たびびとのき
間違って消した話のひとつ、再生版です(;^_^A
時系列でいうとお話の終わり近くですかね、だいぶ先のお話です。
なんで載っけたかというと、消えたのが出来たから♪と、
また消すのが怖かったからorz
お話の中の「旅人の木」の花言葉、「何ものも恐れぬ精神」には至りませんでした(苦笑)
改稿(汗)、本文にタイトル、日付が抜けてましたので追加ですm(__)m
ライトノベル日記
×月○日 旅人の木
今日は新宿御苑にひとりで来た。
座敷わらしは一緒に来たかったみたいだけど、
…うん、今日は断った。
ひとりで来たかったし、
元々あの娘と来る予定だった場所に座敷わらしを誘うのは、さすがに気が引けた。あの娘と来ることはもう二度とないとわかっているけれど。
あの娘と前に行った新宿NSビルの振り子時計と同じで、
新宿御苑は生前の自分にとってのお気に入りの場所のひとつだった。
当時、変わる季節ごとに何度となく訪れた。
春の桜、6月の薔薇、10月の菊展や、
穏やかな日に、いつもの芝生で寝転んだり。
庭園の池や木々や、公園の外の風景。
建ち並ぶビルとの対比、都会の公園ならではの景色を楽しんだり。
大温室に行ったり。
写真も沢山撮った(微笑)
生まれ変わってから少し前に見た、新海監督の「言の葉の庭」あれの景色が新宿御苑だと気づいて、
あの日、あの娘から展示会に誘われた時、時間的に無理かなと思いながらもNSビルと御苑はお出かけスポットに入れてみたんだった。
あの娘が、たぶん思い出すことはないだろうと思いながらも、いたずら心で彼女を連れてきてみた。
生前、あの娘にとっても生前だ、彼女と一緒に新宿御苑には来たことがあった。
前の時、幾度か連れ立って来た場所だ。
あの日、
あの娘はやはり思い出すことはなかった。
前の時に入って、あの娘も楽しんでくれた大温室も改築されて、別の建物になっていたしな(苦笑)
それでもあの日、あの娘と一緒に来ようと思ったのは、
生前のあの娘、あいつが約束だと言ったこと。自分のハマっているゲーム、TRPGってものを一緒にやるという話を思い出して欲しかった気持ちが少しと、
前に一緒に見た「旅人の木」、あれが見たかったからだ。
「旅人の木」、バナナの木に似た葉を持つ、観葉植物。
極楽鳥花属なんだな。
バナナと同じ芭蕉の仲間かと思った。
極楽鳥花、そのままバードofパラダイスなんて呼ばれてるんだ。ちょっと面白い。
旅人の木の花は極楽鳥花に形が似てるけれど、白いんだな。
こっちの方が好きだ。一度見てみたい。
旅人の木は大きく成長すると下の葉が落ち、ヤシの木のように幹だけが残り、上で葉を東西に広げる。
だから「扇芭蕉」とも呼ばれているらしい。
花言葉は「何ものも恐れぬ精神」で開業祝いに向いているそうだ。
ちょっと調べたら、そんなことが書かれていた。
今自分が作っているTRPG世界で、世界樹と呼ばれる木としているもの。そのひとつ、南方の世界樹にしようと考えている。
自分のイメージは大きく育った旅人の木、ヤシのように上方で葉を広げているのではなく、
まだ若い木、開きかけた扇子のような格好で、ただひたすら巨大。
密林から開きかけた扇が大地に突き刺さるようにそびえたっている。それを仰ぎ見ているそんな光景だ。
少し前に読んだ女の子向けのライトノベル、「異世界コンビニ」だったかな?そんな名前だったと思う。
そこに世界樹と呼ばれる桜が出てくるお話を読んで、
自分が好きな木を世界樹にするという天啓をいただいた。
旅人の木の世界樹は、そうして南方の地に立っている。
桜もいいな…。
そのお話のようにいつか、自分も桜をモチーフにしたお話をやってみたいなと思う。桜は自分も好きだから。
あのお話の世界樹としての桜や、別のお話だが、やはり巨大な桜のある世界。6本の桜に囲まれたあの街のような、桜、人々、世界が重なり合い結びついている物語を作ってみたい。
そんな話を、旅人の木の前であの娘にしてみたら何か変わるだろうか?なんて考えていたけれど…。
前のあいつが好きだった木、
今回、結局一緒に見ることもなかったし、
TRPGの約束も果たせなかったな。
温室を出て、芝生で思い思いに休息する家族連れやカップルに混じり、
人があまり居ない場所に寝転がりながらそんなことを考えていた。
閉苑のお知らせだ。
だいぶ時間が経ったみたいだ。
芝生に寝転んで見るともなく眺めていた周り、ビルたちを、
起き上がって思い出にするために見つめる。
今日は長い時間をかけて帰りたくない。直接家に帰ろう。
遅くなると、座敷わらしも心配するしな(微笑)
自分の周りだけ現実から切り離し、扉を創造する。
扉を開ける前に振り返り、温室の方を見て今日の旅人の木を思い出した。
また来るよ。たぶん…