まじめなやつ
白紙に描かれてゆく
いくつもの詩歌たち
それをかいてるのは
いつも“やつ”だった
まっすぐのびる頭身に
統一された緑のボディ
尖る先っちょ真っ黒く
滑り滑って舞い踊る
人間批判や鬱や悲観
恋愛観や微哲学
それらの全て受け入れて
さらりさらりと書いてゆく
僕からの指示を受けてから
一言半句も間違えない
身を粉にして消されても
一つ文句も言わないで
まじめなやつよ。
どうして君は真面目なんだい?
まじめなやつよ。
出口の先を、見たくはないか?
さあ、書いてみよう。
紙の端にへのへのもへじを。
僕の指示を乗り越えて
大きく羽ばたいてみないかい?
テスト用紙に描かれた
美しすぎるへのへのもへじ
“やつ”が書いたと言ったって
雷収まる気配はない