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仮面の影に響く戦音

スカーレットはショットガンを構え、撃つ。


銃声が森に響く。怯えた鳥が空へ飛び立つ。


弾丸が怪物の胸に命中。そいつを一歩後ろへ押しやる。


だが、足りない。怪物は立ち直る。


赤い目が空間を焼き尽くす。冷たい光で彼女を貫く。


背後でかすかなシュッという音。ほとんど音楽のようだ。


スカーレットが振り返る暇もない。魔女のような存在が凍りつく。


次の瞬間、糸の切れた人形のように崩れ落ちる。


スカーレットは荒々しく息を吐き、振り返る。


木々の影から現れたのは、仮面の男。頭上に「サトウ」の名が浮かぶ。


歩みはゆっくり。まるで怠惰なようだ。


手にした短剣には、黒い血が滴る。まるで樹脂のように濃い。


「遅れたな」とスカーレット。汗で張り付いた髪を払う。


「少しアクションを味わわせたかっただけ?」


サトウは目を細める。唇が軽い笑みを刻む。


「知ってるだろ? お前のピンチを見るのが好きなんだ」


声は軽快で、どこか嘲るよう。だが、目に温もりが宿る。


スカーレットは一歩近づく。緊張が溶けていく。


そっとサトウの肩に触れる。仮面を外すと、彼の温もりが恐怖を消す。


「次は教えてよ」と彼女。声は葉擦れのようだ。


サトウが身を傾ける。笑みが広がる。


「次はおとなしくしてろよ」


彼の手が彼女の腰を抱く。ぐっと引き寄せる。


唇が触れ合う。短いキス。静かな理解が宿る。


静寂を破る声がスピーカーから響く。


「よお、恋人同士! メロドラマは終わりか? ボスが待ってるぞ!」


サトウがニヤリと笑う。スカーレットの手を離す。


「仕事の時間だ」と彼。短剣を鞘に収める。


スカーレットは鼻で笑う。武器を点検する。


「お前みたいな奴といると、任務を忘れちまうよ」


サトウはふんと鼻を鳴らす。一歩踏み出す。


だが、顔に浮かぶ微かな笑み。何も聞き逃さなかった証だ。


サトウが振り返る。顔に怠惰な笑みが浮かぶ。


手で軽く払う。スピーカーから響く皮肉な声を振り切る。


「行くか?」


スカーレットは目を細める。肩の武器ベルトを直す。


「また俺をカバーしてくれるならな」


サトウがニヤリ。短剣を無造作に抜く。


暗い血に塗れた刃が光る。遠くの魔力障壁の輝きに映える。


「疑ってるのか?」


スカーレットの唇が笑みを刻む。言葉はなし。


代わりに詰まった薬莢を抜く。彼の自信が今は悪くない。

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