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シャッターの向こう側  作者: 双鶴


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第4話 『名探偵ミナトくん(第1巻)』

【SNS投稿】


今日の一冊:『名探偵ミナトくん(第1巻)』


小学生のミナトくんが、町の小さな“謎”を解いていく推理漫画。

子ども向けだけれど、トリックは意外と本格的で、

大人が読んでも「なるほど」と唸らされる。


特に第1巻の“消えたランドセル事件”は、

伏線の張り方が見事で、初心者にもおすすめ。


推理の入口として、最初の一冊にどうぞ。


#DelusionAndDeduction #推理漫画 #ミナトくん



【コメント欄】


@parent_reader

「うちの子もこれ好きです。続きありますか?」


@comic_collector

「この作者、昔は青年誌で描いてましたよ。」


@shadow_reader

「子どもの推理は、時に大人より残酷だ。」


@anonymous_13

「“ランドセル事件”、現実にも似た話がありますね。」



【妄想(Delusion)】


“現実にも似た話がありますね。”


その一行が、今日の店内の静けさに妙な影を落とした。


ランドセルが消える。

子どもは嘘をつく。

大人は真実を隠す。


漫画の中では、ミナトくんが鮮やかに真相を暴く。

でも、現実の“似た話”は、きっともっと複雑で、もっと痛い。


もし、このコメントの主が――

その“似た話”の当事者だったとしたら。


拓哉はノートを開き、書き始めた。


「子どもの証言は、真相に最も近く、最も遠い――」


文字が、店内の薄暗さに溶けていくようだった。



【日記(Deduction)】


今日は客が一人だけだった。

売れたのは、ミナトくんの第1巻が一冊。


推理漫画は手に取ってもらいやすいけれど、

単価が安いぶん、売上はどうしても伸びない。


レジを閉めながら、ふと頭をよぎった。


――ちょっと経営ヤバいかも。


棚に並べた写真集も、科学本も、映画原作も、

まるで“まだ証言台に立てない証拠品”のように沈黙している。


それでも、SNSのコメント欄は今日も賑やかだった。

現実の店は静かで、SNSの中だけが騒がしい。

そのねじれが、少しだけ胸に刺さる。


でも、ミナトくんを買ってくれたあの親子の笑顔を思い出すと、

もう少しだけ続けてみようと思えた。


Delusion and Deduction。

妄想と演繹。

今日もその二つの間で揺れながら、シャッターを下ろした。


――売上は770円。数字は残酷だ。でも、物語はまだ続く。


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