身近にある異世界~その声聞こえますか?~
こんにちは〜! 聖属性エッセイスト、ひだまりのねこですにゃあ。
皆さま、異世界好きな方多いですよね~。かくいう私も大好きです。
とはいえ、異世界転生するにはトラックに跳ねられたり、神様の手違いという天文学的な幸運が必要になりますから、あまり現実的ではありません。
ですが、今私たちが暮らしているこの世界だって、十分にミステリアスで、不思議がいっぱいなんですよ。
今日は、身近にあるけれど、認知できないそんな異世界(暴論)のお話。
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今年の夏は暑すぎるので、セミさんもやや大人しいですけれど、やはりうるさいですよね?
あれは、雄が雌を呼ぶための求愛の歌なので、彼らも必死なのです。
でも、なぜセミの鳴き声だけあんなにうるさいのか。それは周波数に原因があります。
人間の耳が聞きとれる音は、20Hzから20,000Hzの間だと言われています。これを可聴領域といいます。この可聴領域よりも低い音、つまり周波数が20Hz以下の音は聞こえません。そのような音は超低周波、20,000Hz以上の高い音は、超音波と呼ばれていて、これも聞くことはできません。
中でも人間にとって聞こえやすい音域は、2,000Hzから4,000Hzの高さの音。
この周波数は、赤ちゃんの泣き声や、女性の悲鳴など、種を保存するために、生命の危機に関わる音を最優先に最適化した結果なのでしょう。
実際、家電製品の警告アラーム音などは、この周波数をうまく利用しています。
さて、ではセミの鳴き声はというと、種類や個体差に幅は有りますが、2,000Hzから9,000Hzですので、鳴き声の大部分が人間の耳の感度にジャストフィットなのです。
ようするにラジオの周波数がぴったり合った状態とでもいいましょうか。同じ音の大きさでも必要以上に大きな音に聞こえてしまうのです。
蝶の羽ばたきの音は聞こえないのに、蚊のぷ~んという羽音が聞こえるのも同じ理屈です。
ちなみに、携帯電話が通す音は、300Hz〜3,400Hzですから、電話口でセミが鳴いていても、相手には聞こえていないという不思議な現象が起こります。風流な風鈴の音色も残念ですが電話越しでは台無しです。
とまあ、ここまでは前ふりなんですが、実際にはセミとは真逆で、人間には聞こえない音の世界があるのです。いわゆる超低周波と超音波ですね。
例えば、犬猫のしつけに使う犬笛なんかは、16,000Hzから30,000Hzなので、ほぼ人間には聞こえませんが、犬は50,000Hz、猫は65,000Hzまでが可聴領域なので、とてもよく聞こえます。
ネズミの鳴き声が50,000Hzなので、犬や猫は、狩猟をするために高音に特化していったのかもしれません。
さて、ここは戦聴力(可聴領域)を競う天下一武聴会会場。
優勝を狙うは、ウサギのラビッツ選手ですが、
ラビッツ「ふふふ、私の戦聴力は4万」
ワンコ「馬鹿め、我の戦聴力は5万、引っ込んでるんだわん」
にゃんこ「にゃはは、こっちは6万にゃあ~」
耳が良さそうなイメージのウサギさんですが、40,000Hzまでと意外や人間の2倍程度。
キリギリス「ふん……雑魚どもが、俺の戦聴力は10万」
イルカ「ふはは、その程度か。おいどんは15万!!」
蛾「ひれ伏しなさい。世界は闇へ、わらわの戦聴力は25万!!」
一同「くっ、このままでは、世界は蛾に支配されてしまう……誰かいないのか?」
コウモリ「ほっほっほ…私の戦聴力は40万です… ですが、もちろん全力を出すつもりはありませんからご心配なく…」
というわけで、可聴領域ではコウモリが圧倒的です。
逆に超低周波部門では、ゾウやクジラが強豪です。ゾウは数十キロ離れた仲間と交信可能ですし、クジラにいたっては、千キロ以上離れていても会話が出来る種類もいるのです。
だだし哺乳類最弱の部類である我々人間も捨てたものではありません。可聴領域が広い生物は、その分、音を聞き分ける能力を犠牲にしています。音楽が楽しめるのは、可聴領域が狭いからなのです。
カエル、鳥、セミ、コオロギなど、音色を奏でる生き物は、可聴領域が狭く人間に近いのは偶然ではないのでしょう。
世界にあふれる音、聞こえない音に思いをはせるのも、楽しいですよ。
※可聴領域の広さは、耳の良さをそのまま表すわけではありません。各種数値は引用元とでかなり幅があるので、参考までにお楽しみください。




