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魔王誕生  作者: レンロズ


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生命の誕生

「プロペラ()だけど、(いま)のままじゃ()いつけないし、機銃(きじゅう)もなんか(つよ)い」

「まあ。()ってるけど、アスラたちでも駄目(だめ)だったか」

一応爆弾部分いちおうばくだんぶぶん(こわ)したら(かえ)っていったけど」

「こっちを(ねら)うために速度(そくど)()としてくれたから(たす)かったけど、ずっと()ばれてたら()けてるだろうな」


(かえ)ると()ぐにレオへ相談(そうだん)()く。

レオは()っていましたとばかりに(くつ)()()してくる。


()ってくるだろうなと(おも)ってナオと(つく)って()いた。構造(こうぞう)としては靴底(くつぞこ)鉄板(てっぱん)()()けただけなんだが、魔力(まりょく)(なが)せば(くつ)上方向(うえほうこう)速度(そくど)()られる。(さら)にこれ。このヘルメットを(かぶ)れば全体(ぜんたい)空気(くうき)(うず)(つく)って空気抵抗(くうきていこう)()らして(むし)()()げてくれる」


(つづ)いて無骨(ぶこつ)四角(しかく)(はこ)()えるヘルメットが()()される。


「よし、これはナターシャに」

「うぎゃ、(つめ)た」


()()ったヘルメットをそのまま(かぶ)せる。


(ぼく)がこれ以上魔力消費増いじょうまりょくしょうひふえても使(つか)えなくなるからな」

「なら(わたし)がそっちで()びたい」

「ナターシャには()ってもらう仕事(しごと)もあるからな」

役割分担(やくわりぶんたん)二人(ふたり)()めて(もら)えば()いけど、それらを全部使(ぜんぶつか)ったら計算上(けいさんじょう)時速(じそく)1000㎞()える(はず)だぞ。魔法(まほう)上手(うま)いアスラが速度(そくど)微調整(びちょうせい)をした(ほう)()さそうであるとは()っておく」

「ほらな」


口籠(くちごも)るナターシャを()いてアティマの(もと)(もど)る。

(つぎ)()敵機(てっき)はやって()る。

(あま)りに(はや)すぎる速度(そくど)()(まわ)され(ねら)いも(ろく)()けられない。

呼吸(こきゅう)もほぼ出来(でき)ずに地面(じめん)激突(げきとつ)するかとも(おも)ったが偶然近(ぐうぜんちか)づけた(とき)()げた(いし)ころが(つばさ)()たったのを()けて(もど)(はじ)める。

魔力(まりょく)()きかけていて追撃(ついげき)出来(でき)なかったが、(かえ)ってみると(ほか)場所(ばしょ)でも(あらわ)れていたらしい。

どこも(なん)とか撃退(げきたい)したようだが怪我(けが)をしている(もの)()える。

でも、()たれた(きず)というよりは()(きず)打撲(だぼく)(おお)いのは()のせいじゃないだろう。

(つぎ)()はもっと(らく)()てた。

最初(さいしょ)から()いつき(うしろ)()るなら、(じゅう)十分(じゅうぶん)だった。

弾薬(だんやく)余裕(よゆう)()いことを(のぞ)けば(じゅう)はやっぱり(つよ)い。

その(つぎ)()相手(あいて)爆弾(ばくだん)()ってこなかった。

こちらは魔力切(まりょくぎ)れで速度(そくど)()せなくなり、攻撃(こうげき)決定打(けっていだ)とならない。

相手(あいて)機銃(きじゅう)()()くし、(にら)()時間(じかん)(つづ)く。

実際(じっさい)には相手(あいて)(かお)なんて()えないし()かい()うことも(すく)ないんだが。

(おそ)らく燃料切(ねんりょうぎ)れで相手(あいて)(かえ)って()くのを見送(みおく)る。

(さら)(つぎ)()(てき)()えていた。

一機(いっき)ずつ()んで()(すこ)()っては速度(そくど)()して(はな)してくる。

それを()(まわ)せばこちらの魔力(まりょく)だけが消費(しょうひ)されてまともに()()えない。

最初(さいしょ)一機(いっき)はそれで()かったが()()わるように()二機目(にきめ)には()(まわ)るのが精一杯(せいいっぱい)で、三機目(さんきめ)応援(おうえん)()んで命辛々(いのちからがら)撤退(てったい)する。

固定(こてい)()らして遊撃(ゆうげき)()やせば一直線(いっちょくせん)本部(ほんぶ)(ねら)機体(きたい)(あらわ)れたりと後手後手(ごてごて)になってしまう。


流石(さすが)(つよ)いな」

「レオでも()めないのか?」

(いま)までが、魔力(まりょく)なんていう未知物質(みちぶっしつ)使(つか)った奇襲(きしゅう)()()けていたから(なん)とかなってたけど、()められている(いま)だとな。戦争(せんそう)歴史(れきし)()()こうの(ほう)がどうしても(つよ)くなるな」

「それならこちらから()めるわけには()かないの?」

「こちらの最大戦力(さいだいせんりょく)休息中(きゅうそくちゅう)だし、あの機体(きたい)色々(いろいろ)場所(ばしょ)(つく)られているようだからな。襲撃(しゅうげき)する場所(ばしょ)(しぼ)れないのも理由(りゆう)(ひと)つだよ」

「じゃあ、本部(ほんぶ)直接狙(ちょくせつねら)われるのは(なに)でなんだ?感知能力(かんちのうりょく)(たか)いとか?」


全員(ぜんいん)(わら)われるのを不可解(ふかかい)(おも)えば(おし)えられる。


「アスラは(わす)れているかもしれないが、アティマの魔力量(まりょくりょう)相当(そうとう)なものだぞ。それこそ(はな)れていても気付(きづ)ける程度(ていど)には」

「まあ、(たし)かに。何時(いつ)(かん)じていたから()たり(まえ)になってたな。じゃあ今更(いまさら)アティマを拠点(きょてん)(もど)してもそっちが襲撃(しゅうげき)されるようになるのか」

「そうなるだろうな。()(あえず)アティマが万全(ばんぜん)になるまでは維持(いじ)するしかない()いだろな」


(てき)何処(どこ)から()してきているのか、(てき)(かず)()らないどころか()えている。

こちらも拠点(きょてん)から(ひと)()()防衛(ぼうえい)()てるが徐々(じょじょ)陣地(じんち)縮小(しゅくしょう)させられている。

上陸(じょうりく)だけは(なん)とか阻止(そし)しているが、怪我人(けがにん)()えている。

気丈(きじょう)()()っているものの、アティマと(はな)すこともせずに()てしまう頻度(ひんど)(おお)くなる。

(すこ)しずつ(おお)きくなるお(なか)()るのは、(うれ)しいような(よご)背徳感(はいとくかん)のようななんかこうなんとも()えない気持(きも)ちがある。

(すで)銃弾(じゅうだん)()()け、元々爆弾(もともとばくだん)()んでこないプロペラ()には効果(こうか)(うす)く、スリングショットを改良(かいりょう)したこともある。

(いま)()()してネットを()げる方法(ほうほう)確実(かくじつ)だ。

魔力(まりょく)(とお)した(いと)簡単(かんたん)()れず、プロペラの(うご)きを阻害(そがい)する。

問題(もんだい)はネットが(ひら)距離(きょり)まで(まえ)()ないと()けなかったり、()とした(ひと)命賭(いのちが)した様相(ようそう)()かって()たり、(ひと)(みずか)らの()(ころ)さなければならない(てん)か。

(また)これに(たい)して火炎放射(かえんほうしゃ)(まえ)()させてくれない対策(たいさく)()される(いたち)ごっこを()(かえ)す。

今日(きょう)はそんな(いそが)しい日々(ひび)一日休(いちにちやす)み、アティマが産気(さんけ)づいたのを()けての()()いだ。

(ひさ)しぶりに(あさ)から風呂(ふろ)(はい)()(きよ)めて部屋(へや)()る。

戦場(せんじょう)とは(ちが)った緊張(きんちょう)(ただよ)い、(おだ)やかに、しかし(あわ)ただしく(ひと)(うご)いている。

アティマは(いた)みに()えるように()(ちぢ)めており、顔色(かおいろ)(わる)い。


「アスラ、()てくれたの?」


何時(いつ)ものような自身(じしん)()せた弱弱(よわよわ)しい姿(すがた)既視感(きしかん)(おぼ)えつつもあの(とき)には()られなかった(よろこ)びを(はし)(かん)じる。

(そば)(すわ)って()(にぎ)る。


勿論来(もちろんき)たよ」


()(ふる)えていて()(あせ)(なが)れている。

タオルを()()って(ぬぐ)う。


(なに)(ぼく)にして()しいことはあるか?」

(いた)っいから、背中(せなか)を、さっすって」


陣痛(じんつう)(ふたた)(はじ)まって(くる)しむアティマの背中(せなか)(いた)みの(なみ)(のが)せるように(つよ)くさする。


「アティマさん(らく)呼吸法(こきゅうほう)()ってください。深呼吸(しんこきゅう)やラマーズ(ほう)有名(ゆうめい)ですよ。ひっ、ひっ、ふー。です。アスラさんも一緒(いっしょ)にやってあげてください」


エレナさんが準備(じゅんび)(はたら)きながら助言(じょげん)をくれる。

呼吸(こきゅう)のリズムを(つく)りながら、(まぎ)らわせるように(はな)しかける。

子供(こども)名前(なまえ)であったり、()場所(ばしょ)(おこな)いたいこと、感謝(かんしゃ)だって。


()てきそう」

「すいません」


()くセリフが(ぎゃく)(わら)ってしまうと部屋(へや)にいるすべての(ひと)視線(しせん)(あつ)まり、大人(おとな)しく(あやま)る。

アティマだけは(すこ)微笑(ほほえ)んでくれるのに(すく)われる。

(すす)むほどに(にぎ)った()(ちから)(つよ)まるが魔力(まりょく)による強化(きょうか)がない。

(さん)(すす)むほどにその理由(りゆう)がわかる。

アティマの(もの)だと(おも)っていた魔力(まりょく)子供(こども)(もの)だったようだ。

魔力(まりょく)中心地(ちゅうしんち)(した)(した)へと()りてくる。

(あたま)()え、()てくる瞬間(しゅんかん)(もっと)(くる)しいようで、気合(きあい)()れるように深呼吸(しんこきゅう)(こえ)にならない(さけ)(ごえ)()わる。

それに呼応(こおう)するかの(ごと)子供(こども)から魔力(まりょく)(あふ)れ、ただの魔力(まりょく)であるはずなのにその(おお)さから部屋(へや)()らす。

(あたま)さえ()えてしまえば(からだ)比較的簡単(ひかくてきかんたん)()ける。

へその()()(はな)物理的(ぶつりてき)なつながりが()くなると、アティマの魔力(まりょく)回復(かいふく)(はじ)める。


大丈夫(だいじょうぶ)か?」

「ええ、(いま)はとてもいい気分(きぶん)(はや)()かせて頂戴(ちょうだい)


痛み(いたみ)(すで)()(やさ)()()みを()かべながら()()()いている。


「ねぇアスラも()て。可愛(かわい)女の子(おんなのこ)、ちょっと(つの)()えてて(いと)おしいわね」

「ああ可愛(かわい)らしいな。どんなふうに(そだ)つんだろう?(たの)しみだ」


それが(ただ)反射(はんしゃ)だと()っていても、()()えていないだろうに(ゆび)(にぎ)ってくる子供(こども)(いと)おしさが()まらない。

十数分(じゅうすうふん)()てばアティマの魔力(まりょく)回復(かいふく)し、自然放出(しぜんほうしゅつ)される魔力(まりょく)だけで()いそうな密度(みつど)だ。

よくよく(かん)じれば子供(こども)(ほう)(すこ)魔力量(まりょくりょう)(おお)いようだ。

()まれた直後(ちょくご)大声(おおごえ)()いていた子供(こども)であったがアティマの(うで)(なか)でスヤスヤと()ている。


女の子(おんなのこ)だったし、名前(なまえ)はあれで本決定(ほんけってい)()いか?」

「こうして、(うで)(なか)でこの()()ているとピッタリだと確信出来(かくしんでき)たわ。折角(せっかく)だから一緒(いっしょ)()いましょ」


(あせ)()れた(かみ)をかき()げ、アティマが(すこ)(ほこ)らしげに(あたら)しい(ちい)さな生命(せいめい)見つ(みつ)める。

(ぼく)(こわ)してしまわないように慎重(しんちょう)(やさ)しく(ちい)さな生命(せいめい)()れる。


貴方(あなた)名前(なまえ)は「アルテアだ」よ」

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