学校剣道部、魁星旗剣道大会、全勝優勝・・・。




