権利剥奪
五人の涙ながらの朗読を終えても、会議室の緊迫した空気は緩まなかった。
校長は、無言で体育科長と監督に目線を送り、「後は二人で指導してくれ」と言わんばかりに静かに席を立ち、会議室を出ていった。
体育科長は、溢れる涙を溜めて、震える五人のメンバーを一通り見つめた。
その眼差しは冷酷だった。
そして、横にいる監督に目線を動かし、低い声で鋭く言いつけた。
体育科長:
「監督、指導を。」
監督は、一瞬の躊躇もなく立ち上がった。その顔は無表情で、感情を一切読み取れない。
監督は、まず先鋒の山本の前へと進み出た。
監督:
「山本、二度と組織を裏切るな。」
その言葉とともに、監督の平手打ちが山本の顔に炸裂した。
「バシッ!」という乾いた衝撃音。山本は強い衝撃で椅子から吹き飛ぶように倒れ、床の上に倒れ込んだ。
監督は次いで、小林、佐藤、そして東清美、田中部長の順に、同じように言葉をかけ、強く、そして容赦なく平手打ちを顔に加えた。
バシッ! バシッ! バシッ!
強い痛みが顔面を襲い、倒れたメンバーたちは、思わず顔を押さえる。
その肉体の痛みは、精神的な屈辱と混ざり合い、それまで溜めていた涙さえも、まぶたの奥深くに引き込まれていった。
痛みは、涙腺を麻痺させたかのように、彼女たちの目から水分を奪い去った。
五人が全て平手打ちされ、倒れたまま動けずにいる中、体育科長は、冷たい鉄槌を下した。
体育科長:
「いいか、立ち上がれ。」
五人は、痛みに耐えながら、ゆっくりと立ち上がる。顔には赤く平手打ちの跡が残っていた。
体育科長:
「よく聞け。お前たちには、この群馬彩華高等学校に在学している間、涙を流す権利も、溜める権利も、ない。」
その言葉は、彼女たちが最後に残していた、人間的な感情の自由さえも剥奪した。




