忠誠 への涙
30分後。修正を終えたメンバーたちは、張り詰めた面持ちで再び読み上げる。
校長、体育科長、監督の三者に向け、彼女たちは書面を読み上げていく。
その声には、疲労と緊張、そして心底からの反省がにじみ出ており、誰もが涙を溜めながらの朗読となった。
1. 山本(先鋒・1年生)の修正後の書面
「…この一週間、群馬彩華高等学校の生徒として、剣道着の重みを背負い続けたことで、私個人の勝利がチームの勝利ではないことを痛感しました。体育科の生徒として、この学校の看板に泥を塗ったことを、深く反省いたします。
今後は、試合の最後まで、勝利への忠誠を貫き、この高校と剣道部の名誉を傷つけることのないよう、精進することを、涙ながらに誓います。」
2. 小林(次鋒・2年生)の修正後の書面
「…私の恐怖からの逃げは、群馬彩華の選手として、体育科の教育に対する侮辱にも等しい行為でした。日頃の生活においても、厳しい規律を徹底し、学校と部に対する忠誠を、日々の行動で示します。二度と、私の個人的な感情が、チームの、そして学校の勝利の足枷になることはありません。」
3. 佐藤(中堅・2年生)の修正後の書面
「…中堅としての消極的な精神は、群馬彩華高等学校剣道部の伝統と誇りを軽んじる行為でありました。体育科の生徒として、全国の舞台で勝利に徹しきれなかったことを、最大の恥といたします。
今後は、高校と剣道部への絶対的な忠誠のもと、どのような局面でも、勝つことのみを追求するという覚悟を、高校生活、貫きます。」
4. 東 清美(副将・2年生)の修正後の書面
「…私は、二度も、群馬彩華高等学校の看板と、体育科の教師陣の指導を裏切りました。私の自己保身は、組織への反逆に他なりません。この敗北は、私の存在価値の全てを否定するものだと受け止めます。今、私の剣道着の腰板にある『忠誠』の二文字は、私の命です。高校と剣道部への命懸けの忠誠をもって、必ずや汚名を雪ぎ、二度とこの過ちを繰り返さないことを、誓います。」
5. 田中(大将・部長・3年生)の修正後の書面
「…主将としての私の甘さは、群馬彩華高等学校の厳格な指導方針、そして体育科の信頼を、根底から崩しました。これは、高校と剣道部への裏切りです。私は、『勝つことこそが、最大の忠誠である』という原則を、身をもって部員全員に示せませんでした。これからは、個人の感情を完全に排し、勝利という絶対的な結果をもって、学校と部への忠誠を証明します。高校の誇りを背負い、部員を導く者として、二度と敗北を許しません。」
・・・五人全員が朗読を終える頃には、その目には涙が溢れていた。
それは、屈辱と、そして組織への「絶対的な忠誠」を誓う、決意の涙だった。
会議室は、彼女たちの熱い誓いに満たされ、最終審判の時を待つこととなった。




