11.遠乗り
アルフレッドは悩んでいた。宝石なら絶対に喜ばれると何人もからきいたのに、またシャーロットを困らせたようだ。どうしたらシャーロットを喜ばせることができるのか、自分でちゃんと考えなければ…と。
シャーロットが自室で朝食を取っていると、アルフレッドが現れた。
「今日は休みとなった、また一緒に馬で出かけないか?」
「馬に乗れるのですか」
シャーロットの顔が明るく輝き、アルフレッドは心の中で(よしっ!)と叫んだ。
持参した乗馬服に着替えるとシャーロットはフレッドと共に馬房に向かう。
「貴方は馬房も初めてではなかったな」
「ノアールに会いたかったので」
シャーロットが首を撫でると、ノアールは気持ち良さそうにしていた。
シャーロットは白いブランカに騎乗する。
アルフレッド、シャーロット、護衛2名で公爵家の外に出た。
しばらく馬を走らせると、高い城壁についた。門番に声をかけて中に入るフレッドに続く。護衛はここに残るようだ。
門の内側に美しい並木道が続き、時々兵の姿が見える。
「フレッド様、ここは…」
「ああ、王宮の庭だ、危険は無いし人は少ない、好きなだけ走らせてくれ」
(なんて贅沢な遠乗りだろう)
ノアールはとても速い、少し距離が出来ると足踏みをして待っていてくれる。必死に追いかける私を見つめるフレッド様の目は優しい。
(勘違いしてはいけない。これはフレッド様の謝罪よ)
勝手に傷ついたシャーロットを労ろうとするフレッド様は優しすぎる。優しさに応えるよう、分を弁えた振る舞いをしよう。
庭の奥には木の柵や植え込みが点々と置かれた場所があった。
「これは障害のコースですか?」
「その通り、時計はある。競争するか」
「障害なら負けませんよ」
「ああ、シャーリーの華麗なジャンプは覚えている」
フレッドもレーゲンスブルク領での遠乗りを思い出しているようだ。
ノアールもブランカも賢い馬で、障害も綺麗に飛越する。私たちはとても楽しい時間を過ごした。
「そろそろ届いているはずだ」
フレッドに誘われ東屋のある庭に移動した、水場で馬を休ませ手を洗う。
東屋のテーブルには軽食と紅茶の用意がされていた。
アルフレッドが湯をポットに注ぐ。
「フレッド様、私が」
「今日はシャーリーをもてなす日だ、座って待っていてくれ」
フレッド様が淹れてくれたお茶はとても美味しかった。お茶を飲み色々な話をして、公爵邸に戻った時はすでに夕暮れだった。
幸せな一日に、王都にいる間だけ、フレッドを好きでいることが許されるならとシャーロットは願った。




