違和感
授業が終わり、昼休みになる。
授業はまだ魔術に関する事は一つもない。元の世界と同じく、算数や国語の授業が行われた。
難易度としては中学レベル。僕は中学校の成績は上の下ほどで、授業では分からない部分はなかった。
それよりも気になるのは、エミさんだ。二つ授業を行い、合間に10分ほど休憩があったが、彼女の周りには誰も近づくことはない。避けられているような気がするが、原因が分からない。対して目立つことはしていないし、人から嫌がられるようなことを彼女がするとも思えない。
本人に聞くべきか?いや、彼女が見せたあの表情と何か関係があるのなら、少し時間を空けるべきかもしれない。
僕は昼休みの間だけでも彼女と一緒にいようと思い、朝レイガスさんに渡された弁当を持って近づいた。
「エミさん、一緒に食べない?確か校庭とかで食べてもいいんだよね?」
エミさんは僕に声をかけられて少し戸惑っているようだったが、一緒に昼食をとることにしてくれた。
校庭と一口にいっても、木々が生い茂る自然豊かな場所もある。僕らはそこで昼食をとることにした。
黙々と弁当を食べる時間が続く。僕はひとまずあのクラスの話はしないことにした。
「そういえば、学校長と少し話をしたんだけど、「私の話が信頼できないのならエミリーを連れてくるといい」って言われたんだ。どういう意味なのか分かる?」
「……。」
エミさんは答えない。思い返すと、エミさんとはこれまでに何度も色んな話をしていたけど、学校生活の話はしてもらったことがなかった。
もしかすると、エミさんにとってこの学校はあまり居心地の良い場所ではないのかもしれない。
仮にそうだったとして、僕にできることなどほとんど0に等しいだろう。でも、放っておくことなどできるはずがない。もう二度と、見て見ぬふりをして後悔するのはごめんだ。
「エミさん、聞いてほしいことがあるんだ。」
慎重に言葉を選び、話し出す。
「僕はエミさんの味方だ。この先もずっと、僕はエミさんの味方であり続ける。だから、もし何か悩みがあるのなら、教えてほしい。別に今じゃなくてもいい。ただ、僕はいつでもエミさんの力になりたい。それだけは知っていてほしい。」
僕は自身の思いをちゃんとエミさんに伝えられたのか、自分のいった事を頭の中で確認する。人に自分の思いを伝えるのは僕にとってはとても難しい。自身の思っていることを完全に把握することやそれを言語化することは苦手だ。そのせいで僕は元の世界で何度もいじめにあったし、逆に人を傷つけることもあった。
でも、これだけはちゃんと伝えたい。彼女には笑っていてほしいから。
みると、エミさんは僕の言葉を聞いて、安心したような顔をしている。今までにもこんな顔は見たことがあったが、今日は一段とリラックスしている気がする。
「私ね、ショー君にずっと隠してたことがあるの。」
「構わないよ。誰にだって隠し事の一つや二つ、いや、もっと持っているものだよ。」
「うん、ありがと。ショー君なら、この事実を聞いても大丈夫だと思う。
エミさんは目を閉じて深呼吸をし、気分を落ち着ける。
「あのね……、私には、嘘を見抜く能力があるの。」




