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ストライク・アタッカー  作者: 蒼のつばさ
第二章 春→夏
14/21

episode 14

「ゾンビのくせに…脳あるんじゃねーの?」

 今現在、ビル内部。

 人を見つければ襲い掛かるだけしかないと思っていたけど、まさか確実に仕留めに来るなんて…。あんな作戦、人間の脳でもない限りは思いつかないよな…。いや、思考力持ってるのか?

 しかし、あの爆発音は…やっぱミサトさんが言ったように、能力を持ったままゾンビになったのか…?

 それより、なぜ鉄矢は生きているのか。

 鉄矢が、ビルが倒れていることに気付いてから地面に落ちるまでの3秒間。

 鉄矢は、窓ガラスを見ていた。ビルの壁は壊せなくてもガラスなら壊せる。

 落下地点を予測し、いいタイミングでガラスを壊し、そしてビル内部へと入ったのだ。

「こどもだからってナメてるな。あいつら」

 中学生って、まだこども…だよな。

 しかし、爆破させたゾンビも馬鹿だよな。今のでたくさんの仲間が巻き添えになったって言うのに。

 …ひょこっと別の窓ガラスから顔を出す。当たり前ながら全員が下敷きになっていたため、ゾンビはどこにも見当たらない。

 よし、今なら。チャンスと思って全力で走り出す。



「…来ないな」

 一方、シェルター前。

 帰ってきていないのは、鉄矢、ミサト合わせて5人。

 そこに、鉄矢、ミサト以外の2人が帰ってきた。

「ギリギリだな」

 汗だくの2人に、かなり前から戻って来た男が話しかける。

「いやぁ、ハァ、張り切りすぎたぁ…」

 その言葉に周りが吹き出す。

「しかし、遅いな」

 残り2分。



 一方鉄矢は、ビルの屋上を飛び移りまくり、ショートカット、最短距離でシェルターに向かっていた。

 しかし、それでも間に合わない。

 もっと、もっと速く走らないと…。

 体制を低くし、脚の回転を早くして目的地まで急ぐ。

 頼む、間に合ってくれ…。




 ピキンッ




 足が…

 もつれて…

 壮大に転ぶ。そのまま屋上から飛び出る。

 足がつった。

「うわッ!!」

 向かいのビルの窓ガラスに突っ込む。

 こんなに足を早く動かしたのは初めてだった。だからか…。

 まだ動ける。早くゲートにつかないと…


『ピピピピピピ!!!』


 ゲートが、閉ざされた。それを告げるアラームが、響き渡る。

 間に合わなかった。その事実が、身体全体に強い脱力感が襲いかかる。

 仰向けになる。背中に小さなガラスの破片が当たって痛い。

 これで俺も犠牲者、か。

「はは…はははははは」

 無性に笑いがこみ上げる。頭がおかしくなった人の気持ちがわかったような気がした。

 さんざん人を殺してきたんだ。喰われてもしょうがないか。あー、気が楽だ。早くゾンビ来ないかな。

「いやーなかなかの速さだこと」

 ミサトが鉄矢の顔を覗き込む。

「うわっ!いたんですか?」

「うん。ずっとね。こうなることは予想してたから。いや、わかってたと言ったほうがいいか」

 わかってた、か。すげえや。

「いいんですか?ゲートに戻らなくて」

「言ったじゃないか。君を全力でサポートするよって」

 言ってたな、そんなこと。

「で、どうだい、すっきりした?」

 あ、バカみたいに笑ってたとこ見てたんだ。

「…いつから見てました?」

「やだなぁ、最初からだよ~」

 ニヤニヤしながら言う。

 恥ずかしぃ…。手で顔を覆い隠す。

「動ける?」

 ミサトがそう言う。少しながらは心配してるようだ。

「厳しいっす」

「じゃあ、すぐに冷やそう」




 少し離れたところに湖があった。

 ひざ下を水に浸かって5分。

「どうだい?」

「痛みが引きました」

 驚く程に。普通に走れる。嘘だろ!?

「ここ、回復の湖と呼ばれてね。大体の症状はこの湖に入れば治るんだ」

「へえ、よく見つけましたね」

「まあね。第一発見者私だし」

 ドヤ顔でそう言う。うーむ、この人がドヤ顔されるとすごいのかすごくないのか…。

 くぅ~と、お腹がなった。うう、そういえば、昼飯抜きで動きっぱなしだったな。

 お腹がなったことにミサトがくすくすと笑う。

「なにか食べよっか」

 ミサトが提案する。

「…はい」




 ある建物の地下に降りた。

 ミサトが明かりを付けると、そこは、食料庫だった。

「おお~!!」

「さすがにパンとかおにぎりとかは無理だけど、缶詰は大丈夫。多分ここ缶詰売っていたとこかな。缶詰の量が尋常じゃないね。これじゃ何日かやってけそうだね」

「何日かやってく?」

「うん」




 一方、ゲートをくぐった皆様は…

「おほほほ~!!」

 某所三ツ星高級ホテル

「ねね聞いた?金額負担するって!この2週間分!!」

「しかも上層階に泊まれるのが1番のありがたさよ。夜景が素晴らしいわよ~」

「おお~!!」




 一方

「今夜は君を寝かさないZO☆」

「意味深…」

 PM9:00 夜道探索

「前回もこんな感じだったな~。いや~楽しみ!」

 電気が通っていない大阪。電灯は点いていない。こんな暗さは恐怖感を増す。時々、ゾンビの「ウァ~…」といううめき声が俺を脅かす。それなのにこんなわくわくしているなんて、どうなったらこんな性格になるんだ…?





 朝

「おはようございます。中の人は今どうなっていますか?」

 リーダーが管理人に話しかける。中の人とは、鉄矢とミサトともう一人のこと。

「ん」

 管理人がリーダーにタブレットを渡した。

「…1人死んだか…」

 腕時計はGPS機能も搭載している。また、脈拍も測っており、死ぬ、時計を外すなどすれば測定は0になり、死亡したと発信する仕組みになっている。



「いやあ、気持ちいぃ~」

 回復の湖に2人が浸かる。

「冷水なのが残念でしたけどね」

「贅沢言わない」

 昨晩、徹夜でゾンビを討伐していた。疲労困憊、でも、この泉につかれば、疲れもあっという間に吹き飛んじゃう!同じ効能の入浴剤があれば買い占めたい。 




 DAY1終了時点 死者 4名  残り46人    残り期間 13日

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