キャラメイク その2
予告通り今回でキャラメイクはおしまいです。
やった!魔王を倒した!まさかあのタイミングで助けに来てくれるなんて思わなかったよ!いや~今まで大変だった。・・・ただなぁ魔王の実験で無理やり合成された天使の姉妹、助けられなかったんだよねぇ。なんか自分達と重ねて考えちゃったよ。はぁ。
《問15 この世界で何がしたいですか?》
「助けたかったな~。あの2人・・・ってそうだった。これ今種族決めてるんだった。途中からどんどん面白くなっていくストーリーに心惹かれすぎてたわ。やっぱり美奈一緒に思いっきり遊びまわることかな。」
《・・・了解しました。では『黒猫族』と『NINJA』のうちどちらかを選んでください。》
!? おいちょっと待て。なんか変なのあるぞ!?黒猫族は別にいいけどもう一個はなんだ!NINJAて、横にあるイメージアバターなんてもう今までのキャラメイクの意味なかったんじゃないかってぐらい顔隠れてるよ。流石にこんな不審者まがいのような姿にはなりたくないから黒猫族かな。藍色にさらに黒色が少し増すだけだし。何よりも頭の上でぴくぴく動いている耳が!後ろでゆらゆらと揺れている尻尾が!私のもふり魂を刺激してくる!
・・・もしかしたらあの質問で犬を選んでいたら黒犬だったのかな?NINJAはいったいどこから出てきたのかわからないけど。
黒猫族を選ぶと突然眩い光に襲われて目を開けるとそこには先ほどとはうって変わって青い空からあたたかい日の光が差し込む一面の草原とこちらを見て微笑んでいるイリスさんの姿だった。
「ここは?」
『武器の決定とチュートリアルを兼ねている場所です。ルナさん、自分のステータスを確認してください。』
素直にうなずいて確認してみる。
ルナ Lv1
種族 黒猫族
HP 5
MP 5
STR 25
DEF 5
INT 5
AGI 30
DEX 5
LUK 9
スキル 〈???〉 〈隠密Lv1〉 〈加速Lv1〉 〈連撃Lv1〉 〈夜目Lv1〉 〈 死者使いLv1〉
称号 〈卓上の救世主〉
残りステータスポイント 0
残りスキルポイント 1
んん?何やらいろいろ変わってる。ってかスキルなんて選んだ覚えないんだけど・・・明らかに最後の一つ浮いてるし。変な称号もついてるよ?卓上の救世主ってなに?もしかしてさっきランダムで選んでる時に魔王を倒したことを言ってるのかな。それにステータスもだし。あぁ~もうとりあえず全部イリスさんに聞いてやる!
「え~と。まずなんで勝手にスキルが決まってるのか聞いても?」
『それはルナさんがランダムを選択したからですね。一応ちゃんと利用規約に書いていたはずなんですが皆さん読んでいらっしゃらないようでしたので。』
うん。ぜんっぜん読んでないね!もう楽しみすぎてすぐに入ったからそんなもん見てなかった。
まぁちょっとプレイスタイルは狭まったけど別に許容範囲だしわざわざ作り替えることもないか。
「あ~なるほど。楽しみすぎて完全に読み飛ばしてたよ。じゃあ次にこの称号っていうのは何?」
『それはゲーム内で行った行為に応じてつけられるものですね。基本的に良い効果を持ちますがレッドプレイヤーなどにはその行為の内容、回数、悪辣さなどを考慮した悪効果をつけています。因みにルナさんの〈卓上の救世主〉はアバターではない状態で世界を救ったプレイヤーにあたえられるもので効果はLUKに+5するというものです。』
なるほど。このゲームでは根本的な禁止をするわけではなくそうやって目に見える形で示してうえで犯罪の重さによってデバフをかけていく仕様なのか。そして称号については完全に推測通りだったし。LUKの値がどれくらいゲームに影響を与えるかはわからないがあげていて損はないだろう。しかし+5か、てっきりこの称号の効果でステータスについては全部解決だと思ったんだけどこれまでの話から言うとLUKがどこかで-1されていることになる。
「えーと。それ以外にもステータスが変わってるように見えるんだけどこれは?」
『それは種族特性ですね。その種族の特性に合わせてステータスが一定の変化をしました。例えばこの場合はAGIに+5 LUKに-1といった風です。』
あぁ。そういえば種族を決める時の説明欄にそれぞれの長所短所が書いてあったあれか。それはステータスに変更があって当然だ。そうでないとただの外見決めコーナーになってしまうのだから。
「わかりました。最後にこのスキル欄の???ってどういう意味なんですか?」
『それはさっき言った武器スキルです。チュートリアルだと〈剣〉 〈短剣〉 〈大剣〉 〈杖〉 〈槍〉 〈弓〉 〈盾〉 〈槌〉 〈拳〉 〈棒〉 等から選ぶことができます。またスキルの試し打ちも可能ですよ。』
これで質問はすべて消化しきったかな。それから武器スキルについてだけど私のプレイスタイルは〈隠密〉で近づいて〈連撃〉で一気にダメージを与え〈加速〉で逃げ出すといったところだろうか。まぁ実際どんなスキルなのかはまだわからないのだが。
それだったらやっぱり取り回しが一番良い〈短剣〉だろうか。できれば両手に一本ずつ持ちたいけれどそこんところはどうなんだろう。
「二刀流みたいなことって可能なの?」
『システムのアシストはありませんが両手に武器をもって戦うことは可能ですよ。』
ありがとうございます。じゃあ短剣の二刀流を試してみるか!ついでに他のスキルもね。
結果は
短剣二刀流は攻撃力が増すだけじゃなく咄嗟の時の防御にも使えて良い感じ。お金がかかりそうだけど。
隠密は予想通り影をまとうようなエフェクトを出しながら認知されづらくなるというスキルだった。特に消費するものはないけどヘイト値が一定以上だと使用できない。
加速はなかなか使い所の難しいスキルだった。効果は一時的な超加速なのだがこれのコントロールがなかなか上手くいかない上に、消費MPが自分のMPの最大値の4割ということだった。イリスさんに聞いたところレベルアップで減るようなのでしっかりと育てていかねば。
連撃はランダムで発動する追い討ちのようなものみたいだ。具体的にいうと確率に応じて振るった剣の後に同じ軌道を描いて謎のエフェクトが走るというものだ。攻撃力は連撃が発動した攻撃と同じらしい。尚、このスキルはパッシブスキルだから特に消費するものはない。
死者使いはなんかよくわからない。発動条件は相手が死んでいることと相手にまだ意識があることらしい。消費するMPは相手の強さによって違って相手に気に入られれば安く召喚可能にすることもできるらしい。
といった感じになった。もっともほとんどイリスさんに聞いた話なんだけどね。ってなことで武器スキルは短剣に決定。
『ごほん。では、今回だけ私が。スキルポイント1を消費し〈短剣〉スキルを取りますか?』
目の前には はい いいえ というウィンドウが出ている。しかし私はその選択肢に手をかざすことなく。
「はい!」 と一言。
それを見たイリスさんはにっこりと笑って、
『わかりました。ではいってらっしゃい。ルナさん』
こちらに手を振りながらそう言った。
「また、会いましょう!・・・ありがとうございました!」
徐々に光で狭まっていく視界の中私も手を振り返しながらそう言った。
視界全てを覆いつくす光の放流を抜けるとそこは、いかにもファンタジーな街並みとカラフルで現実にはあり得ないような角や尻尾が生えた人々がうきうきした様子を隠せずにこの景色に酔いしれている様子だった。
私はこれからこの世界で一体どんな物語を綴るのだろうか。そんな高揚感を隠しきれないまま私は確かに『SILVER WORLD』の第一歩を踏み出したのだった。
伏線っぽいことを言ってるかもしれませんがこの後の気分次第ですべて変わります。もうすでに少し書くのが遅れているのだから、頑張らねば。
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