第二話-静かに迫る絶望的な真実-
外伝の方も更新予定です。
竜神達は知る…真の絶望的な真実と言う物を…
「アルマ。やっぱり敵はこの幻想郷に居るみたいよ。」
パルスィが呼びかけた人物は人間とは超越した存在…それをその場にいる全ての者が悟った。いや、寧ろその前に頭から生えている二本の角が目の前の者を人間とは意識させてくれなかった。
「…あー、そんなに固まらなくても良いぞ？」
目の前にいる人物は少し面倒そうにそう言った。
「…固まるなって言われてもそのだだ漏れの気配のせいでこうなっているんだが？」
竜神は少し声色を下げて目の前の人物に呟いた。
「おっと、そりゃ悪いな。」
「全く、だから気配を抑えなさいって言ったのよ？」
「あー、悪かったよ。すまねぇな。つい癖でよ。これでも一応抑えているんだぜ？」
そう言うと、アルマと呼ばれていた男は気配を少し消した。
「何だか久しぶりに生きた心地がしなかったよ…」
「確かにな。まあ、とりあえずあんたは何者だ？竜神が声色を下げて話していたって事は幻想郷の者じゃ無いんだろう？」
「ああ、俺は桐月アルマってモンだ。何か色々言った方が良いんだろうが、面倒だから省いて良いか？」
「ああ、まあ良いんだが…そっちのパルスィも此処の奴じゃ無いな？どうも雰囲気が少し違う。」
「お、よく分かったな。パルスィは俺と一緒に此処に来たんだ。まあ、来たと言うよりは気付いたら此処に来ていたってだけなんだけどな。」
アルマは更に驚く事を言って来た。
「ああ、ついでに言うと俺とパルスィは夫婦だぜ。証拠に子供も二人居るぞ。俺の住んでいる幻想郷の方に居るだろうがな。」
勿論その言葉のお陰で、皆一時ポカーンとしていた。
「…マジで？」
「マジ。」
再び沈黙。そして
「「「「何ーー！？」」」」
勿論全員同時に驚いていた。
「いや、そんなに驚く事か？」
「いやだって嫉妬の橋姫だぞ！？常にパルパル言っているんだぞ！？」
「僕も一応結婚はしていますけど、流石に驚きますよ！？」
「いや、お前も結婚してたのか！？」
「…とりあえず皆ムカついたから妬もうかしら？」
「すみませんでした！それだけは止めて下さい！」
「…パルパルパルパル」
「うぉぉ！？言っている側からパルパルしている！？」
そんな感じのやり取りを見ていたアルマは、ため息を付きながらパルスィの止めに入った。
「…パルスィ。とりあえずその茶番は止めないか？俺はこいつらに話を聞きたいんだが…」
アルマはパルスィにそう言うと、パルスィはこれまたパルパルしながらアルマの方を振り向いた。
「…アルマは少し黙ってて。」
「あ、はい。」
「いや、もう少し粘ってくれよ！？」
とまあ、こんな感じでかれこれ一時間は続いたとさ。
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「ぜぇ…ぜぇ…よ、漸く落ち着いてくれたか？」
「と、と言うか落ち着いてくれていないと俺達が持たん…」
「…流石嫉妬の橋姫…僕のいた幻想郷でも此処までは無いですよ…」
という感じにアルマとパルスィ、桜以外の三人は完全に疲れ果てていた。
「まだ収まっては無いけどこのままじゃ埒が明かないからとりあえずは落ち着いてあげるわ。」
「お、おう…(こりゃ時龍が来たらもっと面倒になる所だったな…気絶していて助かった…)」
幻真は心の中で呟いたが、それがフラグになったのか運悪く時龍が扉を開けて入って来てしまった。
「あー、まだ少し頭痛てぇ…」
(あ、これは終わった。)
幻真は竜神達と紅夢の顔を見てみると、同じ事を考えていたのか終わった様な顔をしていた。
「ん？何だかさっきよりも人数増えてないか？…って、うお！？なんでパルスィちゃんが居るんだ？！」
「私が居たら悪いのかしら？それと馴れ馴れしくちゃん付けしないでくれるかしら？」
パルスィの次の標的は時龍に変わったらしく、ジリジリと時龍に詰め寄っている。
「あれ？もしかして俺ってヤバい？」
「もしかしなくてもヤバいな。」
「…まあ、頑張ってくれ。」
竜神とアルマは時龍にそう告げたのと同時にパルスィは時龍に向かってパルパルしはじめた。
「…それじゃあ俺はちょっくら外にでも…」
時龍はそう言って逃げようとしたがパルスィに捕まってしまった。
(終わったな。)
(終わりましたね。)
(まあ、あの馬鹿の自業自得だ。)
心の中で竜神達は手を合わせた。
「勝手に殺すんじゃねぇ！って、うぉぉ！？」
時龍はパルスィに追い掛けられて洞窟の中をぐるぐると回り始めたのだった。
「…あの時龍ってやつは何時もあーなのか？」
「まあ、そうだな。あいつは何時もあんな感じさ。気にするだけ疲れるから放って置いても良いぞ。」
「ま、そうだな。そんで、さっきお前達が話していた異変についてなんだが…」
アルマは回りで走っている二人から目を離すと、今度はこちらに振り向いた。
「ああ、異変の事だよな。まあ、ざっくり言うとこの竜神って言う奴の幻想郷で起きている異変に巻き込まれてしまった。」
「本当にざっくり言いやがった。合っているから何とも言えないが…」
竜神と幻真はアルマに現在の異変について話し合った。紅夢と桜は一度幻想郷の状況の再把握をする為に出掛けて行った。本当は心配だったが、緊急離脱用で転移の札を渡しているのと紅夢が着いていくと言う事だったので送り出した。
「そんじゃ何か？俺達は敵に選ばれて連れてこられたってのか？」
「ああ、恐らくはそうだろう。つい先程奇襲してきた敵は下っ端だったのか俺達の事は知らなかったようだがな。」
「あん？それじゃどうして敵に連れてこられたってのが分かるんだ？」
「俺達が襲われてその場を去った後に異変の首謀者の仲間みたいのが来ていてな。俺はスキマを使ってそいつの話を聞いていたのさ。」
竜神はそう説明していたが、幻真は不思議そうにある事を聞いてきた。
「ちょいまち。さっき仲間みたいなのが来ていたって言うが、俺は全く気付かなかったぞ？」
「そりゃそうだろうな。相手はかなりの凄腕みたいだからな。気配を完全に消していやがったんだ。」
「それなら何故その敵に気付いたんだ？」
「それは簡単さ。気配は完全に消せても殺気だけは完全に消せていなかったのさ。ただ、本当に精神を集中させないと分からない程だけどな。」
「へえ…僅かな殺気だけでそれに気づくとはな。俺ですら気付かなかったのにな。」
「いや、俺でも気付けたのが奇跡って言っていい程さ。あの敵、相当やるぞ…あんな奴がもしゴロゴロいる様ならこの戦力じゃ対抗出来るか分からんぞ。」
「つまりは戦力の増量をしないと行けないって事か。しかし、俺達以外に強い奴っているのか？あの天狗の棟梁も強いが…」
「なに、別に幻想郷に来ているのはあんた達以外にもいるみたいだぞ？僅かだが微かに別の強い力を感じる。まあ、それが敵かどうかは分からんがな。行ってみる価値はあるんじゃないか？」
「あん？俺にゃそんな気配は感じられなかったんだが？」
「俺は此処の管理を紫から無理矢理させられていてな。別の所から来た奴の気配を多少は感じられるんでな。ただ、敵に関してはどうやらこの幻想郷にシンクロしているみたいでな。気配を感じるのがほぼ出来ない。」
「ふーん、貴方って此処の管理者だったのね。」
パルスィの声が聞こえたので扉の方を向くと、丁度社の階段を登り終えた所みたいだった。
「あれ？あの変態は？」
竜神がパルスィに時龍の事を聞くと、どうやら逃げている内に洞窟から出ていってしまったらしい。勿論何処に行ったかは分からないらしい。
「まあ、あいつが上手く気配を消していても俺には分かるんだけどな。一応探してみるか？」
竜神が幻真に聞くと小さく頷いた。
「ああ、探してくれ。あいつを放っておいたらなにをしでかすか分からないからな。」
「おう。そんじゃ一度外に出ないか？この洞窟は能力が封印されるからその分気配を察知するのも難しいからな。」
「分かった。丁度俺もパルスィもこの洞窟には飽きていた所だ。」
「と言うか能力が何故か使えないから早く出たいだけなんだけどね。」
「だな。それじゃあ外に出るとするか。」
竜神達は社から出ると、外に向かって歩き始めたのだった。
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「さてと、それじゃあちょっとだけ待っててくれ。流石に広いから探すのに時間が掛かるかもしれないからな。」
そう言うと竜神は目を閉じて集中をした。しかし、竜神は目を閉じてからものの数分で目を開けた。よく見るとその表情は何故か少し焦っているような感じに見て取れた。
「どうした？何かあったのか？」
「ちょっとこれは不味いな…一人知らない奴の気配を見つけたが、何者かと戦っているみたいだ。しかも相当苦戦しているみたいだな…」
「それってもしかして敵に襲われているかも知れないって事かしら？」
「もしかしたらな。とりあえず急いで向かうぞ！」
竜神達はその"何者かの気配"を感じる場所に向かっていった。その場所には直ぐに着いたが、そこには特に何も無かった。
「…誰も居ないみたいだが？」
アルマはそう言って辺りを見回していたが、竜神はある一点の空中を凝視していた。
「…もしかして何だが、スキマの中なのか？」
「そうだ。しかもこのスキマ…紫のやつじゃないな…」
「という事は敵…か」
「可能性は大きいな。とりあえずどうするか…このスキマは俺でも解除出来ない程だな…どうしたものか…」
竜神達がその場で立ち尽くしていると、別の森の中から儚月が出てきた。
「ん？竜神じゃないか。こんな所で何しているんだ？」
「兄貴じゃないか。兄貴こそこんな所でどうしているんだ。」
「俺は藍にここに行けと言われてな。お前はどうしたんだ？それに後ろに居る奴らは一体何者だ？」
「俺は誰かが戦っている気配を感じたから此処に来たんだ。ただスキマの中で戦っているみたいでな…どうしても助けに行けない状態で悩んでいた所だ。」
「それなら竜神の能力でなんとでもなるんじゃないのか？」
「確かにそうなんだが…これは普通のスキマじゃない。幾ら能力を統べていたとしても変質の異次元の境界までは統べる事が出来ない。」
「そうか…なら俺の出番って感じだな。」
儚月は背負っていた大太刀を取ると、鞘ごと地面に突き刺した。
「おいおい、刀地面に刺して何するつもりなんだ？」
「まあ見てな…"壱ノ太刀、地走り"！」
儚月は地面に刺した鞘ごと上に思いっきり振り上げた。その間に鞘から刀を抜き出し、まるで龍が地面から現れでた如くの様に瞬時に空間を斬った。すると空間に裂け目が出来、その中で戦っていたであろう人物が勢い良く飛び出してきた。
「ゲホッ…此処は…幻想郷？良かった何とか逃げ出せたのね…って、また敵！？」
スキマから飛び出してきたのは高校生ぐらいの少女だった。しかし、こちらを見た瞬間敵だと判断したのか戦闘態勢を取った。しかし、竜神はその少女に見覚えがあった。
「ん…？もしかして菫子か！？」
「え？…あ、竜神さん！」
そう、スキマで戦っていたのはなんと幻想郷の外で住んでいる【秘封倶楽部初代部長】宇佐見菫子だったのだ。
「どうしたんだそんなにボロボロになって…ってもしかしてスキマの中で戦っていたのって菫子だったのか！？」
菫子は戦闘態勢を解くと、その場に座り込んでしまった。
「あ〜、良かった〜…何とか幻想郷に来れたわ…」
菫子は相当疲弊していたのか座り込んだまま肩で息をしていた。
「そうよ。さっきまでスキマの中で戦っていたのは私よ。何時も通り向こうの世界で色々と調査をしてたらいきなり目の前にスキマが現れてね。つい気になって近付いて入ってみたらこの通り。いきなり訳の分からない奴に襲われたのよ。」
菫子は基本的には戦闘は向いていない。しかし全く戦えないと言う訳では無い。彼女は超能力を駆使して戦うことの出来る外の世界では非常に珍しい人物なのだ。
「しかし、あの空間の中でよく戦えたな。」
竜神が菫子にそう言うと、菫子は羽織っている不思議なマントの中から大量のナイフを取り出して見せた。
「念の為にマントの中には大量のナイフを仕込んでいるのよ。これさえあれば超能力を使って相手に飛ばして戦うことが出来るわ。所で…さっきから気になったのだけど、後ろに居る人達は誰？一人はパルスィなのは分かるけど…てか、明らかにひとり人間じゃないみたいだけど…」
菫子は後ろに居る幻真達の方を見て不思議そうに話した。
「ああ、今幻想郷じゃ住人達がなんの連絡もなく消えてしまう異変が起きていてな。それに巻き込まれてしまった【別の幻想郷からの訪問者】だ。ついでに言うとそこに居るパルスィも此処の奴じゃない。そこのアルマって奴の嫁さんだ。」
「此処でも人が消えてしまう異変が…一体何が起きているのかしら…」
菫子は普通に話していたつもりだったのだろうが、竜神にはその言葉に一つ気になった事があった。
「ちょっと待て、此処でもってのはどう言う事だ？この異変は他の幻想郷を巻き込んでいるだけじゃないのか？」
竜神は菫子にそういった。そして、帰ってきた返答は事態を更に思わしくさせてしまう内容だった。それは…
「実は…今外の世界では"いきなり人が消えてしまう事件"が多発しているのよ。しかも、消えたのはただの一般人じゃない。軍人とか戦闘技術のある人達ばかりが消えているの。しかもどうやら日本だけじゃなくて世界各地で起きているの。そして、私はこの手の事件に強いと言う理由で国から調査を依頼されていたのよ。そして私は色々と調べていた結果、微かに幻想郷の力に似た様なものが働いているのを発見したのよ。でも完全に幻想郷の力とは言えないのよね。何故なら他にもまた異質な力が働いているのを見つけたからよ。でもまさか幻想郷でも同じ事が起きているとは思わなかったけど…」
菫子の放った衝撃の事実…勿論、竜神達一同はこの異変は自分達の想像を更に遥かに超えた、外の世界をも巻き込んでいる異変になっているのだと理解した。そして、このままではどうなってしまうのかも…それは…
幻想郷は…世界は…滅んでしまうのだろうと…嫌でも理解せざるを得ないたった一つの真実なのだと…
後書き早々であれですけど、ネタ切れた＼(^o^)／←常にネタ切れてないかな？
