テドー
あたしはギールがどんな目にあったのかを知って、トーラ先生の家を飛び出した。
そんな身体でどこにいったのよ。
どうして、兄さんたちはそんな身体のギールを追い出したのよ!
やりきれない悔しさと怒りとともに、街中を走って人々にギールの行方を問う私を、画家のテドーが見つけて呼び止めた。
ギールちゃんをあたしの家に置いている、と彼は告げたわ。
ああ……!
私は、テドーを抱きしめた。
なんていい人なの。ヘンな男だとばかり思っていたあたしを許して、テドー。
テドーに連れられて、あたしは彼の家に行った。
テドーは医者にみせてくれたそう。
しばらく水を飲ませず、様子をみていたそうだけど、今朝尿が出たみたい。
ひとまず安心だとお医者様はおっしゃったそうよ。あとは、傷が腐らないかどうかによるって。
『ギールちゃんは情緒不安定よ、おそらく、ずっとまともに寝ていないもの』
テドーの言葉にあたしは泣きそうになって頷いた。
当たり前よ。
きっと、泣いてるわ。ギール。
酷い目にあって、トール先生の家に帰ったら兄さんたちに拒否されて……。
あんたは一人にされるのを一番怖がっていた子なのに。
どうして、こんな子を兄さんたちは追い出すのよ!
テドーの家に着くなり、あたしはギールがいる部屋へと飛び込んだ。