表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夢の覚書 第5夜

作者: 悠々

薄暗い店である。中東風の部屋の中央には、水たばこがあり、灯が入っていた。うっすらと水蒸気が立ち込める中、私は水たばこ越しに店主と向かい合っていた。彼が水たばこの吸い口から一口吸い込む。私もそれをまねて一口含む。しばらくはそれを繰り返した。どの程度たったころだろうか。店主は私に軽く頭を下げ、席を立った。私は、しばらく一人で水たばこを吸い続けた。一口、また一口と喫しているうち、その吸い口から黒煙が上がっていることに気が付いた。奇妙に思い、水たばこのほうを見やると、内部の液相が、黒々とした色に変わっていた。いつからそんな色だったのだろうか。気づかないうちに妙なものを吸ってしまっていた。と思うと、どうも視界が暗くなってきたように思う。しかし、私は黒煙あがる水たばこの吸い口に手を伸ばしていた。どうにもよくないものであることが感じられるが、なぜだか吸わずにはいられない。一口。吸ったか吸わないか。曖昧となった。 

 街だ。気が付けばビルを見上げている。すごい速さで景色が流れていく。私はこんなに早く走れただろうか。いや、そもそも体は弛緩している。ゆるんだ口元がもとに戻らない。しかし景色が流れていくのは何なのか、と、ようやく自身が車に乗っていることに気が付いた。体は弛緩し、首すら回せないので、私はただただ外の景色を眺めるだけである。明るさから言って昼間なのだろう。少し視線を下げると、人々が歩いている姿が見える。みな、私を一瞥する。はた目から見ても、正常でないことは見て取れるのだろう。露骨に顔をしかめる人。連れと指さして笑うもの。無関心に眺めるもの。いずれにせよ、私の体は何の反応も示さない。体は相変わらず指一本動いてはくれない。私を乗せて車は進み風景は流れる。ただただそれだけである。

 そこで目が覚めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ