冬…
「第2回反省を促す会」以降、東清美はじめ剣道部員たちには、文字通りの「休み」は消滅していた。
授業、剣道部の稽古、そして県内外の対外試合と、勝利という名の「ノルマ」を達成するため、彼女たちはひたすら畳の上で竹刀を振り続けた。
季節は厳冬期を迎えた。が、彼女たちに休息は許されない。
年末年始であろうと、道場には監督の厳しい指導と、木刀の鈍い音が響き渡っていた。
体調管理は、もはや義務を超えた絶対条件だった。
疲労による微熱、あるいは生理による倦怠感や痛みでさえ、彼女たちの前では存在を許されない。
少しでも顔色が悪ければ、監督からの容赦ない叱責と、「勝つことへの忠誠を怠っている」という厳しい視線が注がれた。五人の部屋の壁に貼られた反省文は、常に「弱さは罪である」と訴えかけていた。
東清美は、個人優勝を果たした後も、驕りを見せるどころか、さらに稽古に没頭した。彼女の剣道は、もはや自己の感情とは切り離された、「学校に勝利をもたらす機械」のように研ぎ澄まされていた。彼女の動きには、一切の迷いがない。あるのは、勝利という結果への冷徹な執着だけだった。
そうして、息つく暇もなく、時間だけが過ぎていった。
気がつけば三月。例年、厳粛な空気と、卒業の寂しさが入り混じる卒業式の日を迎えようとしていた。




