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ストライク・アタッカー  作者: 蒼のつばさ
第二章 春→夏
15/21

episode 15

 DAY 2

「おりゃ!!」

 ズパッ!!



 全カット

 DAY 2終了

「そりゃねーよ」




 DAY 3

 全カット

「おーい!」

「どしたの?空に叫んだりして?」

 ミサトが鉄矢に聞く。

「いや、知り合いが手抜きをしはじめまして…」

「あらら、それはいけないことだ」

 これで読者数減ったらどーすんだよ。俺の頑張りが無駄になるぞ~。

「そういえば、今日一旦外に出るよ」

 ミサトが思い出したかのようにそう言った。

「出てるじゃないですか」

「いやいや、ゲート外に」

「えっ」



「うおほほほー!!!」

 満天の星空を上から見ているような、高級ホテルの上層部から覗く夜景は最高だった。

「ここ1室1人で自由に使っていいよ」

 部屋を覗きに来たミサトがそう言う。

「マジすか!?」

 近くにあったベットに「ヒャッホぅー!」とダイビングした。

「こんなフカフカなベットを独り占めできるのか…」

 あぁ。これは人をダメにするベットや…。

 

 久々のお風呂…

「最高」。

 バラ風呂初めて入りました。あ、なんか肌すべすべしてね!?


 夕食

 え、A5?この肉ですか?本当ですか!?



 これがタダで泊まれるって…生きてて良かった。

「やあ」

 鍵をかけたはずなのにミサトさんが入ってきた。

「わあ!」

「付き合ってよ」

 そう言ってワインボトルを突き出してきた。

「未成年っすよ」

「ああ、これ、ぶどうジュース」

「ややこしいな…」

 飲むと一言も言っていないのに、ミサトがテーブルに置いてあったグラスにぶどうジュースを注ぐ。

 そして、もう片方には別のボトルを注ぎ込んだ。

「…それは?」

「お酒」

「明日動けなくなりますよ?」

 そう言うと、ニヘラと微笑み、

「大丈夫大丈夫。お酒強いし」

と言った。そういう問題…?

「まあ、3日間お疲れ様。かんぱーい」

「かんぱーい」

 カチンと、静かな部屋に、薄暗い部屋にその音が響き渡る。

「ん、うま」

「でしょー!」

 私が選んだのよと言わんばかりの顔をする。腹立つな~。

「やっぱびみょー」

「やっぱってなにさ!?」

 ぷくーと頬を膨らます。わかりやすい怒った顔だ。

 ははは、と笑った後、ふとこんなことを思い出した。

「そういえば、なんで毎日ここに戻らなかったんですか?」

 みんな先に贅沢してずるい。しかし、ミサトはとぼけた顔をして、

「こんな非常事態に休む時間もないでしょ?」

 と、当然のように言った。

「あー…」

 こういう時だけいいこと言うなぁ。普段の生活からしてそんなこと言えるとは思えない。

「(まあ、他にもあるんだけど)」



「じゃ、明日も早いしこのへんで。付き合ってくれてありがと。おやすみ~」

 手を振りながら出て行った。…あ、

「あ、まってください!」

「ん?」

 閉じる前に声をかけたので、返事が帰ってきた。

「1つ気になったことがありまして、」

「なに?」

「その、入る前はゾンビ生存率が事件発生当時より4割減ってるって聞きました。今まで討伐隊が行ってるにもかかわらずこの数値はおかしいと思って。ほら、ミサトさん、3割討伐したって…」

 俺がそう言うと、ミサトさんがにっこり笑って、

「それに気づけたならこの度は80%達成だよ」

 そう言って扉を閉めていった。

「…は?」


 カットしたけど、サーカスやってての愚痴とか、旅の話とか、killの話とか、酔ってたのかわからないけどめちゃくちゃ話されて疲れました。

 だいたい「へぇ~」ぐらいしか言ってなかったなあ、俺。

 大人になったら、自分もこうなるのかな…。それは嫌だな。




 その日、夢を見た。

 薄暗い場所に1人立っていた。

 地面はやや柔らかく、それが何かはわからなかった。

 ただそこに立っていちゃなにも起こらないだろうと思い、とりあえず、今向いている方向に歩き出した。

地面はやや柔らかく、安定して歩けない。また、コンクリートのように平らな地面ではなく、砂浜のように凸凹していて、たまにつま先に地面がぶつかり、転びそうになる。

 しばらく歩くと奥の方に人影が1つ見えた。仲間を見つけたと安心感が生まれた。

 急いでそちらに向かおうとしたとき、つまづいて転んでしまった。いや、つまづいたのではない。何かが俺の右足を掴んでいる。よく見ると、気味の悪いあの地面から腕が1本生えているではないか。

 必至に振り払って人影の方に向かおうとしたとき、妙な光景が目に入った。

 先ほど、人影は1つと言っていたが、今見たところ7つほどに増えていた。しかも、その増えた6人ほどがすでにこちらに近づいている。

 助けにきたのかと思ったその矢先、まるで百足が背中を流れ走るような恐怖感が鉄矢の体を包んだ。

 その近づいている6人とやらは、ゾンビだったのだ。しかも、そのゾンビすべてに見覚えがあった。なにを隠そう、そのゾンビは鉄矢が殺したゾンビだったのた。

 しかし、なぜ恐怖感が生まれたのか。すぐに殺せばいい話だ。しかし、殺したはずのゾンビが今こちらに向かっているということは、ゾンビは死んでいないということ。つまり、殺してもまた生き返る、という答えに鉄矢は恐怖を覚えた。

 すぐに来た道に戻ろうとしたが、そちらの方からもゾンビが何体かこちらに向かって来ていた。内2体が、地面から這い出て来た。

 まさかと思い、地面をよく見ると、それは、『地』ではなく、『人』だった。

 ここは、言い換えれば墓場。殺したゾンビがすべてこの空間にいるだろう。

 この空間にいるゾンビが全て俺が殺したというのならば、とてつもない量を知らないうちに、気にせずに殺したことになる。

 そのおびただしい量に震えていると、地から声が聞こえてきた。

「助けて」「助けて」「痛いよ」「助けて」「痛いよ」「痛いよ」「助けて」「痛いよ」「助けて」「痛いよ」「助けて」「助けて」「助けて」「痛いよ」「助けて」「痛いよ」「痛いよ」「痛いよ」「痛いよ」「助けて」「助けて」「痛いよ」「痛いよ」「痛いよ」「助けて」「助けて」「助けて」「助けて」「助けて」

 そんな声がBGMのように永遠に聞こえてきた。

 気づけば、地面に転がっていたゾンビは俺の足首を、脚を掴み、這いつくばっていた。

「やめろ…はなれろ!」

 はらこうにもそんな数じゃなかった。

「ぎゃァ``!!?」

 いきなり右足から激痛が走った。場所は、親指…?

「んぎィ!!」

 今度は、人差し指…?

「があァッ!!」

 中指。

 そして、順番に薬指、小指と激痛が走った後、やや手前にいたゾンビが体制を起こし、俺の目の前に握り拳を近づけた。

 ニンマリと笑ったそのゾンビは、手を開いた。

 その手から下に何かが落ちてゆく。

 それは…

「爪」

 激痛の正体は、爪を剥がされた。

「お前らあァァッ!!」

 すぐさま左足から激痛が走る。



 その後、右左足首骨、脚骨、手爪、指骨、腕骨、歯、眼球、髪と、抜いたり剥いだり折ったりして、絶え間無い苦痛を俺に与え続けた。眼球を取られた時にはもう意識はなかったと思う。


「痛いよ…助けて…」




 薄暗い天井がそこにはあった。

 目が見える。

 歯がある。

 髪がある。

 脚がある。

 全部、夢だったんだ。

 上体を起こす。

「おはよう」

 すぐそこにミサトさんがいた。

「おはようございます」

「…驚かないのね」

 どこかさみしそうな顔をしていた。

 そういえば、鍵かけたのになんで入ってるんだろ。

「結構寝苦しそうだったよ」

「ああ、そうですか」

「寝言録ったんだけど、聞く?」

「ああ…メールに貼っつけて送ってください」





「いやあ、今回も結構やったねえ」

「そうですね」

 DAY 4 もそろそろ終わろうとしていた。

 大量の死体の前で、ミサトさんがなぜか拝んでいた。なにしてんだろ?

 拝み終えたミサトさんは、俺を心配そうに見つめ始めた。なんだよ。

「君、誰?」

 …は?

「なに言ってるんですか。鉄矢ですよ。ス・ガ・ワ・ラ・テ・ツ・ヤ」

「そっか。でも、私の知っている鉄矢くんは、君ではないよ。外見は恐ろしく似ているけど」

「なに言ってるんですか?…あー、ドッキリですね?そんなのにだまされませんよ?」

「私の知っている鉄矢くんは、明るく、仲間を大事にし、命を大切にしていたよ。でも、君はその逆だ」

 俺の言葉を無視して話し続ける。

「まるで、5年前の君みたいだ」

「…何が言いたい?」

「ん、詳しく言おうか?2022年9月26日大量虐殺の生き残りの、その当時の君みたいだ」

 !

「なんで、…なんで知ってるんだ!!」

 その言葉を発した後、意識がふと切れてしまった。



 気がつくと、いつもの地下室にいて、ソファで横になっていた。ミサトさんがそばでコンビーフを食べていた。

「お、気がついたか」

「…どれぐらい寝てました?」

「2時間」

「…そうですか」

 天井の蛍光灯が眩しく感じた。胸あたりがすっきりした感覚にあった。

「…夢を、見ました」

 自分は、そう勝手にミサトさんに話す。

「薄暗い場所に1人立っていました。地面はやや柔らかく、最初はそれが何かはわからなかったんですけど、後にそれが死体、ゾンビだと気づきました。そのゾンビが俺の爪とか歯とか抜かれて、いろんな所を折られて、とても痛かったです。夢なのに。目が覚めた時には心がどこかにいってしまって…。きっと、夢の中で爪とか歯と共に、心も抜かれてしまったのだと思います。今日、今に至るまで実際、自分が何をしていたのかはっきりとは覚えていません。でも、ゾンビを容赦なく殺したことは覚えています。それは、また夢に出てきたときのことを考えて、ためらって半端に殺すと、意識がまだ体内に残っているから夢に出てきて、すぐに殺したほうが夢に出にくいと考えたからだと思います。今はかなり落ち着きました」

「そっか」

 ミサトさんは俺の話をしっかりと聞いてくれた。

「実は、2日間徹夜させたのは、その夢の影響を受ける日数を減らすためだったんだよ」

「…どういうことですか?」

「その夢は、呪いなんだ。ここに来ている人皆、君と同じような夢を見ているんだよ」

「え…」

 自分と同じような人が何人もいるんだ。そんな時に何してんだ、俺は。

「…明日もやれるかい?」

 ミサトがそう言う。

「もちろん。あと大丈夫ですよ」

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