更なる反省
田中主将:
「…田中です。深く、改めて反省します。
私の根本的な敗因は、『組織の勝利』よりも『個人の感情』を優先したことに尽きます。」
(田中は、涙を拭い、まっすぐに校長と体育科長、監督を見据えた。)
「清美を代表に立てたのは、美談ではなく、『もし負けたら清美のせいだ』と、主将の責任を無意識に回避しようとした、私の甘えと保身です。
そして、私自身の試合においても、『引き分けでも次がある』という逃げの意識が、勝負どころで一本を奪い取る『貪欲さ』を奪いました。
……
剣道部部長として、私は『勝つことこそが、全てを正当化する』という厳しさを、チームに徹底できませんでした。これからは、個人の感情や、仲間の状況に流されることなく、群馬彩華高等学校、そして剣道部の名誉のために、何よりも『勝つ』ことを第一とする剣道精神を貫きます。
二度と、私の甘さで、チームを敗北に導くことは致しません。高校と剣道部の勝利のために、全身全霊で忠誠を誓います。」
田中が述べ終わると、続いて東清美が、決意を込めた眼差しで口を開いた。
東 清美:
「東です…。私の根本的な敗因は、『私自身の存在価値を、勝利という結果に委ねすぎたこと』です。個人戦で敗北した時、私は『負けたら、もう居場所がない』という恐怖に支配され、その恐怖を団体戦に持ち込みました。
私は、試合中、『自分のトラウマを克服すること』という自己満足的な目標を、『チームを優勝させる』という団体戦の絶対的な目標よりも上に置いてしまいました。その結果、勝負を避け、責任から逃げ、最後に一本を取られるという最悪の結果を招きました。
……
私に足りなかったのは、『恐怖を乗り越える勇気』ではなく、『学校の代表として、何があっても勝たなければならない』という、組織への覚悟と責任感です。
これからは、二度と私個人の感情でチームを危険に晒しません。剣道部の名誉のために、勝利という結果だけを追求することに、全てを捧げることを誓います。」
二人の、血の滲むような、そして組織への忠誠を誓う弁を聞き終えても、体育科長の顔は変わらなかった。深く静かに頷いた後、冷たい声が響いた。




