部員達の励まし
反省文を読み終え、監督は道場を出て行った。
道場の重い沈黙が、監督の足音と共に遠ざかると、張り詰めていた空気は一気に緩んだ。東清美はまだ、畳の上に膝をついたまま、震える肩で顔を伏せている。
その時、数人の剣道部員たちが駆け寄った。
「清美!」
3年生の田中部長が、清美の背中にそっと手を置く。
「清美、もういいよ。辛かったね。全部わかってるから。あそこまで自分を責めなくてもいいんだよ。」
2年生の佐藤副部長が、涙ぐむ清美の顔を覗き込む。
「清美は悪くないよ。私たち、清美がどれだけ頑張ってきたか知ってるもん。期待が大きすぎただけだよ。代表になれなかったのは、清美一人の責任じゃない。」
同じ2年生の小林も、清美の膝の横に座り込む。
「そうだよ、清美。あんな、みんなの前で土下座みたいに謝らなくてもよかったのに…。心が痛いよ。」
後輩の山本が、心配そうに清美を見つめて言う。
「東先輩、いつも私たちの目標です。先輩の稽古に対する姿勢を見て、私たち頑張れてるんです。だから、顔を上げてください!」
田中が、清美を立たせるように優しく肩を抱く。
「さあ、立って。悔しいのは清美が一番だろうけど、まだ団体戦がある。清美の力が必要なんだ。顔を上げて、また一緒に頑張ろう。私たちは、清美を信じてるよ。」
佐藤が、清美の目元を拭う。
「大丈夫。清美の剣道は、やっぱりかっこいいよ。また、あの清美の真っ直ぐな面が見たい。頼むよ、エース!」
仲間たちの温かい声と、優しく触れる手のひらが、清美の凍りついた心を、ゆっくりと溶かし始めた。




