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東方滅界録  作者: 坂上儚月
第一章-来訪者、そして謎-
6/12

第四話-異変の真相は過去の記録-

あ、タイトルには書いてないですけど龍神王と時龍の会話がほとんどになると思います(多分)


それと外伝の方も新しくキャラも増えましたので更新したいと思います。

竜神達は治療した赤蛮奇を背負って村人が避難している寺子屋へと向かっていた。


「しかし、あの崟兒と言う奴は相当な仲間思いの奴なんだな。」


「ああ。あいつは仲間を一番に大切にしている奴だからな。例え妖怪であろうとも人里に住んでいる仲間を守れなかったのは相当悔しいだろうな。」


竜神は背負った赤蛮奇をチラリと見てそう言った。


「だが、そう言う奴に限って危ない行動を取るんじゃないのか?良いのか放っておいても。」


「あいつは大丈夫だ。例え冷静さを欠けていたとしても危ない行動は絶対に取らない奴だ。そこら辺は心配しなくても大丈夫さ。」


「余程あの崟兒の事を信用しているんだな。」


「まあな。あいつには色々と借りもあるしな。あいつの事を信用するなと言われても信用し続けるだろうな。」


幻真は竜神の言葉に確かに崟兒に対する信用の大きさが感じられた。


「…全く、羨ましい限りだな。」


「そう言うがお前には居ないのか?絶対に信用出来るやつは。」


幻真には確かに信用している者はいる。が、この幻想郷(せかい)には居ない…それは結構辛いものだった。


「居るにはいるが、この幻想郷には居ないからな。誰を信用したら良いのか分からんさ。時龍は…まあ信用してるっちゃしてるが…何ぶんあの性格だからな。戦闘とかだったら別に良いんだが。」


「確かにあの時龍じゃ何をやらかすか分からないからな。主に戦闘が無い時とか。」


「そうなんだよな。主に戦闘が無い時とかな…はぁ…」


「お前も相当苦労してるんだな。…っと、寺子屋が見えてきたな。」


竜神達が話をしながら歩いている内に寺子屋に到着した。寺子屋の前にはアルマとパルスィが見張りとして立っていた。


「スマンな。漸く終わった。」


竜神はアルマ達と合流すると、早速アルマ達に慧音が中に居るか聞いてみた。


「ああ、慧音だったら中で子供達の相手をしているぞ。俺やパルスィじゃ子供達が泣きわめくからな。」


「そうか。まあ、とりあえず悪いな。こんな事を押し付けちまって。」


「いや、いいさ。それよりも俺とパルスィは一旦別行動を取らせてもらうぞ。少し別件で調べたい事があるからな。」


アルマはパルスィを横目で一瞬だけ見ると、パルスィも一瞬だけアルマを見た。


「…分かった。敵が何処から現れるか分からんから気を付けろよ。」


「心配しなくても油断はしないさ。それじゃ面倒だがさっさと行くとするか。」


アルマとパルスィは話を終えるとすぐに人里から出て行ってしまった。


「なにを調べに行ったんだろうな。」


「さあな。ま、あの二人を気にするよりも先に慧音に会って話を聞かないとな。」


「それもそうだな。それに赤蛮奇も休ませてやりたいしな。」


竜神は寺子屋に入ると、崟兒の働いている定食屋の女将さんを見つけた。


「おお!竜神じゃないか!」


「女将さんじゃないですか。大丈夫でしたか?」


「大丈夫さね!逃げる時に妖怪が一匹襲ってきたけど殴って追い払ってやったさね!」


女将は豪快に笑いながらそう話してくれた。


「相変わらず女将さんは豪快過ぎですね。」


竜神は苦笑いをしながら女将と話をしていたが、女将が後ろに居る幻真に気付いた。


「おや、その後ろに居る若者は誰だい?さっきの二人組もそうだけどここら辺じゃ見ないけど…」


さっきの二人組と言うのはアルマとパルスィの事だろう。とりあえず竜神は幻真が此処の幻想郷の住人ではない事。それに異変に巻き込まれてこの幻想郷に幻想入りしてきた事を話した。


「そうかい…そんな事が起きていたんだね…」


女将は幻真の方を見ると、そう呟いた。


「まあ、この異変さえ解決してしまえば良いだけだからな。さっさと終わらせたらそれで終わりだ。」


幻真は女将の呟きが聞こえたのでとりあえずそう言っておいた。


「そうかい…だけど無理しちゃいけないよ。いざという時にかえって最悪の方向に傾いちゃうかも知れないからね。」


女将は幻真の目をしっかりと見て話した。


「分かっている。俺だってバットエンドにはさせたくないからな。」


幻真もしっかりと女将の目を見てそう言った。


「…それなら良いさね!無事に帰れるように祈っておくよ!」


と、女将は幻真の背中をバシバシと叩いた。


「ちょっ…痛い痛い!」


「おっと、済まないねぇ。どうも女なのに力が強くてね!」


女将は背中を叩くのを止めると、竜神が背負っている赤蛮奇に目を向けた。


「さてと…所で竜神は何で蛮奇ちゃんを背負っているんだい?」


「ああ、ちょっとな。赤蛮奇が建物の下敷きになっていたのを見つけてな。とりあえず治療したが傷が少し深くてな。寺子屋で安静に出来ないかと思って連れてきた。と言うか外に放っておきってのも男としてあれだろ?」


「ハッハッハ!相変わらず竜神は優しいねぇ!」


女将はこれまた大きく笑うと、竜神の背負っている赤蛮奇を受け取った。


「この子は私が看病しとくよ。竜神達は慧音先生と話をしてきな。慧音先生も竜神達に話したい事があるみたいだからね。」


「ありがとう女将さん。それじゃあ赤蛮奇の方は頼みます。」


竜神達は女将にお礼を言うと慧音の居る部屋へと向かった。


「慧音、居るか?」


「ああ、居るぞ。入ってくれ。」


竜神と幻真は慧音の部屋へ入った。(儚月と菫子は念の為に人里の警備へと向かった)


「ん?竜神、そちらにいる人は誰だ?」


慧音は竜神の後に入ってきた幻真を見て首を傾げていた。


「おっと、自己紹介しようか。俺は幻真。この幻想郷に幻想入りさせられた者だ。」


幻真は簡単な自己紹介を慧音にした。


「そうか。こんな大変な時に幻想入りしたなんて大変だったな。私も自己紹介を…」


慧音が幻真に自己紹介をしようとしたが、幻真はしなくても良いと言った。


「ん?一応名前を教えて貰ったのだから私も教えないといけないだろう?」


「なに、俺は幻想郷(ここ)に来る前から俺は慧音の事をよく知っているから大丈夫だ。」


慧音はそれを聞いて再び首を傾げた。


「ここに来る前から私を知っていた?」


「それに関してもこれから話す事と関わりがある。とりあえず今の現状を話し合うのが先じゃないか?」


慧音は幻真を少し怪しく見ていたが、竜神と一緒に居るという事もあって、とりあえず幻真の言う通りに話を始めた。


「まあ、君に関しては後で詳しく聞こう。とりあえず今の現状だな。人里が先程妖怪の奇襲にあい、私が率いる自警団の数名が負傷した。死者は一人も出ていないのが幸いだった。だが、一つだけ気掛かりなことがある。」


慧音は竜神と幻真に驚く事を話した。


「とりあえず一つ言える事がある。それは襲ってきた妖怪は全て"造られた形跡がある"という事だ。」


「造られた…まさか、一年前の異変と関わりが?」


「それはまだ分からない。だが、阿求が過去の文献を調べていると不思議な事を見つけたらしい。」


「不思議な事?それは何だ?」


「まあ、待ってくれ。さっき阿求に来るように伝えておいたからあと少しで来る。」


慧音が言うのと同時に阿求が扉を開けて入ってきた。


「すみません。少し遅れましたか?」


「いや、俺達も少し前に来たばかりだから丁度良い。」


「そうでしたか。慧音先生から聞いていますよね?これから大事な事をお話します。」


阿求はそう言うと懐から一つの巻物を取り出し、それを机の上に広げた。竜神達はそれを囲むそうに覗いた。


「まずこの巻物なのですが、これは私の書いている求聞史紀なのです。ですが、私の書いた事の無い歴史が紛れていたのです。」


「阿求の書いた事の無い記録だと?」


「はい。私は数々の歴史を書き綴っていましたが、この歴史だけは私も分からないのです。」


阿求はそう言うと広げた巻物のある一文を指さした。


「これです。どうも今から百年近く前のものらしいのですが、この歴史はどうやら"上書きされた"ものだと調べが付きました。」


「歴史の上書き…そんな事が可能なのか?」


竜神は慧音に聞いてみたが、慧音は首を振った。


「いや、そんな事は不可能だ。もし歴史を上書きなんてされたら全ての歴史が狂ってしまうからね。」


慧音はその一文を見ながら顔を苦虫を噛み潰したようにした。


「じゃあこの歴史は一体…」


「恐らく私達幻想郷に元から住んでいる者は殆ど知らないだろう。知っているとしたら外の世界に詳しい八雲紫かその式神ぐらいだろう。」


「外の世界…外の世界の記録が求聞史紀に記されている?」


幻真は不思議そうにその文面を見ると否や、驚いた顔になった。


「こ…これは!」


「どうした?何が記されているんだ?」


幻真は未だ何故こんなものが記されているのか混乱している様だった。


「一体何が…?」


竜神もその文を覗いてみると竜神も驚いた。


「何だと!?何でこんなものが記されているんだ!?」


そこに記されていたのはクローンの製造、そしてそれも用いて戦争が起きたと言う歴史が記されていた。


「クローンの製造…それに戦争…何故こんな歴史が…」


「分からん…だが、一つ言えるのはこの異変に関わりがあるのは確かだろう。さっき崟兒が倒していた妖怪達を見たが、全て同じだった。妖怪と言えどそんな事はありえない。」


「………」


竜神は黙ったまま俯いていた。


「…竜神からしたらあまり聞きたくなかった言葉だろうな。だけどこれは重大なヒントだ。」


「…分かっている。これで少しは状況は進んだ。後は敵の拠点を見つけて潰すだけだ。」


竜神は拳を握りしめていた。それは一番知りたくなかった深い傷を抉るのに十分の素材だった。しかし、竜神も今の現状はよく理解している。だからこそ無理矢理自分の感情を押さえ付けていた。


「…とりあえずこの話はここまでにしておこう。今はこの情報が手に入っただけでも上出来だ。」


幻真は竜神の様子を見て話を切り上げた。


「そうだな。所で次は君の事を教えて貰えないか?」


「おっと、忘れていた。俺はさっき言ったように幻想入りしてきた。だが、俺は慧音の事を知っている。勿論そこにいる阿求の事を詳しく知っている。それは、俺も元は別の幻想郷に居たからだ。つまりは俺の居た幻想郷から竜神の居る幻想郷に幻想入りしたと言う事だ。」


「君が別の幻想郷から来た?成程、それなら私達の事を知っている事にも納得が行く。」


慧音と阿求は納得が行ったような感じで頷いていた。


「あ、所でこの後竜神達はどうするんだ?ここにずっといるのもあれだろう?」


慧音は竜神と幻真にこの後どうするか聞いてみた。


「そうだな…とりあえず俺の連れと合流しないと行けないな。この話も伝えておかないといけないからな。」


「連れ?君一人だけじゃないのか?」


「ああ、俺と一緒に時龍って奴も来ている。」


「そうか…こんな状況だ。一人での行動は気を付けた方が良いだろうな。」


「分かっている。俺達も死人は出したくない。」


そこまで話していると、阿求がまた何かを思い出したかのように竜神に質問してきた。


「あ、そう言えば私も先程見た事ない人を見かけましたけど、あの人達もこの人と同じで巻き込まれた人ですか?」


「ああ、それって頭に角の生えた奴とパルスィの事か?」


「はい。パルスィさんも雰囲気が少し違ったのでもしかしたらと思いまして。」


「流石察しがいいな。そうだ、あの二人も巻き込まれたんだ。他にも同じように巻き込まれた奴らは何人か居る。」


「そうか、やはりさっき外の見張りをしてくれたあの二人、アルマとパルスィだったな。その二人も幻想入りしたきたんだな。」


「ああ、二人ともかなり強い。恐らくアルマと一緒にいるパルスィもこっちのパルスィよりも遥かに強いだろうな。」


「しかし、それを聞くと状況は切羽詰まっている様にも思えるな。こちらの住人達も行方不明になったまま戻らないしな。これ以上住人達が減ると…」


「幻想郷のバランスが崩れて崩壊してしまう。」


「そうだ。これ以上行くと不味い。だからこそ私達も動く。」


慧音はそう言うと懐からトランシーバー取り出渡した。


「これは…河童の作った機械じゃないか。」


「そうだ。これで何処でも連絡が取れる。」


「すまない助かる。だが慧音も無茶はしないでくれよ?人里を守ってもらう必要もあるからな。」


「それも重々承知している。だが、それよりも心配なのは小鈴も異変解決に乗り出していると言う事なんだ。」


「小鈴が?全くあいつも無茶するな…」


竜神はため息を付いていたが、幻真は小鈴を止めなくても良いのかと聞いた。


「いや、あいつは戦える。多分人里の中では二番目に強い。」


「あの小鈴が?」


「ま、信じられないのも無理は無い。だが彼奴は妖魔の封じられている書物を自由に扱える。」


「ちょっと待て。それって人間が扱うのは危険なんじゃないか?」


「本当ならな。俺が少し細工をして体を乗っ取られないようにしてある。だから人間ながらにして妖術を扱えたりも出来る。」


「マジかよ。人間が妖術使うなんて聞いた事無いぞ。」


「だろうな。でもあんまり酷使し過ぎたら流石に疲れが溜まって暫く動けなくなるがな。」


「成程。やはり多少なりとはの代償もあるんだな。」


「そう言うこった。んで、小鈴は鈴奈庵に居るのか?」


「ああ、小鈴にはいざという時だけに動いてもらうようにしてもらっている。さっきの襲撃は丁度崟兒がその場に居たから小鈴はずっと鈴奈庵に待機していた。と言うか寝ていた。」


「あいつあの騒ぎで寝ていたのかよ…(゜Д゜;)」


あ、珍しく顔文字使っているな。


「おいうp主。メメタァな話は止めとけ。」


「ん?どうした?」


「いや何でもない。ただの独り言だ。まあ、とりあえず人里の状況は把握出来た。次は時龍達を探して状況の整理をしよう。」


「そうだな。先ずは時龍を探そう。じゃないとまた何をするか分からんからな。」


幻真は竜神にそう提案すると、竜神もその提案に乗った。


「そうだな。あいつは一人にさせとくとある意味危ないからな。」


竜神と幻真は話が決まると、慧音に人里の後を任せて寺子屋を出た。すると、ちょうど儚月と菫子が戻ってきた。


「お、話は終わったのか?」


「ああ。思った以上の収穫が出来た。後は散らばった仲間と合流して話を纏めよう。とりあえず先に時龍を見つけたい。じゃないと何をするか分からないからな。」


「そうだな。俺もそれには賛成だ。またボコボコにされていると話が出来んからな。」


「菫子は時龍の事を知らないだろうから後で話しておこう。それじゃあ少し待っていてくれ。」


そう言うと竜神は目を閉じて時龍を探し始めた。そして、時龍は太陽の畑の少し奥の森にいる事が分かった。


「また面倒な場所に行きやがって…」


幻真は思い切りため息をつくと、どうやって人里から太陽の畑まで行くか考えた。人里から太陽の畑まではかなりの距離があるからだ。


「しかし、どうやって太陽の畑まで行く?あそこまではかなりの距離があるぞ?」


「何、その心配は無用さ。一応俺はスキマを扱える。それならすぐに向こうに着くだろう。」


「そうか。それなら良いか。所で崟兒も連れていくのか?」


「いや、崟兒には人里を守ってもらおう。それにここでこんなに人数を減らしたら人里を守る奴が少なくなって守りきるか不安だからな。」


竜神達は崟兒がまだ居るであろう先程の門の方へと向かっていった。すると、やはり門の前には崟兒が座っていた。


「崟兒。ちょっと良いか?」


「はい。何でしょうか?」


「俺達は今から幻真の仲間の一人である時龍って奴を探しに行く。それで何だが、崟兒には人里を守ってもらえないか?向こうに行くだけで人数を裂くのもあれだからな。」


崟兒はそれにすぐに承諾した。


「分かりました。一応ここの門はまた閉じておきますので、再びここに戻ってきたら声を掛けてください。基本ここを守っていますので。」


「ああ、分かった。それじゃあ俺達も早く行こう。」


そして竜神はスキマを開くと崟兒以外のその場にいる全員がそのスキマに飛び込んだ。


そして到着してみるとすぐに時龍を見つけた。多少なりとは想定していたが、流石に一つ想定外な事が起きていた。だが、今見ているのがあまりにもえげつなかったので少し思考停止していた。


「…あー、これはどう言った状況だ?」


まずが幻真が竜神達に聞いてみた。一応頭の中では理解はしているが、流石に皆に聞いてみた。


「いや、それは俺も聞きたい。て言うか何でこんな所に居るんだ?てか止めた方が良いのか?あれ。」


と言った。それに対して菫子が答えた。


「止めたら止めたらでこっちに被害被りそうなのだけど…」


菫子は少し呆れたような感じで目の前の光景を見ていた。そして儚月が更に呆れた感じでこう言った。


「全く…何でこんな時にあんたのお連れが迷惑な事を起こしているんだよ…」


と言った。そう、目の前では幻真の連れである時龍が"最凶の妖怪"、風見幽香にボコボコにされていたのでる。そして近くには何故か"裸の少女"が立っていた。竜神、菫子、儚月、の三人はその少女の正体を知っていたが時龍と一緒にいる理由が分からなかった。そして何故この様な事になっているかと言うと、時は一時間前に遡る。(あ、再びメメタァな話で洞窟での一件もあって、そして裸の少女と一緒にいるので幽香は遠慮無しにボコボコにしているよ。はい、メメタァな話終わり。)



〜一時間前〜



「…ふう、ここまで来れば追っては来れないだろう。」


洞窟でパルスィに追われていた時龍は、縮地を使って妖怪の山を降りていた。


「さてと、とりあえずどうするか…」


時龍は一人になったのでいつも通りにパンチラでもしてやろうかと考えたが、少し気になった事があったのでひとまず止めとこうと考えた。


「…幻真とはぐれた時に偶然見つけたあの場所…俺と同じ"龍の力"を感じた…確かあの場所は太陽の畑の近くだったな…確かめてみる価値はあるかも知れんな。」


時龍は記憶を頼りに龍の力を感じた場所へと向かっていった。



_____________________________________________



「さてと、俺の記憶が正しければここら辺だと思うが…」


時龍は太陽の畑を少し過ぎた森の中にやって来た。そして何故かその場所は龍の力が漂っている感じがした。


「…やっぱり何かあるみたいだな。もう少し進んでみるか。」


時龍は森の中を更に奥へと進んでみた。すると不意に森が開けた。そしてその場所には不思議な遺跡の様なものがあった。所々には蔦やコケが生え、作られてから髄分な年月が経っている様に見受けられた。


「こんな森の中に遺跡が…?」


時龍はその遺跡に近づいてみると、結界が張ってあるのか電撃の様な衝撃と共に弾かれてしまった。


「結界か…わざわざこんな森の中にある遺跡に結界を張るなんて何かあるって言ってるようなものじゃねぇか。」


時龍は結界に当たらないギリギリの所まで近づいてその遺跡をよく見てみた。すると、所々に龍の紋様の入っているレリーフが幾つか見受けられた。


「やっぱりこの遺跡は俺達と同じ…ん?」


時龍はレリーフを眺めていると、そのすぐ横に別のレリーフを見つけた。しかし、何故かそのレリーフは数ある中でも比較的新しい様に感じられた。


「何であのレリーフだけが…」


時龍は遺跡を暫く調べた後、次に付近を調べ始めた。


「こう言った遺跡みたいな奴には大体何か仕掛けがあるってのが殆どなんだが…」


時龍は周りを調べていると、不意に足元の感覚が一瞬だけ変わった気がした。確かに土を踏んでいるのだが、まるで鉄を踏んだ時の様な感覚を感じた。


「…やっぱり何かあると思ってたんだ。」


時龍は足元を見ると、そこには遺の地下へと繋がっているであろう扉を発見した。その扉は土を被せられており、詳しく調べていなかったら見つけられていなかったであろう。


「さてと、見つけたは良いがちゃんと開くのか?」


時龍はその扉に付いている取手を思い切り引っ張ってみると、ギシギシと音を立てながら何とか開いた。


「開いたな…さて、中はどうなってるんだ?」


時龍は近くに落ちていた手頃な木の枝を何本か集めるとそれに火を灯して松明の代わりにして、中に降りていった。中は陽の光が届いてないのもあってか、相当冷えていた。しかし、それよりも遺跡の中に施された幾つもの彫刻やレリーフに意識が持っていかれてしまっていた。


「こいつは…龍を祀っていた遺跡か?いや、しかし祀っていただけならこんなにも龍の力が漂っているはずが無い…一体此処は…」


時龍は何かに突き動かされるようにどんどんと遺跡の奥へと進んだ。すると、いきなり空間が開けたかと思うと、時龍は予想していなかった光景が目の前に広がっていた。それは何と数えるのが難しい程の龍達が"空間に広がった空"を飛んでいるのである。


「こ、これは…何でこんな遺跡の中に空があるんだ…?いやそれよりも何故こんなにも龍達が居るんだ…?!」


時龍が驚きの余り立ち尽くしていると、遥か彼方を飛んでいた龍の一匹が気付いたのか大きく口を開けて吼えた。すると、龍達が一斉に時龍の元へと飛びかかろうとスピードを上げて向かってきた。


「チッ…やっぱり俺は歓迎されてないって訳だな!」


時龍は戦おうとしたが、時龍自身が昔龍達との交流があったのもあってか、剣へと手が伸びない。


「くそ…とりあえず逃げるしかない…って、戻る通路が無くなっているだと!?」


時龍が後ろを振り向くと、先程まで確かにあった通路が元々存在してなかったかのように綺麗に無くなっていたのである。


「ヤバいな…これは流石に終わったか…?」


龍達は既にその姿がハッキリと見える程まで近付いていた。すると、突然何処からともなく老人の声が聞こえてきた。


「止めぬか…その者は我等と同じ同族じゃ…」


その老人の声は少し低い感じに聞こえた。時龍には普通の音量ぐらいにしか聞こえなかったが、龍達は全員その声が聞こえたのか少しずつスピードが落ちていった。そして、龍達は地面に降り始めた。全員の龍が地面に降りると、その龍達の中から一際大きく、そして他の龍よりも更に力を感じさせる龍が出てきた。恐らくはここの龍達の長であり、先程声を発した張本人だろう。


「すまぬな…若者よ。慣れぬ客人にて他の家族達が興奮してしまったのじゃ…」


その龍は先程と同じ声でハッキリと人語を話していた。


「いや、突然来ちまった俺も悪かった。だが此処は一体何なんだ?何でこんなにも龍達が居るんだ?それにこの空間は一体何なんだ?」


時龍は周りの龍を見ながら長であろう龍に質問した。


「うむ、それらの質問に関しては歩きながら話をせんかね。久しぶりに来たお客さんなんじゃ、たまには歩きたいのでのぅ。」


龍の長が目を瞑ると、体から光を放ち始めた。その光が収まるとそこに立っていたのは白髪白髭を蓄え、龍の姿を象った白銀のローブを身にまとっていた。


「へぇ…人の姿になれる龍なんて居たのか…」


時龍は純粋に驚いていた。龍が人の姿になれると言うのは今まで聞いた事が無かったからだ。


「うむ。じゃが人の姿になれるのは儂と後は五名だけじゃ。後は人間の姿にはなれなんだ。」


龍の長は人間の体の感覚を思い出すかのように、少しだけ歩いた。


「おお、そうじゃった。お主は名はなんと申すか?」


龍の長はふと思い出したかのように時龍に名前を聞いてきた。


「そう言えば名乗ってなかったな。俺の名前は時龍。まあ、俺は此処の幻想郷の奴じゃないって事だけは言っとく。」


時龍は長に名前を名乗っると、長の方も名前を名乗った。


「ふむ、時龍か…よい名前だ。名乗って貰ったからには儂も名乗らんとのぅ。儂は煌經(こうけい)。またの名を"龍神王"と呼ぶわい。」


煌經と名乗った長は名前を名乗りながら、先程まで通路のあった空間へと手を伸ばしていた。


「龍神王…まさかこの幻想郷に実在していたなんてな…」


時龍は改めて長…龍神王を見てみた。確かに他の龍とは違い、特に強い力や神の力までも持っている事に気付いた。


「フフフ…儂はこの歳まで生きていられたのは奇跡に近いんじゃがのう。」


煌經は消えていた通路を再び元に戻すと、時龍に遺跡の中を案内してくれると言った。


「龍神王が直々に案内してくれるってのをむざむざと断るわけには行かないよな。」


時龍は先を行く煌經の後ろに付くと、煌經に歩くスピードを合わせた。


「…所で煌經…龍神王は俺が何時から仲間だと分かったんだ?」


時龍と煌經は暫く無言で歩いていたが、静かなのにも飽きたので煌經に質問してみた。


「儂の事は煌經で良い。儂はお主がこの遺跡に足を踏み入れた瞬間から気付いておったわい。じゃから儂が龍達を止めるのも早かったであろう?」


煌經は時龍の方には向かずに歩きながら答えた。


「そうなのか…それじゃあさっき俺は此処の幻想郷の者じゃないと言ったよな。」


「ふむ、確かにそのような事を言っておったのう。じゃがそれがどうかしたかのう?」


時龍は煌經にあってからずっと考えていた事があった。


「いや、もしかしたら煌經にならこの武器を修理出来ないかと思ってな。」


時龍は背中に背負っていた夢龍剣を取り出し、煌經に渡した。夢龍剣は途中から綺麗に折れてしまっていた。


「ふむ…」


煌經は渡された夢龍剣を少し眺めると、すぐに時龍に返した。


「…すまぬが儂にはその剣は直せなんだ。もし誰かが直せたとしてもその剣に力は戻せないであろうな。」


「…そうか」


時龍はこの夢龍剣が直せないかと僅かな希望を掛けていたがやはり直せない様だった。しかし煌經は何かを思い出したのか時龍に一言教えてくれた。


「ああ、そうじゃ。竜神なら直せるかも知れんのぅ。確か竜神は武器の創造が出来たはずじゃからのぅ。もしかしたら折れた部分に新しき刃を創り出してくれるかもしれんぞ?」


「竜神?なんで煌經が竜神の事を知っているんだ?」


「おお、お主は既に竜神の事を知っておるのか?」


「ああ、外で起きている異変に巻き込まれた際に会った。そんでその異変解決に俺は竜神に手を貸している。」


そこまで言うと煌經は嬉しそうな顔をした。


「そうかそうか。竜神は少し頭が固い所があるから苦労するじゃろうがよろしく頼むぞ?」


「ちょっ、ちょっと待ってくれ。何でそこまで竜神に過保護何だ?煌經は竜神の何なんだ?」


煌經はこれまたニッカリと笑うと


「儂は竜神の実の父親なのじゃよ。」


「…はぁ!?」


煌經があまりにもサラッと言ったので流石の時龍も少しだけ止まってしまっていたが、すぐに驚いた。


「いやいやいや!!煌經が竜神の父親ァ!?それは聞いてないぞ!?」


時龍は結構な勢いで叫んでしまった。


「おっと、それ以上は大声を出さん方が良い。奥で眠っておる幻想郷が起きてしまうわい。」


と言って煌經は時龍の口に手をやった。


「幻想郷が起きる…?まさか此処の幻想郷は人の姿をしているのか?」


「うむ。幻想郷は人の姿を持っておる。故に人と同じ様に眠り、食事もする。」


煌經はそう言うと不意に立ち止まった。時龍は煌經が立ち止まった先を見ると、一つの大きな扉があった。


「…この先はな、竜神が己の過去を知った場所なんじゃよ。」


煌經はその扉を押し開けた。するとそこには隔離された幻想郷とは似ても似つかない場所が広がっていた。


「こ、これは!クローンの精製場か…!?」


そこにあったのは大量のガラスで出来た水槽タンクだった。そしてその中には未だ人の形を保っているクローンが眠っていた。


「…竜神から己が造られし者も聞いたか?」


「あ、ああ。」


「ここが竜神の生まれた場所。そして決戦の場となった所なのじゃよ。」


「ここが…」


時龍はその中に入り、ゆっくりと歩き始めた。研究所だったと思われる場所には確かにあちこちに戦闘の後が見受けられた。


「…」


時龍は無言で中を歩いた。そして一番奥に辿り着いた。そこには研究員と思われる白骨化した遺体が椅子に座っていた。


「この骨は…」


「その骨こそが竜神を造った張本人じゃ。じゃが、戦いに敗れた後にこの様な姿になったのじゃ。この者の肉体は既に死んでおった。しかし無理矢理自身も改造して生き延びておった。」


「そうだったのか…」


時龍は白骨化した遺体を横目で見て、とりあえず先程の場所に戻らないかと言った。


「うむ、そうじゃな。儂もそろそろ疲れたわい。」


煌經はそう言うと指を鳴らした。すると、先程の場所に一瞬で戻ってきた。


「さて、これからなのじゃがお主はどうするのじゃ?」


「そうだな。一度上に戻って仲間と合流したいと思っている。」


「そうか。それならこの龍も連れて行ってやってくれ。お主等の役にきっと立つじゃろう。」


そう言うと煌經は口笛を鳴らした。すると、一匹の肩に乗るぐらいの大きさの小さな龍が来た。


「ん?何だこの小さな龍は?」


煌經に呼ばれた小さな龍は、煌經の肩に止まった。


「こやつは人間の姿になれる龍の一人じゃ。小さいながらも色々な援護魔法を扱えるわい。」


煌經は肩に乗った龍の頭を撫でると、時龍に向かって行けと言った。すると、龍は素直に時龍の方へ行き肩に乗った。


「色々と済まないな。」


「なに、この異変の事は幻想郷から聞いておる。儂ら龍族も協力は惜しまんぞ。」


煌經の周りには何時の間にか他の龍達も集まっていた。


「龍族の力も借りれるなんてとんだ大収穫だったな。」


「ふふふ、儂らもお主の様な仲間と会えた事も収穫じゃったわい。さて、それでは地上に戻そう。他にやり残した事は無いか?」


「ああ。無い。」


「ふむ。それでは地上へと返そう。竜神には宜しく言っておいてくれんか。」


「分かったよ。竜神にも煌經が元気にしてたと言っておこう。」


煌經は最後に再び笑うと、指を鳴らした。その瞬間には既に時龍は遺跡の外に立っていた。


「さてと、合流するとは言ったものの何処にいるのか分からねぇじゃねぇか。」


時龍はとりあえず森から抜ける為にひとまず太陽の畑の方へと向かった。


「そう言えば煌經はこの龍は人間の姿になれると言っていたな。」


時龍は肩でうとうとしている龍をつついた。すると、ハッとした様に小龍は顔を上げた。


「おっと、起こしちまったか。悪ぃな。」


小龍はキュルルルと鳴くと、肩から離れた。するといきなり子龍が光出した。


「うお!?」


あまりの眩しさについ反射的に目を閉じてしまった。そして少ししてから目を開けるとそこには、先程の子龍はいなかった。否、そこに居たのは"全裸の少女"だったのだ。


「…は?」


時龍はあまりにも突然すぎたので完全に思考停止してしまった。


「…」


時龍は少し頭の中で整理した。


(ちょっと待て、確かさっき肩に乗っていた子龍が光り始めたんだよな?それで気付いたらこの少女が立っていた?て事はこの少女はさっきの子龍?)


時龍はとりあえずそこまで考えると、まず先に頭に浮かんだのが風見幽香だった。


「やべぇ…こんな状況、幽香に見られたら確実に終わる…」


「何が終わるのかしら?」


「そりゃ、俺が…」


時龍はついサラッと話したが、その話した相手を時龍はすぐに理解した。それは…


「さっきも洞窟であれだけ殴り倒したのにまだ足りないのかしら?」


そこには"最凶の妖怪"風見幽香が立っていた。



_____________________________________________



「…はぁ。全く、人型になったらすぐに服を羽織れと言っただろう?とりあえず早く服を想像しろよ。」


竜神は裸の少女の頭に軽く叩くと、少女は目を瞑り自身の服を想像した。すると、少女の体から再び光が放たれた。そして、光が止むとそこにはいかにも魔法使いと言った服装になった少女が立っていた。


「さて、これで大丈夫か。おーい、幽香。そろそろ止めてやってくれ。」


「何でかしら?こいつは少女を裸にして襲っていたのよ?」


(あ、やっぱり勘違いしているな。まあ、時龍だし仕方ないか。)


竜神は時龍の事は諦める事に…


「諦めないで助けろよ!」


「あ、生きてた。」


「勝手に殺すな!」


「まあ、冗談はここまでにしといておこう。とりあえず幽香。こいつは何もしていないぞ。悪ぃのはこの子供さ。」


竜神が幽香を止めようとすると、幽香は竜神の子供が悪いと聞いて次は竜神にすんごい威圧をかけ始めた。


「子供が悪いってどう言う事かしら?」


「あんまり威圧するなって。こいつは龍族。しかも人型になれる数少ない龍族の一人だ。だけどまだまだ未熟な所があってな。人型にはなれるけど服だけは別に想像しないと出せないんだ。んでさっきの状況は多分、いきなりこいつが人型になったせい。」


竜神は簡素に幽香に説明をした。一方の幽香はあんまり納得はいってないようだったが。


「…まあ良いわ。とりあえずその説明を信じておきましょう。」


幽香は片手で持ち上げていた時龍を地面に下ろすと、傘をさした。


「何で俺だけこんな目に…」


「今まで行ってきた事を全て思い返してみるんだな。」


幻真は倒れたままの時龍に冷たいセリフを放つと、先程の少女の方へと向かった。


「さて、お前の名前は何だ?」


幻真は普通に話しているつもりだったが、何故か少女に怖がられてしまった。


「…俺ってそんなに怖いか?」


(あ、これ結構ダメージ受けたな。)


幻真は少女の様子を見て相当ショックを受けたようだった。一方の少女は時龍の方に行くと、時龍の後ろに隠れた。


「おっと、あいつはどうやら時龍の事を気に入っている見たいだな。」


竜神は時龍の後ろに隠れた少女を見て、面白そうに言った。


「俺としてはあまり面白く無いんだが…」


時龍は頭を掻きながら後ろの少女に目をやった。


「だけどその女の子、全く喋らないわね。」


「ん?ああ、多分久しぶりに人の姿になったからじゃないか?多分言葉を喋るのにも少し時間が掛かるはずだ。」


竜神はそれまでの間は名前を聞くのは無理だと言った。


「あ、でも竜神ってこの女の子の名前は知っているの?前に私も会ったことあるけど、名前教えてくれなかったのだけど。」


「俺もだ。その少女は俺や他の奴らにも名前を教えてくれなかったみたいだが。」


菫子と儚月もどうやら女の子の名前は知らないらしい。


「そりゃそうだろう。そいつは心を許した奴にしか名前を教えないタイプだからな。」


「そうなのか。だったら俺達に心を許すのは何時になる事やら…」


幻真は時龍の後ろに隠れた少女に目をやった。勿論、少女はそれに気付いて時龍の後ろに完全に隠れてしまった。その後、竜神達は少しだけ幽香と異変の話をした。そして幽香はいざと言う時には手を貸すと言って太陽の畑へと帰って行った。


「さてと、これで漸く時龍と合流を果たすことが出来たな。次は紅夢と桜とも合流しないとな。」



_____________________________________________



竜神は一人、先程時龍が入っていた遺跡の前に立っていた。他の奴らは先に紅魔館の方へと向かってもらった。(一応紅魔館で各地の主要な戦力達と作戦の会議をする為)


「…親父は元気にしていたか?」


竜神は遺跡の方を向いたまま喋ると、後ろから声がした。


「ああ、結構元気にしていたぞ。」


後ろから声を掛けてきた人物は時龍だった。


「だけど俺の親父が龍神王だってのは教えてなかったから吃驚したろう?」


「当たり前だろう。普通に驚いちまった。」


時龍は竜神の隣に立つと、同じ様に遺跡を眺めた。


「そんで、親父はなんか言ってたか?」


「一応な。竜神によろしく頼むとな。」


「そうか。結構過保護だから儂も行こうなんて言い始めたら大変だったからな。」


竜神は肩を竦めながら小さく笑った。


「所で、時龍はあの空間も見たんだろう?龍達が翼を広げて羽ばたいていた空間を。」


「ああ、見た。まさかこんな遺跡にあんな空間があるとは思わなかったな。」


時龍は龍達が羽ばたいていた空間を思い出していた。あれは間違いなく空そのものだった。


「あの空間は俺が異次元の空間をスキマで繋げて引っ張ってきたものなんだ。勿論、あまり遠くに行き過ぎないために空間にはある程度の距離を行くと元の場所に戻る様に細工はしてある。」


「…お前ってやる事が結構無茶苦茶だよな。」


「それは皆からも言われる。」


竜神はまた笑った。まるで小さな子供の様に。


「…さて、そろそろ戻らないか?会議の方も始まるだろう?」


「おっと、もうそんな時間になっていたのか?」


「ああ、所で紅夢と桜ちゃんはどうするんだ?まだ見つかってないだろう?」


「あの二人には見つけた後から会議の内容を話すつもりだ。今探していたら見つけるのに時間が掛かりそうだからな。」


竜神はスキマを開くと先にその中に入っていった。


「お前が何を背負っているのかは知らないが…」


時龍は一瞬言葉を詰まらせた。そして、次に言ったのが


「何か…嫌な予感がする…」


時龍はその嫌な予感を胸のどこかに感じながらもスキマに入っていった。


そして、暫くするとその場所に誰かがやってきた。その人物は深くフードを被っており、顔が全く見えなかった。


「…」


そしてその人物は何かの通信道具の様なものを耳に付けていた。


「…了解。このまま尾行をします。」


フードを被った人物はどうやら女の様だった。そして誰かとの通信を終えると、ナイフを取り出しで自分の指を軽く斬った。


「…泥人形(ゴーレム)よ、我が声に従い具現せよ…」


フードを被った女が呪文を唱えると、先程切った指から滴り落ちた血の跡から数体の小さな泥人形が現れた。


「ふふふ…」


女は不気味な笑いを上げると、誰もいない暗くなり始めた空を見上げて小さく呟いた。






「竜神…貴方は私が殺してあげる…」






女は不気味に笑い続けた。それはまるで、死神がもうすぐ死ぬ人を嘲笑うが様だった。

夜中に書いていると頭が回らないですね(←当然だろう)


ですので、所々変かも?みたいな感じに思えるかも知れませんけど、そこは多めに見てやってくださいペコリ((・ω・)_ _))

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