捜査開始
まずは何から捜査を始めようか。現場100遍と言うし、事件現場でも見に行くか。それとも二階にある三人の個室でプライベートを覗き見するか。一階の自分か生死牢の部屋の荷物の確認とか、キッチンの食べ残しでも漁りに行くか。後は、地下にも怪しいものはまだまだたくさんあった。三人のアリバイと証言でも聞きに聞くのもいいだろう。僕は君の言うとおりにしよう。
僕はポケットに入れておいた、生死牢からのメモを開いた。メモにはただ一言「ベットの下」とだけ書かれていた。生死牢は僕の隣の部屋だったはずだから行ってみる。廊下で電話と格闘している天使さんから調査のためと鍵束を頂いて、そのまま生死牢の部屋に行くと、中は文字通りもぬけの殻だった。朝食の時、天使さんは「早朝に帰ったかも」と言っていたが、そう思うのも無理はないだろう。しかし実際は、この館を後にした訳じゃない、荷物はどうしたのだろう。部屋の観察を終えると僕はおもむろにベットの下へと手を伸ばした。何かにぶつかった感触があったので、取り出すといかがわしい本...ではなく普通の日記帳と思われる手帳を手に入れた。故人のプライバシーを除くのは心が痛むが、そうは言ってられないのでとりあえず最新のページを開いた。
「〇月×日 今日は新しい宿泊者が入館した。まずい、早く帰らせた方がいい。この猛吹雪がなければ今すぐにでも帰りたいのに,,,僕は自分の安全を守ることに決めた。どうやらこの館はあの館と同じ構造のようだ、あそこにあるのかもしれない。あの印を破壊しなければ。天使の見回りの30分前から作戦を始める。」その前日のページも見る「〇月△日 今日は調査のためにここ、サンクチュアリの館へやってきた。この館や天使と名乗る老人には妙な見覚えがあり、宿泊している人らにもなんだか緊張感が解けない。皆僕を歓迎してくれたが、今までの経験からだろうか、じっとりと汗が滲んでしまう。今日はもう夜遅いが、明日の天気次第ではすぐにここを立ち去ろう。」それ以降のページはあまり、関係しないようだ。僕は日記帳を懐へしまい、生死牢の部屋を後にした。次に向かうのは、この日記帳の持ち主、彼の所だ。