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第5話 魔王、降臨。「βテスト開始!」


「ぐあああ! そのレイドボスは神装備ドロップするんだよ! 何やってんだ、ヘタクソどもがぁ!」


姫川麗奈は、ヘッドセットに向かって絶叫した。

ネトゲ『ファンタジー・オンライン』のレイドに失敗し、全身から怒りのオーラを放っている。


その瞬間、部屋が光に包まれた。


次に麗奈が目を開けると、目の前にはスーツを着た羊の頭の紳士ベルフェゴールがいた。

麗奈は瞳を輝かせた。


「うわ、グラフィックすげぇリアル。毛並みとかテクスチャの解像度やば! さすがフルダイブ型MMORPGのβテスト! この羊男とか、最高に凝ってるじゃん!」


ベルフェゴールは、麗奈のあまりの呑み込みの速さに面食らった。


「ええと、姫川麗奈殿。貴女にはこの世界の魔王として――」

「え、魔王役とか超激レアじゃん! メインクエスト決定でしょ! てか、まさか、あんたが『課金アイテム担当NPC』? それとも『ギルドマスター役』?」


麗奈はベルフェゴールのスーツの袖を掴み、目を輝かせた。


「ねぇ、初期チートスキルは? 早く教えてよ! あと、魔王城ってどこ? 拠点設定して、ギルドメンバー集めないと!」


ベルフェゴールは、プロファイル通りのネット弁慶な口調にたじろぎつつも、深々とため息をついた。


「わ、わが輩は悪魔ベルフェゴール。貴女にこの魔王城を提供し、世界征服、もとい、βテストのサポートを致します」


麗奈は満足げに頷いた。


「よし! じゃあ、この城がギルドの拠点ね! 早速、スキルチェック!」


◆ ◆ ◆


麗奈は、手を前に突き出した。

もちろん、彼女は魔法など使えるはずがない。


「とりあえず、ネトゲで一番強かった技名で試すか。システムが勝手に『最強魔法』に変換してくれるんでしょ?」


そして、麗奈は、厨二病全開で叫んだ。


「くらえ、ギャラクティック・ノヴァ・エクスプロード!」


その瞬間。

麗奈の脳内に、女神アスタルトの全リソースを吸い尽くすような激しいイメージが流れ込んだ。


彼女の周囲の空間が歪み、銀河が爆発する幻影が広がる。


『――銀河コスモが、泣いた』


麗奈の背後で、まるでアニメのナレーションのような壮大な声が響く。


次の瞬間、目の前にあった巨大な岩壁が、跡形もなく消し飛んだ。

麗奈は目を丸くした。


「うわ、エフェクトやば。リアルすぎ。これ絶対人気出るわ!」


ベルフェゴールは、その場に崩れ落ちた。


(なんという威力! 神の術者が使う高位魔法が、この娘の『カッコいい技名』に感化されて暴発しておる! アスタルト様、貴女は一体どんな仕様で世界を作ったのですか!)


麗奈は、己の力の恐ろしさに微塵も気づかず、

「よし、この魔法は『聖闘士スタイル』って名付けよ!」と楽しそうだ。


◆ ◆ ◆


麗奈は、魔王城ベルフェゴールのオフィスを飛び出し、早速「テストプレイ」を開始した。


「まずは、この世界の初心者狩りスポットにいるボスでも倒すか!」


麗奈は勢いで近くの教会を襲撃した。

教会の建物は、麗奈の『無自覚の聖闘士スタイル魔法』の余波を受け、半壊する。


その教会の片隅で祈りを捧げていた、一人の美少年神官がいた。

女性と見紛うほどの美しい顔立ちを持つ彼は、突然の衝撃と、麗奈の放った「銀河が泣いた」レベルの力に、完全に魅了された。


「あ、ああっ……! この力こそ、真の神の御業みわざ! まさか、この世にこれほどの深遠なる秘術を操る方がいらっしゃったとは!」


神官は麗奈にひれ伏した。


「魔王様の御力に、心酔いたします! どうか、わたくしを配下に!」


麗奈は、美少年神官を見て目を細めた。


「お、サブキャラゲット! 可愛い系の美人女性NPCじゃん! ステータス高そう! いいよ、加入させたる!」

「ありがとうございます、魔王様!」


神官は歓喜したが、麗奈は、

「でも、可愛いけど女には興味ないからな~」

とぞんざいに扱い、神官の麗奈への求愛は、早くも報われない片思いの様相を呈し始めた。

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