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「許されない」  作者: 十九春


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監督の追求

監督の声に、メンバー全員の肩がびくりと震える。


校長や体育科長からの追及よりも、監督からの言葉の方が、ずっと重く、心を抉ることを、彼女たちは知

っていた。



監督:

「校長先生方のおっしゃる通りだ。準優勝など、この群馬彩華においては、負けも同然。そして、その敗北の原因は、お前たち一人ひとりの甘さ、弱さにある。」


監督は、まず先鋒の山本を指名した。


監督:

「山本! お前は先鋒で一本勝ちを収めた。だが、その後の二人に、どれだけのプレッシャーを与えたか理解しているか? お前の勝利が、逆に中堅以降を『勝たなければ』という窮地に追い込んだ。お前の一本は、本当にチームのために取り切った一本だったのか?その勝ちに、慢心はなかったか?」


理不尽ともいえる追求だったが、山本は、泣き出しそうな顔で「申し訳ありません」と繰り返す。


次に、次鋒の小林。


監督:

「小林! お前も勝った。だが、内容は完璧だったか? 相手の攻めに、もっと余裕を持って対応できなかったのか? お前の一本勝ちが、優勝を決定づけるはずだった中堅の佐藤に、どれだけの重圧をかけたか、想像できるか?」


小林もまた、顔を伏せる。


中堅の佐藤。


監督:

「佐藤! お前は引き分けた。あの場面で引き分けたこと自体は評価する。だが、それで満足したのか? 引き分けで『よくやった』と思えた時点で、お前の勝ちへの執念は途切れていたのではないか? あそこで一本取れれば、すべてが決まっていたのだぞ!」


佐藤は、悔しさに唇を噛み締める。


そして、副将の東清美。監督の視線が、清美を射抜く。


監督:

「東清美。」


監督の声は、これまでの誰よりも低いトーンだった。


監督:

「お前は、個人戦で全てを失いかけた。そして、我々はお前に、団体戦でその雪辱を果たす機会を与えた。前夜、お前は『もう逃げない』と誓ったはずだ。

にもかかわらず、なぜ決勝で、あの土壇場で、お前はまた逃げた! なぜ、あの時、攻め切れなかった?なぜ、あの時のトラウマを乗り越えられなかった?」


清美は、体を震わせ、必死に涙をこらえている。


監督:

「お前の敗北が、どれほどチームに絶望を与えたか。どれほど、大将の田中を苦しめたか。お前は、チームの勝利よりも、自分自身の保身を選んだのではないか!?」


最後に、大将の田中主将。


監督:

「田中。そして主将。お前はチームの司令塔だ。清美が敗れた後、お前は動揺しなかったか? エースである清美を、再び代表戦で立たせようとした気持ちは理解する。だが、その優しさが、結果としてチームを勝利から遠ざけたのではないか?」


「・・・」


「あの時、お前が一本を決め、チームの勝利を掴むべきだった。主将として、なぜもっと貪欲に、優勝を奪いに行く剣道ができなかった? お前自身の敗因は何だ? 清美に責任を押し付けるな。主将として、お前がチームを負けさせた最大の原因は何だ!」



田中は、ぐっと拳を握りしめ、顔を上げることができない。監督の言葉は、まるで鋭い竹刀のように、彼女たちの心に深く突き刺さっていた。会議室には、重い空気と、時折聞こえる鼻をすする音だけが響き渡っていた。



監督による激しい叱責の後、会議室の沈黙はさらに重くなった。

校長や体育科長、そして監督の厳しい視線が突き刺さる中、メンバーたちは一人ずつ、震える声で口を開いた。

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