鷺ノ森晟良
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鷺ノ森探偵事務所。そこはどんな依頼も引き受け、そして何があっても必ず完遂する場所があった。そして、その男は、自分の死の運命が少しずつ近づいていることは知る由もなかった。
「ふぅ…とりあえずはこんな感じでどうですかね?」
肩を回しながら軽くため息をついたのは、鷺ノ森晟良鷺ノ森探偵事務所を1人でまかなう男である。今日も彼はある依頼を完遂し、向かい側に座る女性に結果を知らせていた所だ。
「ありがとうございます!これであのクソな夫と離れられます!」
…クソねぇ…随分と嫌な目にあったんだな…まぁ、俺には関係ないが。
「それはよかった、これで正式に旦那さんの悪事を表に出せば結構な額の賠償金など入ってくるでしょう」
「…なんかごめんなさい…わざわざ探偵さんにこんなこと頼むなんて…」
「お気になさらず、この探偵事務所はどんな依頼も引き受け、何があっても必ず完遂するお人好しの事務所ですからね」
俺はその女性の緊張をほぐさせるため優しい笑みを浮かべた。
しばらくしてその女性は俺に報酬金を払い、事務所を後にした。
俺はコーヒーを飲みながら報酬金を確認した。……やっぱ少ないな…。だがこれでしか食っていけないからな、すると事務所のドアがノックされる。
また新しい客か、
「どうぞ、空いてますよ」
俺はコーヒーを飲み干し、扉のドアノブに手をかけた。




