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【計画案その三】『 ラノベの華!冤罪でっち上げからの婚約破棄宣言ルート』

「コンラート! 【計画案その三】、これぞラノベの華! 『冤罪えんざいでっち上げ、婚約破棄宣言ルート』だ!」

コンラートは「ラノベ」という言葉に一瞬首をかしげるが、何もなかったかのように続ける。

モノクルがキラッと光ってカッコい……いや、鬱陶しい!

「……はあ。恐れながら、どのような?」


「いいか? まず盛大な夜会を開き、エラーラ嬢を呼び出す。そして、集まった全貴族の前で、俺が宣言するんだ! 『エラーラ! 貴様は俺の愛するアンナ(うさぴょん)を虐げ、その命すら狙った! 悪逆非道な貴様との婚約など、今この場で破棄させてもらう!』と!」


アレスターはびしっと指差し決めポーズを取った。

「証拠? そんなものは後だ! 公爵家嫡男である俺が『罪だ』と断罪すれば、それが法だ! これぞ王道パターン!」


コンラートは、眉間に皺をよせ深いため息をついた。

(あ、コンラート、お前の鉄面皮を崩したぞ!思っていたのと正反対の結果だけど……)


「……殿下。それが最も確実かつ迅速に、公爵家とご自身を破滅させる愚策でございます」

「な、なぜだ! これが王道だぞ!」


「まず第一に。『全貴族の前で』。これは最悪の悪手です。殿下は、ヴァルデン侯爵家の令嬢と、その家門に対し、全貴族を証人として、修復不可能な侮辱を叩きつけたことになります。【計画案その一】や【その二】はまだ『準備』でしたが、これは『実行』です。ヴァルデン家は名誉を守るため、即日、我が公爵領に宣戦布告するでしょう」


「ひっ……また戦争!? しかも即日!?」


「第二に。『アンナ嬢の命を狙った』という『冤罪』。エラーラ様に、どうやって王都のパン屋の娘を害しろと?」

「そ、それは、市民に変装して密かに街に行ってとか……」

「殿下。エラーラ様は三年前に『現在の同意』を交わされて以降、ヴァルデン領の修道院にて厳重な監視下に置かれております。ですからこの三年、街はおろか、修道院外にも出られたことは無いでしょう」

「な……それじゃ軟禁じゃないか……!?」

「『公爵家の法的な妻』の純潔を守るためです。彼女が殿下の仰るような『悪逆非道』な行動を取ることは、物理的に不可能です。冤罪は一瞬で露見します」

それから、と言ってコンラートはモノクルをきゅっと上げる。


「第三に。そしてこれが致命的ですが。殿下には、婚約を『破棄する』権限がございません」

「は!? 俺は公爵家嫡男だぞ!」


「殿下。婚姻(婚約)に関する一切の裁治権さいじけんは、教会裁判所にのみ属します。殿下が夜会でどれほど大声で『破棄だ!』と叫ばれようと、法的な効力は一切発生いたしません。それは単なる『大声』です」


「おおおお、大声……!?」


「そしてヴァルデン侯爵家は、その足で教会裁判所に『公爵による名誉毀損と、聖なる婚姻への冒涜ぼうとく』として提訴するでしょう。冤罪のでっち上げが露見した時点で、殿下は『偽証罪』と『神への誓いを破った罪』により、良くて公爵位継承権剥奪。最悪の場合、破門はもんされます」


コンラートは、冷徹な視線で主君を射抜いた。

「殿下。その『王道パターン』を実行された場合、アンナ嬢と結ばれるどころか、社会的に抹殺され、魂は地獄に堕ちますが、それでも夜会の招待状の準備を?」


「……つ、次だ! まだある! 四枚目がある!!」

アレスターは、もはや半泣きになりながら、次の羊皮紙を探した。


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