表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「許されない」  作者: 十九春


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/39

それは、敗北から始まった。

この物語はフィクションです。

でも、本当にフィクションかどうかは、わかりません。

なぜならば、その貪欲な勝利至上主義は、学校か、指導者か、それとも個々の部員の心のどこかに潜んでいるから・・・

小学校3年生の頃から剣道に励み、群馬彩華高等学校体育科2年生で剣道を励んでいた(あずま 清美(きよみ女子。17歳。


2年生として群馬県のインターハイ女子個人の代表と期待されていた。


・・・しかし、彼女は決勝戦で敗退をした。


代表になれず、

高校の名誉を傷つけ、

剣道部の名誉を傷つけ、


・・・剣道部監督・広澤から叱責されていた。



放課後の道場に響くのは、竹刀が打ち合う音ではない。広澤監督の叱責の声だ。


叱責の合間に訪れる静寂さえも、東清美の耳に重くのしかかる。



広澤監督の厳しい眼差しが、清美の全身を射抜く。


「東、お前は何をやっているんだ!」


広澤監督の声が、張り詰めた空気の中で一層大きく聞こえた。

清美は顔を上げられない。唇をきつく噛み締めることしかできなかった。


インターハイ群馬県予選、女子個人戦決勝。

誰もが清美の優勝を信じて疑わなかった。小学校3年生から剣道を始め、常に期待の星として注目されてきた清美。群馬彩華高校体育科の2年生として、学校の、剣道部の期待を一身に背負っていた。しかし、結果はまさかの敗退。


「お前は、この学校の名誉を、剣道部の誇りを、土足で踏みにじったんだぞ!」


広澤監督の言葉が、清美の胸に再度突き刺さる。

悔しさ、情けなさ、そして何よりも、皆の期待を裏切ってしまったことへの罪悪感が、清美の心を締め付ける。


「申し訳、ありません…」


絞り出すような声が、か細く道場に響いた。


「謝って済む問題ではない。お前一人の問題じゃないんだ。わかっているのか!」


広澤監督の怒声に、清美の肩がびくりと震える。


頭の中で、決勝戦の最後の瞬間が何度もフラッシュバックする。あと一歩、あと一歩だったのに。なぜ、あの時…


清美の目から、一筋の涙がこぼれ落ち、畳に小さな染みを作った。

道場の空気は、重く、冷たいままだった。清美は、ただ立ち尽くすことしかできない。


インターハイへの夢は、この夏、儚く散った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ