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久しぶり

 僕は竦む足を奮い立たせて、裏口の扉を開いた。目の前には扉だった物と、物になった人。先ほどの騒動で踏み荒らされているが、今朝見たのはチャペルへと行き、引き返してくる足跡が二種類ほどあったのを覚えている。もう少しよく思い出してみると、最初天使さんは扉を押したが開かず、その後鍵を開け再トライを行ったが開かなかった。演技にも見えなかったし、鍵を開け閉めしてるのに開かないのは変な話だ。扉の残骸にも目をやってみる。扉は内開きのはずだが、外側にはじけ飛んだ。既に壊れているせいで調べるのは難しかったが、内側に面している扉には少しひびが入っている。

 外の状況はここまでに、意を決して中に入る。不愉快だったあの生暖かさはもう残ってなかったが、腐臭のような嫌な臭いは以前残ったままだった。僕は十字架を真っすぐ見据える。今は半ばで折れてしまっているが、元は3mもあるため、十字に沿うように磔にするにはとても苦労したに違いない。このチャペルにも館にもはしごになりそうなものは見かけなかった。あまり気は進まないが、生死牢の遺体を調べることにした。もちろん手を合わせた後に。まず、生死牢本人かどうか確かめるために、頭部を覗いてみた。かなりグロテスクにはなっているが人相は確かに彼のものだった。髪の毛も調べたが、あることに気づいた。後頭部に細い打撲痕がある。磔には登山で使う、ハーケン(岩に刺す楔)が使われていた。左手、左ひじ、右手、右ひじ、首、両足は重ねて刺されており、計6本のハーケンが彼の体を貫いていた。後の警察のためにもちろん外すことは出来ないが、ここまで丁寧な仕事だと、さぞ犯人も疲れただろう。しかし、磔にされた時点で生存は困難であり、生きたまま燃やすのはほぼ不可能と言ってもいいだろう。というより、磔にして燃やすまでする意味はあるのだろうか。

 折れた十字架の根元をじっくり見てみると、燃え尽き朽ちたことで十字架が折れたと考えていたが、それにしては切り口が鋭利な部分がある。壊された椅子やテーブル、皿などの豪華な調度品も遠くから見たらわからなかったが、どうやら刃物で切り付けられた跡があった。それと気になったのが、黒い染みが付着し焦げた小さな円柱形の木片だ。椅子やテーブルの脚かと思ったがどうやら大きさが合わないようだ。チャペルの隅の方に目をやると損傷の少ない部分があったため、近づいてみると床に鍵の付いた扉が埋まっていた。床下収納?地下室?鍵は壊されたチャペルの扉よりも重厚な面持ちをしていて、とてもパンチやキックなどでは壊せそうにない。僕は鍵束のものを試してみたがどれも鍵穴には合わなかった。

 もうそろそろ30分ほど経ちそうだ。天使さんのところへ戻ってみようか。このチャペルもあらかた捜査し終え、出した結論。このチャペルは事件当時『密室』だった。

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