第一話-集う英雄、襲いし影の刺客-
今回は「訪問者達」が集まります。まだ全員では無いですが…そして竜神達を襲う謎の刺客…運命の歯車は確実に進んでいく…
俺は幻想郷で起きている大規模と言ってもいい異変の調査をしていた。しかし、俺達が思っている以上にこの異変は大き過ぎた。その証拠に【別の幻想からの訪問者】が訪れていた。そして今、また別の幻想郷からの訪問者と会っていた…
「…で、そのお前の所でも起きているって言う異変について話してもらっても良いか。」
「はい。と言っても此処の幻想郷でも起きている異変と同じなのですよ。」
「此処でもって事は…まさか、そっちの幻想郷の住人達も消えていっているのか?!」
「はい。更に言うと此処よりも現状は酷い状況になっています。僕の幻想郷で残っているのが紅魔館組、玄武の沢の河童達、異変解決組の霊夢と魔理沙。これだけの人数しか残っていません。」
「それだけの人数が居なくなるとなると…幻想郷のバランスは既に…」
「そうです。もはや紫や隠岐奈の結界だけでは保つのが限界です。」
「俺達の世界以上に酷くなっているなんてな…」
「勿論僕や霊夢達総動員で異変の犯人を探していたのですが、一向に見つからなかったのです。」
「…こりゃもしかしたら同じ犯人の仕業だよな…」
「僕の幻想郷と同じ異変ですので可能性は限りなく高いと思っても良いでしょう。」
「不味いな…早急に霊夢に報告しとかないとな…この異変、もしかしたらまだ知らない幻想からも訪問者が来ているかも知れないな。」
「知らない幻想からの訪問者…?もしかして僕以外にも来ているのですか?」
「はい。確か時龍さんと言っていましたね。」
「ああ、それにもう一人居るって言っていたな。」
「二人も来ていたのですか?」
「ああ、お前は一人なのか?」
「はい。多分此処には僕一人しか来ていませんね。」
「そうか…所で今日は何だ?厄災日なのか?」
「多分そうなんじゃないでしょうか…」
「やっぱり僕の気配を探れただけはありますね…これは下手をしたら僕より強いですね…しかも人間では無いですね…」
三人は会話を途中で止めると、それぞれ武器を取り出した。
「どうやら相手は隠れてこちらの様子を見ている様ですね…」
「みたいだな…そこだ!」
竜神はナイフを創造させると近くの木に投げ付けた。するとナイフは空中でピタリと止まった。
「ククク…流石数々の異変を解決した英雄だな…」
その声はナイフの止まっている場所から聞こえてきた。すると何も無い場所から少しずつ人影が姿を現してきた。その姿は全身黒のコートを着ていた。
「お前…一体何者だ?人間…じゃなさそうだしな…」
「ククク…俺の正体などどうでも良いだろう…どうせ此処で死ぬんだからなァ!!」
男はそう言うと竜神が先程投げたナイフをこちらに投げ返して来た。
「チッ!!」
竜神はそれを天叢雲剣で跳ね返したが、男は瞬時に竜神の懐にまで接近して来ていた。
「何!?」
「ハッハァ!!死ねぇ!!」
竜神は男の攻撃を防ごうとしたが男は有り得ない程のスピードで懐から出した小太刀で竜神の脇腹を刺した。
「ぐっ…!」
「竜神さん!?この!!」
桜が神木の御剣で男に斬りかかったが、やはり有り得ないスピードでそれを避けた。
「ククク…流石の英雄でも俺の速さには追い付けなかった様だなァ…」
「…クソ!」
竜神はその場に膝をついて脇腹を押さえていた。
「さて…さっさと殺すかねぇ!!」
男はそう言うと再び瞬時に竜神の所に近寄ると、小太刀で竜神を刺そうとした。しかし、男の小太刀は竜神には届かなかった。何故なら、男の小太刀は弾き飛ばされており、地面に突き刺さっていたからだ。
「んだよ…俺の邪魔をしやがって…一体何モンだァ!?」
「俺が何者なのはどうでも良いだろう。だが目の前で人を殺されるのを見るのは趣味では無いのでな。」
その声は青年が発したものでは無く、また別の場所から聞こえてきた。
「…本当…厄災日なのかと…疑っちまうな…」
「今度は厄災じゃないけどな。」
その声は竜神の真上から聞こえてきた。桜と青年が上を見ると、ジーパンに青色の半袖の服を身に付けていた。一見すると普通の人間にしか見えないが、その場にいる全員が理解した。この青年は確かに強いと…
「さて、どうする?一人動けないとしても三人も相手に出来るか?」
「ククク…舐めてもらっては困るな。三人程度なら俺でも相手に出来るさ。」
「…いや。三人じゃなくて四人だぜ?」
そう言うと竜神は押さえていた脇腹から手を離した。見ると怪我は完全に完治しており、立ち上がり武器を構えた。
「何?!俺は確かに急所をついたはずだぞ!?」
「ふん…ちゃんと調べずに来たのが運の尽きだったな。俺は不死者だ。これぐらいじゃ死にやしねぇよ。」
「やっぱり不死者だったか。それで、お前には四人も相手にできるかな?」
竜神と桜、それに青年二人は武器を構えると男を取り囲んだ。
「…ふん。流石に四人は少しキツイな。まあ良い。次は必ず殺してやる…!」
男はそう言うと再び消えてしまった。竜神は気配を探ったが、完全に気配は消えてしまっていた。
「…完全に奴の気配は消えたようだな。」
「その様ですね。所で貴方は一体?」
「それを言うなら俺以外のお前達も何者だ?」
「そうだな…とりあえず自己紹介は後にして今はここから離れないか?また奴が現れたら面倒だからな。」
「それもそうだな。それで、お前達は何処に向かっていたんだ?俺もついていくぞ?」
「僕は人里に誰かいないか行こうとしていて偶然この人達に会っただけです。」
「俺達は地獄の閻魔様の所に向かっている途中だったんだ。ちょっと用事があってな。」
「地獄?閻魔に会いに行く途中だったのか?」
「いえ。閻魔様の所に行っているという人の所に向かっている途中でした。」
「ん?それってもしかして俺に会いに行く途中だったのか?」
目の前の青年は確かに俺に会いに行く途中だったのか?と言っていた。という事はつまり…
「まさかあんたが時龍と一緒に来ていたっていうやつなのか?」
「お?時龍に会ったのか?俺は丁度時龍の所に向かおうとしている所だったのだが。」
「お、そうなのか?向こうに行く手間が省けたぜ。」
「あの、とりあえず歩きながら話しませんか?」
「おっと、そうだな。とりあえずあんたらの事は歩きながら聞くとするか。」
「そうだな。俺も色々と聞きたい事が山ほどあるんでな。」
「では僕もついて行きましょう。僕もこの異変を解決する義務がありますからね。」
四人はその場を離れる様にして時龍の居る妖怪の山へ向かっていった。
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「…何でそんなにボロボロで倒れているんだ?」
四人が先程の洞窟へと戻ると、時龍がボロボロの状態で倒れていた。先程あった青年の一人は何となく察しがついているようで、もう一人は何があったのか分からない様子で唖然としていた。
「全く…どうせまた変態な事をしてボコボコにされたんだろう?」
「…やっぱり逃げれなかったみたいだな。」
「正直言って自業自得なんじゃないでしょうか?」
「ええっと…何があったらこんなにボコボコにされるんですかね?」
四人は暫く倒れている時龍を眺めていたが、時龍の知り合いである青年が無視していこうと言ったのでとりあえず無視して洞窟の奥へと進んだ。
「所でこの洞窟は一体…僕の能力が完全に使えなくなっているのですが…」
「ん?…本当だな…能力が全く使えなくなっている?」
「ああ、それは紫の特別な結界の効果でな。洞窟に入った能力持ちの奴はどんな能力でも完全に封じられてしまうんだ。」
「へえ…でもどうして能力を封じる結界なんか?」
「そりゃ桜の能力を封じ込める為にあるんだよ。」
「能力を封じる?どうしてだ?」
「うーん、まあ長くなるから後で説明するさ。とりあえずあそこに見える社で話をしよう。」
竜神は奥にある社に指を指した。
「あの社か。何だか小さいが神聖な気が溢れている気がするな。」
「確かにそうですね。何だか落ち着きますね。」
「ま、とりあえず歩くの面倒になって来たから先に言ってるぞ。」
竜神はそう言うと、桜を背負って社に向かって大きく踏み出した。すると、竜神は一瞬で社にたどり着いていた。
「ほう。能力無しの脚力だけで行ったのか。」
「そう言えば能力使えないとなると空も飛べなくなっていますのね。」
「そりゃそうだろうな。俺はあいつと同じ様に行けるがお前はどうだ?」
「僕はゆっくり行きますよ。」
「そうか。なら俺は先に行っているぞ。」
そう言うと青年は異常なスピードで社にたどり着いた。
「さて、僕も行きますか。」
吸血鬼の青年は社に向かってゆっくりと歩いていった。
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「お、ようやく着いたな。それじゃ、中に入ってくれ。詳しい話をするからな。」
僕は目の前にいる若い人に促されて社の中に入った。するとさっき話していた男の人はナイフを弄りながら座っていた。
「さて、これで揃ったな。それじゃあ、先に自己紹介をしないか?名前を知らなきゃ話にならないからな。」
「確かにそうだな。じゃあまずは俺からだ。俺は幻真。二つ名は【龍を操りし者】って言われているな。種族は半人半龍で、能力は龍を操る程度の能力だな。詳しい説明は面倒だから省くな。基本的な戦闘スタイルは接近戦で戦う事が多いな。」
幻真と名乗った青年からは確かに龍の力を感じた。しかも下手をしたら自分でも倒せるのか分からないが、わかる限りでも相手にはしたくないと考えていた。
「ま、これで俺の自己紹介は終わりだな。次は誰が自己紹介するかい?」
「ああ、では次は僕がしましょう。」
そう言ったのはもう一人の青年だった。正直名前だけ教えてもらえば良いだけだと竜神は思っていた。何故なら彼から感じる力は何故か七割が封じられているが、それでも相当な強さを持っていると感じ取っていた。
「えーと、僕の名前は闇里紅夢。二つ名は【すべての運命と破壊の支配者】です。種族は三つあって、【吸血鬼】【さとり妖怪】【神】の三つです。能力は此処に来てから殆どが封印されていて使えないですが、何とか使える能力を言うと【すべての運命を操る程度の能力】【すべての物を創造・破壊する程度の能力】【日光と流水からのダメージを軽減・無効化する程度の能力】の三つを有しています。戦闘スタイルはほぼ全て出来ます。一番得意なのは接近戦ですね。」
「うげ…多重能力者なのかよ…これはまたチート級の奴が入って来たもんだな。」
「同感だな。しかも種族が三つとか聞いた事無いぞ?」
「種族を変えたりする等は聞いた事がありますが…私も種族を三つも持っている人なんて聞いた事ありませんよ。」
紅夢以外の三人が口々に言っていると、ボロボロの姿の時龍がフラフラと入って来た。
「あー、酷い目にあった…身体中が痛てぇ…」
「何時も思うがやっぱり時龍はタフだよな。」
「タフでも流石にあれはキツイ…この洞窟では戦いたくは無いもんだな…」
「そりゃお前さんの自業自得だ。」
「…何でそんなにボロボロにされるんですか?」
紅夢が時龍にそう聞くと、代わりに幻真が答えた。
「ああ、それは時龍が他の女の奴らに変態行為したからだろう。こいつは俺のいた幻想郷でもこうだったからな。」
「良いじゃねぇかよ。変態行為は男のロマンだぞ!?」
時龍な何故か胸を張ってそう言った。その後それのせいで別の奴にボコボコにされたのはまた別の話。
「あのー…そろそろ本題に入りませんか?」
桜は早く本題を話したい様で、皆に向かってそう言った。
「おっと、無駄話はここまでにしようか。ここからは重大な話だ…良いか?」
竜神が真剣な顔になると皆も一様に真剣な表情になった。
「良し…それじゃあ今の現状を話そう。まず、この異変は何時もの異変では無く、他世界をも巻き込んだ大異変だ。それは皆も分かっているだろう。しかし、この異変はこの幻想郷だけでは無い。同じ異変が紅夢の世界でも起きている事が発覚した。しかも、異変の規模は尋常では無く既に幻想郷が崩壊寸前まで追い込まれている。」
竜神のその言葉に皆は紅夢の方へと向いた。
「はい。先程竜神さんが言ったように僕の幻想郷でも同じ異変が起きています。そして、既に紫と隠岐奈だけでは幻想郷を維持するのが限界になっています。僕はその調査の過程で気付いたらこの幻想郷に幻想入りしていました…更に言うと今頃僕のいた幻想郷は既に…崩壊しているかも知れません…」
紅夢の言葉に驚かない者は居ない。それは幻真と時龍も同じだった。
「幻想郷の…崩壊だと!?」
「そんな事が有り得るのか!?」
二人はかける言葉が無いと言った感じで、その後は黙ってしまった。
「ただ、此処に来てしまったのは運が良かったです。」
「運が良かった…?」
「はい。勿論僕の居た幻想郷の事も気になります。ですが、此処にもし…異変を起こした犯人が居るなら…全てを戻せるかも知れない…僕の能力は敵によって殆どが封じられています。解除も試みましたが…不可能でした。」
「敵は…此処の幻想郷に居るわ。」
不意に扉の方から声が聞こえてきたので其方を向くと、そこには嫉妬の橋姫「水橋パルスィ」が立っていた。
「パルスィ…?何故ここに?ここを知るものは幻想郷でも上位の奴らしか知らないはず…」
しかしパルスィはその質問には答えず、外の方を向くと誰かに声を掛けた。
「アルマ。やっぱり敵はこの幻想郷に居るみたいよ。」
そして、パルスィの横を通って来たのはまた見知らぬ人物だった…
そして…
その人物は…
人間でも無く妖怪、神でも無い…
それは…
魔界の「魔王」であり…
感情の怪物であった…
今回出てきたキャラは
闇里紅夢様
闇里紅夢様の小説
・東方紅夢郷-Ruler of destiny&All destroyers-
狼天狗様
狼天狗様の小説
・東方人獣妖鬼
最後のキャラは…怠惰の魔王と言う事ですが、まだ内緒です。
そして、今回は文字数が少ないです。理由は…聞かないでおいて下さい(´;ω;`)