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魔王誕生  作者: レンロズ


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9/27

特待生

先週は冬の童話祭2026用に短編を書いてみたのでこっちの更新はお休みでした

「あ、()きた?」

「おはよう。よい(あさ)だな」

晴天(せいてん)よ。でも、これから(あつ)くなっていくんでしょうね」


挨拶(あいさつ)()ませると、(みず)食料(しょくりょう)(さが)しに(まち)()()した。

(さが)すと(ほとん)どの(いえ)雨水(うすい)タンクが()いているものの、(おお)くは風化(ふうか)し、役目(やくめ)()えている。

無事(ぶじ)なものから()ってきた(びん)水筒(すいとう)(うつ)()える。


()()残念(ざんねん)ながらボロボロになってしまっており、()竿(ざお)はポキッと、リールは(まわ)らず、(いと)簡単(かんたん)()れてしまう。

()(ばり)だけは(かろ)うじて(かたち)(たも)っており、防錆(ぼうせい)(ため)密閉(みっぺい)容器(ようき)()れられていた十数本(じゅうすうほん)使(つか)えるだろう。

一応(いちおう)、リールも(かばん)()れ、(いと)()わりとなるものを物色(ぶっしょく)する。

バレるかわからないけど、そう()ってアティマは電線(でんせん)から()()した銅線(どうせん)()()して、(はり)()()ける。

()ってきた小型船(こがたせん)()()み、(しま)外周(がいしゅう)(まわ)る。

人工物(じんこうぶつ)があるのは一部(いちぶ)のみで、自然(しぜん)(あふ)れている。

()()んだ海岸線(かいがんせん)で、砂浜(すなはま)点在(てんざい)するが(おお)くは岩場(いわば)になっている。

(ふく)から()ってきたボタンを()けただけの()(ばり)()らせば警戒心(けいかいしん)(うす)れた(さかな)たちが簡単(かんたん)()いつく。

そのまま(かじ)()こうとしたが、()ったがかかり、寄生虫(きせいちゅう)がいるかもしれないから()(とお)さないといけないらしい。

(ふね)少々(しょうしょう)(おく)浜辺(はまべ)(かく)すと、()(えだ)()っぱを(あつ)め、もって()ていたレンズで()()こす。


「そんなのいつの()()って()てたんだ?」

「アスラが(あさ)(なか)()いてそうだったからね。()ぐに()べたいんじゃないかと(おも)って、カメラから拝借(はいしゃく)してきたの」

「わかりやすかった?(かく)してたつもりなんだけど」

「お(なか)()さえて(かな)しそうにしてるんだもん。面白(おもしろ)くて。でも、(つぎ)からはちゃんと()ってね。(かく)さなくていいから」

()ずかしいんだけど、(つぎ)からはお(なか)()(ひま)もないように食料(しょくりょう)確保(かくほ)しような」


(はじ)めて自分(じぶん)()()()れた(さかな)は、()()いただけにも(かか)わらず、これまでのどんな料理(りょうり)よりもおいしかった。

ゆっくりと海岸線(かいがんせん)沿()いを(ある)き、拠点(きょてん)(かえ)る。

(もり)(まぎ)れているが、トマトやパパイヤなどの農作物(のうさくもつ)(みの)っていたり、ヤギやブタの姿(すがた)()ることが出来(でき)た。

(おお)くの(いえ)には腐食(ふしょく)()はあるが(かみ)(ほん)保管(ほかん)されており、(とく)(あお)屋根(やね)(おお)きな建物(たてもの)とその(ちか)くの学校(がっこう)には大量(たいりょう)(のこ)されていた。

(ほん)によれば、四百年(よんひゃくねん)程前(ほどまえ)にはこの(しま)でも戦争(せんそう)があったらしく、その(とき)()られた洞窟(どうくつ)(のこ)されているらしい。

そちらに拠点(きょてん)(うつ)すことも(はな)()いながら拠点(きょてん)へと(かえ)る。


今日(きょう)収穫(しゅうかく)(おお)かったわね」

(さかな)しか()ってないけど(おお)いのか?」

情報(じょうほう)収穫(しゅうかく)よ。(あと)今日(きょう)(さかな)内臓(ないぞう)()けてたけど、これからは(のこ)さず()べてね」

「えっ、(にが)いからあんまり()べたくないんだけど。それに内臓(ないぞう)()べるなんて食中毒(しょくちゅうどく)とかのリスクがあるんじゃないか」

十分(じゅうぶん)加熱(かねつ)すれば問題(もんだい)ないわよ。本当(ほんとう)問題(もんだい)なのはタンパク(しつ)()れないこと。()えたヤギとか(とり)()るか、(とり)(たまご)()れれば解決(かいけつ)するんだけど、それまでは(さかな)(きも)から補給(ほきゅう)しないといけないわ」

「よし、ヤギを()ろう。もしくは(とり)明日(あした)(わな)(つく)って()きに()こうぜ」

「それは()いけど、闇雲(やみくも)()いても()からないわよ。(わたし)感覚(かんかく)でも()らない足音(あしおと)(さが)しても無駄(むだ)でしょうし、飼育(しいく)小屋(ごや)があったから(にわとり)()つかれば(らく)なんでしょうけど」

(しばら)くはあの(にが)いのを()べないといけないのか」


(てん)(あお)いでもひびの(はい)った天井(てんじょう)()えるだけである。


拠点(きょてん)勿論(もちろん)(つく)らないといけないんだけど、(ふく)必要(ひつよう)よ。最初(さいしょ)(のこ)っている防火布(ぼうかふ)羽織(はお)るか(あな)をあけて(かぶ)ることになるけど、そのうち()から(ふく)(つく)りましょ」

()からどうやって(つく)るんだ?それに下着(したぎ)はどうする?」

下着(したぎ)(いま)()てる一着(いっちゃく)肌触(はだざわ)りが(わる)くなるけど樹皮製(じゅひせい)ね。だから、あんまり()ないと(おも)うわ。(うれ)しいでしょ?()からはオオハマボウとかから内皮(ないひ)()って、()て、(たた)いて、乾燥(かんそう)させるの。それ(よう)炭酸(たんさん)ナトリウムも()って()たでしょ」

「あの(くず)れた紙箱(かみばこ)一体(いったい)になってた(やつ)か。オオハマボウってなに?マンボウみたいな?」

「マンボウは(さかな)でしょ。オオハマボウは(みち)途中(とちゅう)にあったオクラの(はな)みたいな(はな)()けてた()よ。(おお)きな(はま)(ほお)()がオオハマボウね。(ほお)()とは()から(ちが)うんだけど」


流石(さすが)知識量(ちしきりょう)だと()めれば、正気(しょうき)(うたが)うような(かお)()れに()わる。

(あや)ういところだった。

アティマに()いて()かれると、サバイバル生活(せいかつ)(つづ)かないぞ。

多分(たぶん)一日目(いちにちめ)最上階(さいじょうかい)(おお)きな部屋(へや)(えら)んで、崩壊(ほうかい)させて落下死(らっかし)している未来(みらい)()える。


「この程度(ていど)じゃ、()てないわよ」


(こころ)()まれた?


()んだのは(かお)ね。アスラは最初(さいしょ)(ころ)からわかりやすいわよ。(とく)に、(あわ)ててるときは」

「いつから()んでるんだよ」

()きたい?」

「やっぱいいです」


アティマの()みにはどこか(すご)みがあり、されると(よわ)い。

ムムムと(うな)ると、()()られソファーに()かされる。


今日(きょう)一緒(いっしょ)()ましょ。もう(くら)くなってきていることだし」

「そういえば昨日(きのう)、アティマはどこで()たの?」

()てないわよ、危険(きけん)生物(せいぶつ)()たりすると大変(たいへん)だからずっと()きていたわ。心配(しんぱい)はしないで、(つの)(そだ)ってから(ねむ)くないの」

()れるのか?」

「ここなら、アスラ以外(いがい)(ひと)気配(けはい)がないもの」


ソファーに寝転(ねころ)んでいると()ぐに(となり)から寝息(ねいき)()こえてくる。

つられるように眠気(ねむけ)(ぼく)(つつ)み、感覚(かんかく)すらも()えた(ふか)(くら)世界(せかい)(さそ)われる。


意識(いしき)(もど)り、(とり)のさえずりが(みみ)(ひび)く。

()()けると、アティマと()()(おどろ)くが、何事(なにごと)もなかったように()()がる。


(いま)(おどろ)いたでしょ」

(おどろ)くに()まってるだろ」


(あさ)挨拶(あいさつ)()ませ、生活(せいかつ)(おく)る。

適当(てきとう)蔓性植物(つるせいしょくぶつ)使(つか)って(わな)()り、(さかな)()る。

(ふね)(おの)使(つか)って、()()(たお)し、乾燥(かんそう)させる。

無事(ぶじ)建物(たてもの)(なか)()れ、()燻製(くんせい)(おこな)えば()ぐに乾燥(かんそう)していった。

()(かた)にもコツがあるのか(こま)かく指示(しじ)され、(けむり)()()かないように細工(さいく)したときは足場(あしば)(すこ)(くず)れてヒヤッとさせられた。

地面(じめん)(あな)()って、()()()んで()やし、(すみ)(つく)る。

(くず)れたコンクリートを()み、粘土質(ねんどしつ)(つち)内側(うちがわ)()()む。

()びた鉄製品(てつせいひん)赤色化(せきしょくか)させ、ノミなども(つく)ってしまう。

(ぬの)羽織(はお)っただけの姿(すがた)にドキッとさせられたのは1か(げつ)ほどの(はなし)で、(いま)樹皮(じゅひ)から丈夫(じょうぶ)(ふく)()んで()ている。

網目(あみめ)がそれなりに(おお)きいから所々(ところどころ)肌色(はだいろ)()えて心臓(しんぞう)(わる)いのは相変(あいか)わらずだ。

ヤギも()れたし、(にわとり)確保(かくほ)できた。

ヤギの(つの)空洞(くうどう)でアティマの(つの)(かぶ)せると、禍々(まがまが)しさが()して大笑(おおわら)いして(おこ)られた。

(にわとり)には毎日(まいにち)つつかれながら(たまご)(もら)っている。

これからは雄鶏(おんどり)(つか)まえて、繁殖(はんしょく)目指(めざ)すつもりでいる。

(まち)から(はな)れた場所(ばしょ)(いえ)(つく)った。

自家製(じかせい)道具(どうぐ)使用(しよう)した新築(しんちく)一戸建(いっこだ)地下室付(ちかしつつ)きだ。

(おお)きくはなく、不自由(ふじゆう)(てん)(おお)い。(とく)最近(さいきん)(あつ)い。

それでも、勉強島(べんきょうじま)()(ころ)より充実(じゅうじつ)した、(たの)しい生活(せいかつ)(おく)っている。


「これどう?(あたら)しく(つく)ったの」

「スカートは可愛(かわい)いんだけど、(した)()いてないんだから何時(いつ)ものズボンにしとこ」

「えー、視線(しせん)釘付(くぎづ)けなのに」

今日(きょう)洞穴(どうけつ)だっけ?(いや)(かん)じがした場所(ばしょ)()くんだろ。ズボンの(ほう)安全(あんぜん)だろ」

「ちゃんとニーソも()んだから安全性(あんぜんせい)はそこそこ(たか)いよ?」

「じゃあ下着(したぎ)()けてくれ」

(うえ)()けてるわよ、下側(したがわ)だけだけど」


(あきら)めて出発(しゅっぱつ)する。

洞穴(どうけつ)(たし)かに不気味(ぶきみ)(ねば)りつくような冷気(れいき)()いている。

簡単(かんたん)なマスクをしてきているが、()いたい空気(くうき)ではない。

ヤギの(あぶら)()()ませた松明(たいまつ)()()けて(なか)(はい)る。

武器(ぶき)には(おの)(たけ)(するど)()ったものを()ってきた。

(なか)(はい)ると壁際(かべぎわ)(うす)っすらと(あか)るく、(ちか)くによれば(こけ)(ひか)っていることが()かる。

この洞穴(どうけつ)(そと)(あな)より、(ひろ)(おく)まで(つづ)いている。


「おかしいわね」

「もう(なに)()つけたのか?」

「アスラも()てるじゃない。その(こけ)よ。(こけ)(なか)には月光(げっこう)などを反射(はんしゃ)することで発光(はっこう)しているように()せる種類(しゅるい)はいるけど、本当(ほんとう)発光(はっこう)している(こけ)はいなかった(はず)よ。それに、そういう(こけ)(つよ)すぎる(ひかり)()てるとただの(みどり)(こけ)()えるのよ」

「じゃあ、この青白(あおじろ)(ひか)っている(こけ)新種(しんしゅ)?」

常識的(じょうしきてき)(かんが)えれば、発光(はっこう)する(きん)細菌(さいきん)共生(きょうせい)しているのが(もっと)もあり()(はなし)だけど。(こけ)から(わたし)(つの)から()るものと同種(どうしゅ)違和感(いわかん)(かん)じるのよ」

(こけ)にも(つの)()えているって(こと)か。アティマだけに()こった(こと)ではなく、(ひと)だけですらなく、植物(しょくぶつ)にすら影響(えいきょう)(あた)えているのか」


(こけ)(かお)(ちか)づけて(つの)()ようと頑張(がんば)るが、流石(さすが)()えない。

ちょくちょくぴょんと()()ているが、(こけ)元々(もともと)そんなもんだし。


不用意(ふようい)(ちか)づかないで。(なに)()っているか()からないわ」

(つの)(うつ)される(ぶん)には大歓迎(だいかんげい)なんだけど」

(つの)(うつ)るのなら、とっくに(わたし)から(うつ)っているわよ。それよりもここから()ましょ。野生動物(やせいどうぶつ)程度(ていど)なら(なん)とかなると(おも)っていたけど、そんな範疇(はんちゅう)には(おさ)まらないかもしれないわ。(わたし)感覚(かんかく)違和感(いわかん)(はば)まれて常人(じょうじん)程度(ていど)()ちているから」


さっきから(ふく)(すそ)(つか)んでいたのはそういう理由(りゆう)かと()づく。

まだ、十数歩(じゅうすうほ)(はい)っただけの洞穴探索(どうけつたんさく)(あと)(がみ)()かれながら、仕方(しかた)ないなと()(かえ)す。

洞穴(どうけつ)()ると、暗明(あんめい)()でやけに太陽(たいよう)(まぶ)しく(うつ)る。


「やられたわ。(わたし)たちが(はい)っている(あいだ)(だれ)()たみたい」

本島(ほんとう)からの追手(おって)か?」

(ふね)軍用(ぐんよう)ぽいけど、()ってるのは二人(ふたり)みたい。()える範囲(はんい)()くわよ」

()つからないようにしないとな」

手遅(ておく)れね。その二人(ふたり)からも(つの)同種(どうしゅ)違和感(いわかん)(かん)じるわ。あっちも()づいているでしょうね」

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