魔術学校
僕が今日から通う学校は魔術師を育成するための学校だ。魔術というのが何なのか、ようやくはっきりする。それはいいのだが……。
「……あの……エミさん?そんなに顔を赤くされると、逆にこっちも恥ずかしくなってくるんだけど……。」
エミさんは僕の隣で顔を真っ赤にして俯いて歩いている。
僕らは結局、学校に通う事にはなってもエミさんの家にいさせてもらう事に変わりはなく、同じ学校に通うという事で、エミさんと一緒に登校することとなった。
それにしても、エミさんは何故こんなにも恥ずかしがっているのか分からない。この間二人で出かけた時はここまで……というか、まったく恥ずかしがる様子はなかった。明らかに様子がおかしい。
そして、それはエミさんに限った話ではなかった。周囲の視線が以前二人で出かけた時よりもかなり多い。いくら何でも注意を引き付けすぎだ。二人で歩いているだけでこれは異常だと分かる。
なんだか気味が悪くなり、僕らは少し速足で学校まで向かった。
学校に着くと想像以上にしっかりとした建物があり、少し驚いた。以前この学校を建物の中から見た時は治療室からは一切出ず、あまりしっかりと見ていなかったからだ。
学校は中学校や高校というよりはどちらかというと大学のような作りに近かった。門もかなり大きいし、校舎も多い。
生徒はみな同じ制服を着ていて、全員が腰に杖を持っている。大体の形はそろっていても全く一緒の色、形をしたものはない。エミさんだけはそれが木刀で、少し妙な違和感がある。
正直、僕は学校にはあまりいい思い出はない。授業や勉強が嫌いとかではなく、雰囲気というか、空気が嫌いなんだ。
翔は指定された場所でエミさんと分かれ、校長室に向かう。元々僕が入学する事を進めてくれたのは生徒会長だが、入学を許可してくれたのは学校長だ。
まずはその人に挨拶を済ませなければ始まらない。
少し迷いながら指定された場所につくと、重々しい扉の部屋がある。金の装飾などもあり、何だか触ることすら悪い気がしてくる。
そんな複雑な気持ちになりながらも、僕は部屋をノックする。
「失礼します。翔です。学園長はいらっしゃいますか。」
あまり間を開けずに返事は返ってきた。
「入りなさい。10秒以内に。」
10秒以内?別に指定されなくても入るけど……。
僕が部屋に入ると、そこには眼鏡をかけた老人が大きな椅子に座っていた。