呼び出しと仕事 2
シュナイター中将はつまらないと言っていたけれども、手付かずの自然と冒険の旅と言うフレーズに、ニキータが止める間もなく参加の意思を示してしまった。
ニキータが凄まじくあきれている様な気がする。気のせいだろうけれどもね!
なお、喜び勇んで陸軍司令部に報告したら物凄く怒られた。解せぬ……。
私にはよくわからなかったが、空軍に協力するのは暗黙の内にご法度となっていたそうだ。そんなの知らないし、私はただの屯田兵だし。と、言うと、ヘクトマイヤー一等大佐が頭を抱えてしまった。
どうしたのかと聞くと、問答無用で頭突きを食らった。解せぬ……。
「以前の件で、空軍は賠償問題を起こしてこちらにも甚大な被害をもたらした。君の給料が下がったのは空軍のせいなんだぞ!なんで、そんなのに協力なんてするんだ、このバカ!!」
「な、なんだってー!下がったって、1/3も減ったんですよ!?何をしちゃったら、そんなことに……」
「日本に喧嘩を売った。それ以上は言わなくても分かれ」
外交とかはよくわからないけれども、ウチの国が威張れない国なんてほとんどないって、ニキータも言っていたし……。いくら私がバカだからって、喧嘩を売ってもイイ相手とダメな相手の区別くらいつくよ。
だから、私の給料を差っ引かないでね。今すぐでいいよ……。
「ごめんなさい、知りませんでした……」
「ごめんなさいで済むんだったら、憲兵も法律も必要ないだろう……。はぁ、君がどうしようもないバカだというのはわかったよ。今回の件は、こちらから断っておく」
「あ、でも、それとこれとは別問題なので」
「この大バカ者!」
げんこつを食らった。解せぬ……。
なお、石頭な私の頭を殴ったヘクトマイヤー大佐の手があらぬ方向に曲がっている。
「あ」
「あ」
「……」
「……」
「もう、いい。君をいくら怒鳴ったところでダメなようだ。後日、司令部から出頭命令があるだろう。必ず来るように、いいな……(涙目)」
「わ、わかりましたから、医務室へ行きましょう!早く!」
「言われなくとも、わかっているわ!このアホ!」
本日2発目のげんこつを食らった。ちなみに、同じ方の手で殴られたため、ヘクトマイヤー大佐が絶叫することになってしまった。
ナゼナニ☆レキシントン!
Q.シュナイター?
A.シュタイナーじゃないです。シュナイターなんです。
彼女のようにレキシントンでは、微妙におかしい苗字が乱立している。理由として、建国後に住民登録したときだろう。心にサワだった中二病が、ついうっかり出た結果がこれだよ……。と言うモノ。今作に登場する「ソヴィエツカヤウクライナ(ソヴィエト連邦のウクライナ)」は、その代表格とも言えるかもしれない。
なお、ケイ・シュナイターはクロノ・シュナイターの娘である。
Q.なぜ、空軍と陸海軍の仲が悪いのか。
A.どこの国も大体一緒。
ただ、レキシントンの場合は多少違って、屯田兵制を導入した結果。陸海軍が互いに協力し合わないと、自分たちの首をも絞める結果が出てしまったために協力関係に(当初は嫌々だったにもかかわらず、共通の恐怖対象ができたために、今では嬉々とした協力関係にある)。その代わりに、宇宙での行動が主な任務だった空軍は屯田兵を抱えることがなく、苦楽を共にした陸海軍と意思疎通できなくなったことが主原因。
ただ、空軍の名物少佐や朝烏元帥によって、無理やり協調路線を歩んではいる。
勿論、予算関係で陸海軍と共通の装備を殆ど使用できない空軍は、孤軍奮闘するしかないというのも理由の1つ。あと、「昭和争乱」で最重要同盟国である日本に喧嘩を売ったことも理由として挙がる。
Q.婿殿は空軍。ニキータは海軍。ニーナは陸軍。なのに、なぜ仲が悪くないのか?
A.屯田兵にとっては、上のゴタゴタは関係ないというのが理由。
さすがに、佐官クラスになると色々とあるが、家庭に持ち込んでも意味のないことなので婿殿もニキータも何も言わないだけ(それ以上に、ニーナのおバカの方が問題)。
特に「昭和争乱」に関わっていない2人は何も言えないというのが実情。