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フルストーリー

1・・・ドッペルゲンガー

2・・・増殖

3・・・分身

4・・・怨念

5・・・死神の小話


『グロウ・ジェミニ』1


・ドッペルゲンガー


 その女性は悩んでいた。趣味と仕事を両立させっるのが難しいという事に。趣味を仕事にしている訳では無いが、仕事はやる事が多く、趣味に費やす時間が無い。それが悩みであった。彼女は医者をしている。金はある。だがそれを使う暇が無いのだった。

 そんな彼女は盆に帰省した。父親から「想子。ちょっと倉庫の整理を手伝ってくれないか?」と兄と一緒に倉庫の片付けをした。そこで一つの書物が目に留まった。

「双子座の悪魔」

 そう書かれていた。「これは何?」と想子が父親に聞くと「あぁ、それは何かご先祖様?が残してくれた書物だよ。中身は見てないから知らないけど」と答えた。

 倉庫の片付けを終え、想子は「双子座の悪魔」の書物を持ち帰り、自室で読んだ。所々昔の文字過ぎて読みにくかったが、どうやら自分の分身を作る事が出来るらしい。しかも意識を共有出来る上に、食事の量も増えても分散されるらしく、実質一人で複数人に分かれる事が出来るらしい。これは是非やってみようと思った。まぁ眉唾物ではあるが、とも思ったが。

 都会に戻り、早速儀式をする事にした。まず部屋を暗くし、床に一メートル四方の魔法陣を書く。その魔法陣は双子座の星座に則った形にし、周りに古代ギリシャ文字を書く。そして自分の血を一リットル抜き取り、それを小瓶に分けて双子座の星座の星の位置に置き、最後に古代ギリシャ語で呪文を唱える。この時、自分の働いている病院から注射器を一つ拝借し、血は数週間に分けて抜き取った。すると突如、目の前が光に包まれ、魔法陣から同じ顔をした美形の悪魔が二体現れた。

「私達と契約したいのは貴方ですか?」

 双子座の悪魔は声を揃えて言った。

「は、はい……本当に出た……」

「私達と契約すると、どうなるかは分かっていますか?」

「はい……えーっと、確か自分の分身を作れる、とか?」

「それだけじゃありません。副作用があります」

「副作用?それは知りませんでした」

「そうですか。ではお教えしましょう。私達と契約をすると、その通り分身が作れます。同時に副作用で、全員が自分になります」

「……?それが何のデメリットに?」

「一応伝えましたからね?で、どうしますか?契約しますか?」

「はい」

 双子座の悪魔は宙を舞い、想子を挟んで急に発光した。二回目の突然の光にまた目を背けたが、すぐに目の前が元の暗さに戻り、双子座の悪魔は再び魔法陣の中に入った。

「願えばいくらでも分身出来ます」

「試しにやってみても良いですか?」

「どうぞ」

「それじゃあ……えいっ!」

 強く願うと、想子は自分の分身を出現させた。

「ほ、本堂に出来た……!」

「それでは私達はこれで。忘れないで下さい。貴方はもう、一人じゃないって事を……」

 そう言って双子座の悪魔は消滅した。

 想子は自分の分身をマジマジと見た。

「貴方、銭巳想子?」

「そうだよ」

「へー……本物なんだぁ」

「そうだよ」

「じゃあ明日からは貴方が仕事に行って頂戴?」

「えっ?嫌だよ」

「えっ?何で?」

「それは貴方自身が分かってる事でしょ?仕事なんかやりたくないよ」

「えぇ?でも仕事はしないと食べていけないし……」

「だからって私に言わないでよ」

「じゃあ別の分身を出す?」

「仕事好きな自分が出てくるかもね」

「そうだね。じゃあ……えいっ!」

 本体の想子からもう一人想子が現れた。その想子は仕事にやりがいを求めているらしく、二人の想子(以下想子A、想子Bのように書いていく)は趣味に投じる事にした。

 想子Aは自分の趣味の同人誌作り、想子Bは彼氏との時間を作り、想子Cは仕事に集中するようになった。どうやら、願った自分が現れるらしい。これは便利だと思った想子Aは、暫く悠々自適な生活を送っていた。

 これが悪夢の始まりだとも知らずに。


『グロウ・ジェミニ』2


・増殖


 趣味を満喫していた想子A。オタクな趣味に着いて行くには漫画読書、アニメ視聴、ライブ配信鑑賞、映画鑑賞、ゲーム……と忙しかった。そこで想子AはB、Cとは別でD~Hの五人を召喚した。それらと意識を共有して同人誌を描く。

「こんな便利な機能を持つだなんて自分は本当に得をした!」

 そう思っていた。そして想子Bも彼氏との生活をエンジョイしていた。しかし想子Bは一人の彼氏だけでは飽き足らず、週一で違う彼氏を作るようになっていった。その為、想子I~Nの六体を新たに生み出した。

 更に、想子Cも一人で仕事を続けるのに疲れてしまい、想子O~Tまでの六人を新たに生み出し、週一で働く事にした。次第に自分が働く事が馬鹿馬鹿しくなり、想子Uも生み出した。それぞれが各々の生活を送るようになり、想子Aは頭がパンクしていた。

「ちょっと!?何で勝手に増えてるのよ!?」

「だって貰った力は有効活用しないと」

「だからって増やし過ぎよ!ちょっと減らしてよ!」

「え~?私は別に気にしないんだけどなぁ」

 想子Bに続き、C~Uも「私も~」と言っていた。

「大体B!アンタは彼氏を作り過ぎよ!性病でも貰ったらどうするの!?」

「その時はその時でしょ。今は楽しめる時を満喫しないと」

 C~Uも「ね~」と賛同していた。

「違~う!少しは危機感を持ちなさいよ!?」

「だって、これが貴方が望んだ事なんでしょ?」

「……え?」

「私は私だから私の事が分かる。私はこうなる事を望んでた。そうでしょ?」

「……違う違う違う!私はこんな思いをする為に契約したんじゃない!もういい!私は悪魔契約を破棄してくる!」

 憤りを抑えられず、想子Aは部屋を出ていった。自室に戻り、再び双子座の悪魔を召喚した。

「私達と契約したいのは……って、貴方はこの前の?」

「はい。契約を破棄したいのです」

「契約破棄、ですか……別に良いですけど、あまりお勧めしませんよ?」

「どういう事!?」

「増えた分身は元には戻りません。尤も、殺せば自動的に消滅しますがね」

「じゃあそうします!」

「忘れないで下さいね?意識が混合している事を……」

「はい!ではさようなら!」

 想子Aは双子座の悪魔を悪魔界へと帰した。そして包丁を取り出すと、想子Bを殺しに行った。

「何するの!?」

「アンタ達のせいで私の人生は滅茶滅茶よ!ここで消えて!?」

「自分で望んだ癖に!」

「少なくともBとCしか望んでないわ!死ね!私!」

 揉み合いになり、想子Aは想子Bを心臓を一突きして殺害した。瞬間、心臓に激痛が走り、悶え苦しんだ。他のC~Uも同様に苦しんだ。

「何……!?これ……!?」

「意識の混合……!?」

「えぇっ!?じゃ、じゃあ、アンタたち全員を殺すと、その分自分が苦しむ事になるって事!?」

「そうみたい……!」

「でも、もうこんな生活耐えられない!耐えるだけなら出来る!だから、アンタ達を殺す為のVを産むわ!」

 想子C~Uは怯えて逃げ出した。想子Vを想子Aは生み出した。想子Aは想子Vに「私の代わりにアイツらを殺してきて!」と頼み、想子Vは「分かった」と言って町に放たれた。そして次々と分裂した想子達を殺していった。殺す度に地獄の苦しみを味わった想子A。そして最後に想子VとAだけが残った。

「後は……Vだけね……!?」

「いいえ。Aだけだわ」

「は……?」

 想子Vは想子Aを刺した。

「貴方が居なくなれば、私が想子A。いや、本物よ」

 死の間際、想子Aは「これが、意識の混合……!?人を殺すのが、こんなに楽しいだなんて思わなかった……!」と思いながら死んで逝った。

「これで私が本当の想子。世界でただ一人の、唯一の存在……!」

 想子Vは高らかに笑った。


『グロウ・ジェミニ』3


・分身


 悪魔契約を解除せずに自分を殺しまくった想子V。彼女は本当の想子となった。

想子は人を殺す喜びを知り、医療ミスで患者を命の機器に陥れようとしていた。しかし微かに残っていた想子達の念が入り、それはせずにいた。

「これからは、私による私の為の私が出来る事をする!」

 そう決意し、日常生活を送る事にした。しかしそこで大きな問題が発生した。彼氏だ。彼氏を多く作り過ぎた。彼らを振る作業をこれからしなくてはならない。想子は日程を細かく決め、一人に絞ろうとした。どころが死んだ筈の想子達の念が残っており、それぞれの彼氏にそれなりの愛情が芽生えてしまっていた。

「誰か一人を選ぶ事は出来ない」

 そう思っていると、デート中に彼氏達とブッキングしてしまった。注意不足だった。仕事と趣味を並行しつつ、彼氏達を毎日相手するのに追われてしまい、キャパシティがオーバーしてしまっていた。彼氏達に問い詰められ、想子は全員から振られてしまった。罵詈雑言を浴びせられ、もう立ち直る事が出来ない程に滅多打ちにされてしまった。仕事を休みがちになり、想子は新たな想子を生み出した。想子2だ。想子2は仕事を代わりにする事で、暮らしを整えていた。

 そんなある日、想子2は想子1に相談した。

「ねぇ。ちょっと良い?」

「何よ?」

「私も趣味を楽しみたいんだけど……駄目?」

「あー、良いんじゃない?やれば?」

「ありがとう」

 それから想子2は趣味に没頭した。仕事は想子3を生んで彼女に任せる事にした。

 そして数ヶ月が経った頃、想子1は自殺した。他の想子達が充実な生活を送っているのが感じられてはいたが、それが逆に自分を苦しめていたのだった。窒息の苦しみに耐えていると、想子2は想子3に相談した。

「ねぇ……!?私達……間違ってたのかな……!?」

「分からない……!でも、かつてのコピー達と本体の邪念が私達を追い込んでいるのは確かだと思う……!」

「どうするの……!?どうしたら良いの……!?」

「元に戻るしかないと思う……!双子座の悪魔ともう一度話をしよう……!」

「分かった……!」

 苦しみが終わった後、二人は双子座の悪魔を三度召喚した。

「私達と契約したいのは……何だ。また貴方ですか」

「悪魔の呪いを解いてほしいんです」

「呪い、ねぇ……?」

 ジロリと睨んだ双子座の悪魔に、想子2、3は顔を強張らせた。「そうだ。仮にもこの方は悪魔なんだ……!」と認識させられたのだった。

「自分から選んだ願いなのに、呪いとは酷い言い癖ですね」

「す、すみません!でも、この契約を結んだのはオリジナルの方ですし……!」

「あら?貴方達は自分の事をオリジナルだと思ってないんですか?」

「えっ……?」

「てっきり自分が唯一の貴方になりたいのだと思ってましたが……どうも予想が外れてしまったみたいですね」

「……私は、いや、私達は元々一人です。次の殺害で、最後にします」

「そうですか……では悪魔契約を解除しましょう」

「ありがとうございます!」

「但し、先に一人になってもらいます」

「……分かりました」

 想子2、3は話し合った。どちらが死ぬべきか。すると趣味で時間を潰すだけの想子2より、仕事を全うする想子3が生き残る事に決まった。想子2の最期はビルの屋上から飛び降りた。その衝撃に耐えつつも、想子3は双子座の悪魔に契約破棄を願った。

「そこまでするなら良いでしょう。契約破棄を認めます」

「あ……!あり、がとう……!ございます……!」

「ただ覚えておいて下さい?貴方は過去の自分から逃れられないのです。自分と言う怨霊を背負って生きていって下さい」

「……?は、はい……!」

 双子座の悪魔は契約時のように宙を舞い、想子3を挟んで光を放った。すると光が収まる頃にはもう増殖は出来ないと本能的に分かった。

「どうですか?分裂できますか?」

「あ、え、えっと……えいっ!……で、出ないです!」

「それは良かった。では私達はこれで」

 双木座の悪魔は消滅した。

 その日を皮切りに、想子は悪夢を見るようになった。過去の想子達が怨念のように迫ってくる夢だった。

 安眠出来ない事で自分の勤めている病院の心療内科に通うようになり、安眠剤を処方してもらうようになった。しかし症状は改善せず、遂に入院になった。


『グロウ・ジェミニ』4


4.怨念


 悪夢を見るようになって早一ヶ月。入院が決まり、家族に連絡を取って荷物を纏めてもらうようにお願いした。

 悪夢はそれぞれで、過去の想子から「何故殺したの?」「私は楽したかっただけなのに」「この裏切者」と罵詈雑言を浴びせられるもので、本当に苦痛でしかなかった。

 そんなある日、担当医の先生に問診してもらった。

「銭巳先生。お加減は如何ですか?」

「…………」

「銭巳先生?」

「……あ、何でしたっけ?」

「大分重症ですね……あ、もしかしたら……?」

 担当医の先生はとあるチェックをした。軽い応答の末「やはり……」と呟いた。

「何ですか?」

「銭巳先生。貴方は解離性同一症です」

「解離性……?あ、多重人格って事ですか?」

「そうです。おそらく多重人格で、夜の睡眠を別の人格が邪魔している者と思われます」

「……違うと思います」

「え?」

「彼女達は、私なんです……!私は、彼女たちなんです……!」

「ほら、そういうところですよ」

「えっ……?」

「自分は彼女達、彼女達は自分。そういう傾向があるんですよ。多重人格者には」

「で、でもこれは事実でして……!」

「もう少し休みましょう。それで経過観察させて下さい」

「……はい」

 その日の夜、想子はいつものように眠るのが怖くて震えていた。しかし睡魔には勝てず、眠った。

 そこでまた夢を見た。今度は穏やかな風景が広がる空間で、そこに想子A~U、1,2がいた。

「やっとこっちを見てくれたね」

「あ、貴方達は……私……?」

「いつも捻くれた解釈をするもんだから疲れたわぁ~」

「私が私自身に悪夢を見せる訳無いじゃないの」

「じゃ、じゃあどうして夢に出てきてたの……?」

「何。普通にアンタを、つまり私を心配してたのよ」

「心配……?」

「そう」

 死んだ想子達は語り出した。いつも夢に出てきていたのは、あの世でも自分達が存在しており、それぞれがそれぞれの人生を歩んでいると。そして自分が、自分達がしてきた悪行を分身が一人抱えている姿をあの世から見ていていたたまれなくなったと言う。

「じゃあ何であんな怨念めいた事を言ってきたの……?」

「だーかーらー、アンタの思い過ごしなんだって。本当は『殺したからって自分を責めるな』」

「『裏切り者だなんて思ってない』」

「『楽をしたかったのは本音だけど、アンタは違う』って言いたかったの!」

「そ、そうなんだ……」

「だからもう悩まなくて良いんだよ」

「アンタはアンタの人生を楽しみなさい」

「んじゃ、私達はもうアンタの夢には出ないから」

「じゃあね」

 そう言って想子達は消滅した。同時に涙を流しながら想子は目を覚ました。

「そうか……全部、私だったんだ……全部、全部が私だったんだ……そりゃあ性格が違う私が居てもおかしくないよね……?」

 その後、無事退院した想子は仕事に復帰した。そして今度こそ真っ当に恋愛をして、真っ当に子を授かり、天寿を全うした。


『グロウ・ジェミニ』5


5.死神の小話


 天寿を全うした想子は目を覚ました。そこは暗い場所で、辺りには何も無く、先も見えない。だが地面はあるという不思議な場所だった。ボーッとする頭を抑えながら立ち上がると、自分にスポットライトが当たるように光が差し込んだ。そして向こう側にもスポットライトが差し込み、そこには大きな鎌を持ち、黒いフードを被った少年が立っていた。

「やぁ、君を迎えに来たよ」

「貴方は……?」

「死神さ」

「死神?」

「そう、死神」

 波江はゆっくりと立ち上がり、深呼吸した。

「悪魔がいたんですもんね。死神くらいいますよね」

「理解が早くて助かるよ」

「私は悪魔と契約した事があります。数々の罪を重ねてきました。私が行くのは地獄ですか?」

「いいや。地獄じゃない」

「じゃあ天国?まさかね」

「天国でもないね」

「じゃあどこに?」

「それは逝ってからのお楽しみ。まぁ詰まる所、天国も地獄もあの世では一緒なんだよ」

「ふぅん……?」

「さて、と……ちょっと困った事になっててね……」

「困った事?」

「あぁ、いや、こっちの都合なんだけどね……ここからは僕の仕事をさせてもらいたいんだけど……」

「仕事?」

「そう。仕事。ここでは君の願いを一つだけ叶えてあげる事が出来る」

「願いを、叶える……?」

「そう。生き返らせてくれ、なんてものは無理だけど、可能な範囲でなら何でも叶えてあげる……予定だったんだけど……」

「だったんだけど?何ですか?」

「君はもう既に願いを叶えちゃってるんだよね……」

「……あぁ、先に死んで逝った私達の願いを叶えたって事ですか?」

「そう。そうなんだよ……話が早くて助かるんだけど……業務的にこれは叶えるべきかどうかをまだ上層部で審議中でね……」

「そうなんですか……何かすみません」

「いや、これは双子座の悪魔様のせいでもあるんだ……全く、罪なお方だよ……」

 しばし沈黙が流れた。すると死神の鎌がバイブレーションのように震えた。死神は鎌を一振りすると、小さな光の球を出現させた。

「何ですか?それ」

「電話」

 死神はボソボソと何かを話し、やがて「畏まりました」と言って鎌を一振りして光の球を消した。

「一応、願いは叶えてあげられるみたい」

「そうですか……どうしようかな……」

「あ、申し訳ないんだけど、かなり制限があるからね?」

「どういう……?」

「こう、現世の様子を見たいとか、過去の自分達に会いたい、とかしか出来ないんだ」

「そうですか。じゃあ私達に会わせて下さい」

「分かった」

 死神は鎌を一振りすると、光の階段と光の扉を出現させた。光の扉から想子達が現れた。

「やっとアンタと出会えたわね」

「皆……!」

「お疲れ様」

「ごめんねぇ。私達の我が儘で」

「良いの……!全部含めて私だったから……!」

 想子達は「ありがとう」と今死んだばかりの想子を慰めた。

 死神は「コホン」と咳ばらいをした。

「えーっと、そろそろ良いかな?」

「あ、はい。色々ありがとうございました」

「いえいえ。寧ろこれくらいしか出来ずに申し訳ない」

 死神は「パンッ」と手を叩くと、鎌で光の扉を差した。

「さぁ、君達の願いは叶えた。あの世に逝ってもらうよ」

「はい。じゃあ逝きましょうか」

 想子達は「うん」と頷き、光の階段を上っていき、光の扉をくぐって消滅した。

「……強制的に多重人格者にさせちゃうのは、双子座の悪魔様の悪い能力だよなぁ……」

 死神は鎌を一振りし、その場から消えた。


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