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12話
アリスさんとマル兄さんはサイブリーに託した。と言っても、奴らの狙いなんて任務に失敗した俺の始末くらいしか無いだろうけど。ただソワードとリルチェちゃんが来たのがおにーさん的に予想外というか、存在を忘れていたというか、仕方ないね。
「兄さん、後ろ!」
ソワードが背後に居たらしい敵を斬る。その剣捌きは見ていてやっぱり辛いものがあった。何故かって? やっぱり嫉妬しちゃうじゃないか。俺より才能がある奴を見ると。王様だって、ソワードだって、俺の血の滲むような努力なんか見てないじゃないか。王……いや、アリックスには人を惹き付け魅了する王としての才覚が最初からあった。なんでか俺は奴から妬まれていたけれど、俺のは所詮一時しか扱えない紛い物、粗悪品をそれっぽく磨いて魅せているだけだ。ソワードもそうだ。いつまでも俺の背中なんて追ってないでさっさと自分で自分の道を見つけろ、バカ。
「ソワード」
刺客はもうほぼ倒したし、茶番はこの位で良いだろう。後ろにいたソワードの背中を押す。すると同時に、兵士の剣先が深々と俺の心臓を貫いた。もう、良いだろう。道化師の役目なんて、所詮こんなもんなんだから。嫌な鉄の味が口内に広がる、そして、俺の意識はここでようやく解放された。




