第2話【バレはじめた嘘】
小学6年生にもなって自転車に乗ることができない俊作。なぜこんなことになってしまったのか?
理由はいたってシンプルで、母子家庭でド貧乏なために自転車を買ってもらえないからだ。
しかし、プライドの高い俊作は友達には本当のことはいわず、『昔、あまりにも荒っぽい乗り方で何台も自転車を壊してしまったため、新しい自転車を買ってくれないんだ』と嘘をつき続けていた。
そんなある日のことだった。4時間目の授業の終わり際、担任の先生がこういったのだ。
「あさって、交通安全の授業があります。校庭で自転車に乗ることになるから」
『はーい』と元気よく答えるほかの生徒たちとは裏腹に、俊作は思いきり顔面蒼白になってしまっていた。そんな授業に出てしまったら、自分が小学6年生にもなって自転車に乗れないことがみんなにバレてしまう!……。
2日後、俊作は仮病を使って学校を休むことにした。しかし、そんな俊作の不自然な様子に周りの友達も徐々に気づきはじめ、『俊作のやつは本当は自転車に乗れないんじゃないのか?』といった噂がちらほらと飛びかうようになっていった。