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 気が付くと元の私の部屋でベッドの横に座っていた。


朝なのかしら?


 小鳥が外で囀っているし、使用人たちが働いている音が聞こえてくる。死神は私を強制的に眠らせたのだと思う。よく見ると透けていた手や身体は元に戻っている。


 あれからどれくらい経ったのか全く分からない。身体と離れている分時間の感覚がないような不思議な感覚なの。

 相変わらずベッドで寝ている自分の身体。前よりも頬がこけてしまってあまり健康には見えない。そんな状態の自分を見ると悲しくなってきてしまう。


こんなにも脆い自分を家族は守ってくれようとしている。


死にたくない、だけど人の命を代償として生き返るなんて出来ない。


 そんな考えをしながらジッと自分の身体を見つめていると、


「ようやく起きたようだね。透けていないね」

「ねぇ、死神さん。私はあれからどれくらい眠っていたの?」

「大体四日くらいかな。昨日君とアラン君との婚約は解消されたよ。おめでとう」


 死神は私の手を取り鼻歌と共にダンスを踊る。その様子が可笑しくてふふっと笑ってしまった。


「そうそう。君はそうやって笑っているといい。あぁ、そうだ。君が眠っている間に色々と楽しい事が起こっていたよ。話を聞くかい?」

「えぇ。聞きたいわ」


私はソファへ腰かけて死神の話を待った。


「侯爵家から帰ったアラン君はね、色々と現実を知ったんだ。家の経済状況とか、その原因が男爵領からだったとか。伯爵は隠してはいなかったけれど、アラン君は興味がなかったんだろうね。

伯爵に聞いて知ったみたいだったよ。今更だよね。伯爵ったらさ、それはもう烈火の如く怒り狂っていたよ。

思い出すだけでも笑いが止まらない。ようやく、ようやくだよ。アラン君が置かれている状況に気づいたのは。馬鹿だよね。今頃君を捨てた事を後悔しているんじゃないかな?ハハハッ」


 死神はまた上機嫌で宙に浮きながら笑っている。


「死神さん、ノーラはどうなったか知っているの?」

「あぁ。メインディッシュはちゃんと最後に取っておく事にしたんだよ。今から見に行くかい?」

「えぇ、お願い」


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