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「許されない」  作者: 十九春


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反省書面

反省の書面…



1. 山本(先鋒・1年生)の書面


件名:「敗北の原因と今後の剣道部への貢献について」


『この度の団体戦敗北について、私の勝利が結果的にチームの重圧を増したというご指摘を深く受け止め、反省いたします。


私の敗因は、勝利の後の油断と、チーム全体への責任感の欠如です。自分の試合に勝ったことで満足し、中堅以降の展開を考えきれず、チームの勢いを確実なものにできませんでした。これは、上級生の背中を見ているだけで、自らが「群馬彩華」の看板を背負っているという自覚が足りなかったからです。


この一週間、剣道着を着て過ごす中で、どれだけ多くの方々の期待を裏切ったかを痛感しました。今後は、たとえ先鋒であっても、「役割を果たした」と満足せず、試合の最後まで、団体戦の勝利のみを追求する貪欲さを剣道に注ぎ込みます。上級生を支え、次の世代にこの悔しさを伝えていくため、日々の稽古

と生活において、忠誠の二文字を胸に刻み、精進することを誓います。』



2. 小林(次鋒・2年生)の書面


件名:「勝敗以上の責任と、今後の意識改革について」


『決勝戦での私の勝利は、チームの勝利に繋がらなかったため、全く価値がありませんでした。私の敗因は、「勝つこと」と「圧倒すること」の違いを理解していなかったことです。


試合中、相手の猛攻にさらされた際、「一本を取られてはいけない」という恐怖から、攻めよりも守りを意識してしまいました。この恐怖からの逃げが、中堅戦、副将戦の流れを厳しいものにしたと痛感しています。私の勝ちが、逆に後の選手の枷になってしまいました。


日頃の生活においても、厳しい稽古から逃げたいという甘えがあったことを認めます。今後は、試合内容にも、日常生活にも、一切の甘えを排します。剣道着の重みを忘れず、一瞬の躊躇も許されない剣道を追求します。次の大会では、勝利以上の、チームを勢いづける決定的な勝利をもって、学校の名誉を回復することに尽力します。』



3. 佐藤(中堅・2年生)の書面


件名:「中堅の責任と、勝ちへの執念の欠如について」


『私は、中堅という重要なポジションで、勝利を掴みきれませんでした。私の敗因は、「引き分けで良しとする、消極的な精神」です。


先鋒・次鋒の勝利という流れの中で、私は「ここで自分が負けたら」という恐怖に飲み込まれ、終盤、明らかに攻めを緩めました。これは、勝利への執念と覚悟が、相手よりも劣っていた証拠です。あの時、私には、全国優勝という目標に対する絶対的な忠誠が欠けていたのです。


この一週間、剣道着での生活は、私の甘さを恥じる日々でした。今後は、どんな状況でも一歩も引かず、貪欲に一本を奪いに行く剣道精神を徹底します。特に、試合の決定的な局面で、チームを勝利に導く「勝利の要」となれるよう、精神と技術の全てを立て直します。必ず、次の大会では、私の剣道で、日本一を掴み取ります。』



4. 東 清美(副将・2年生)の書面


件名:「組織への裏切りと、己の剣道人生を懸けた決意」


『この度の敗北の根本的な原因は、私の自己保身であり、それは組織への裏切りに他なりません。


私は、個人戦のトラウマを克服するという私個人の目標を、団体戦の優勝という絶対的な使命の上に置きました。結果、決勝の最も重要な局面で、私は攻めることを恐れ、責任を回避しました。私の敗北は、皆の努力を、そして学校の期待を、私の「弱さ」という名の刃で打ち砕いたことに等しいと深く反省しております。


この剣道着での一週間、私が背負っているのは、ただの敗北ではなく、『裏切者』という重い烙印であると自覚しました。二度と、私の個人的な感情や恐怖心で、チームを危機に晒すことは致しません。これからは、「勝つため」だけに、私の剣道人生の全てを懸けます。


群馬彩華高等学校剣道部の名誉と勝利のために、私の存在を賭して、必ずや汚名を雪ぐことを、校長、科長、監督に誓います。』



5. 田中(大将・主将・3年生)の書面


件名:「主将としての責任と、勝利に徹する忠誠の誓い」


『主将である私の敗因は、「大将としての判断の甘さと、勝利への貪欲さの欠如」です。


清美への配慮を口実に、私は『勝てば美談になる』という安易な思考に陥り、代表戦で自らが決着をつける主将の責任から逃げました。そして、私の試合内容もまた、引き分けで満足する消極的な剣道でした。これは、組織の頂点に立つ者が、最も勝利に徹しきれなかったという、最大の失態です。


私に足りなかったのは、「勝利こそが忠誠である」という冷徹なまでのプロフェッショナリズムです。この一週間の屈辱は、私自身の甘さが招いた当然の結果と受け止めます。今後は、部員たちに対しても、自分自身に対しても、いかなる感情論も排し、勝利という絶対的な結果のみを追求するよう、稽古していきます。

残りの高校生活全てを懸け、群馬彩華の剣道部の名誉回復のために、身を捧げることをここに誓います。』



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