反省の弁
山本(先鋒・1年生)
(震える声で、顔を伏せたまま)
「申し訳…ありません。監督がおっしゃる通り、私は先鋒で勝ったことで、どこかで『役割は果たした』という甘い気持ちがありました。後の先輩方に、流れを繋ぐことだけを考えてしまい、その勝利が逆にプレッシャーになるという、チーム全体への配慮と、勝利への覚悟が足りていませんでした。自分の勝利に酔っていた部分を深く反省しています。私の未熟さが、チームの重荷になりました。
・・・本当に申し訳ありません。」
小林(次鋒・2年生)
(涙声になりながらも、はっきりと)
「次鋒の私まで勝って、これで中堅の佐藤に大きなプレッシャーをかけてしまいました。私は、勝ちましたが、試合中、『これで決められたらどうしよう』という守りの意識が、頭の片隅にありました。もっと圧倒的な勝ち方で、チームの勢いを確固たるものにできていれば、結果は変わっていたかもしれません。あの時、もっと貪欲に攻め切れなかった自分の弱さ、甘さを痛感しています。
・・・申し訳ございませんでした。」
佐藤(中堅・2年生)
(悔しさに声を詰まらせながら)
「中堅の私が、あの場面で決めきれなかったことが、全てを難しくしました。引き分けで望みを繋いだ、という安堵感と、『ここで負けたら終わりだ』という恐怖心の間で、最後まで攻めきれませんでした。監督がおっしゃる通り、勝ちへの執念が、途切れていました。優勝への道のりの中で、最も重要な局面で、私の精神的な弱さが露呈しました。二人の先輩に重い流れを背負わせてしまったこと、深く反省しております・・・。」
東 清美(副将・2年生)
(体全体を震わせながら、絞り出すような声で)
「私は…個人戦の失敗を、団体戦で乗り越えると言いながら、結局、決勝の大舞台で、また、逃げました。
勝利よりも『失敗したくない』という保身の気持ちが、無意識のうちに私を支配していました。時間がなくなるにつれて、攻めるべき時に竹刀が出ず、最後の瞬間に冷静な判断を失い、一本を取られてしまいました。
・・・監督がおっしゃった通り、私はチームの勝利よりも、自分自身の失敗への恐怖を選んだのだと思います。私の敗北が、大将の田中に、そしてチーム全体に与えた絶望の大きさを、今、痛感しています。私のせいで、皆の努力を無駄にしてしまい…
…本当に、申し訳ありませんでした。」
田中(大将・3年生)
(涙をこらえ、最もはっきりとした強い口調で)
「大将、田中です。今回の敗北の全ての責任は、主将である私にあります。
私は、団体戦の本当の重さを、最後の最後まで理解できていませんでした。
清美が敗れた後、『清美にもう一度チャンスを』と考えたのは、私の弱さであり、甘さです。あの時、エースを信じること以上に、私が、このチームの大将として、必ず一本を取って、優勝を決めるという貪欲さが欠けていました。
そして、代表戦の判断も、私の責任です。私が一本を取って終わらせるべきでした。にもかかわらず、チームの力を過信し、流れを清美に委ねた。結果、チームを準優勝という敗北に導いたのは、他ならぬ、私自身の判断と、攻めきれない剣道です。三年間、このチームを日本一に導けず、本当に申し訳ござい
ませんでした…」
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5人の力強い反省の弁が終わると、再び会議室には重い沈黙が訪れた。
他のメンバーは皆、悔恨と恐怖でうつむいている。
しかし、上座に座る体育科長と監督の表情は、まだ晴れていなかった。
特に、体育科長の眼光は鋭く、納得していないことを示していた。




